馬トク報知で過去の名勝負を当時の記事から振り返る【競走伝】。今回はトーセンビクトリーが勝った2017年の中山牝馬Sを取り上げる。

武豊騎手×角居厩舎の強力コンビ。しかも、母トゥザヴィクトリーという良血馬が魅せた。

 歓声が待つ直線で“レジェンド”の手綱さばきが光った。トーセンビクトリーは内ラチ沿いをぴったりと、好位3番手から追走。直線では馬群を縫うように進路を見つけると、他馬が横一線に並ぶ中から力強く抜け出してくる。最後は外から1番人気のマジックタイムが猛然と迫ってきたが、先頭でゴール板を駆け抜けた。「強かったですね。あのポジションを取れたことと我慢してくれたのは前と違った」。15年の秋華賞(8着)以来のコンビだった武豊が心身の成長に目を細め、重賞初制覇をたたえた。

 喜びもひとしおだった。母トゥザヴィクトリーは早い時期から大器と評判だったサンデーサイレンス産駒で、オークス(2着)でも秋華賞(13着)でも1番人気。5歳時の2001年エリザベス女王杯で悲願のG1初制覇へと導いた。

全兄トゥザグローリーや姉トゥザレジェンドにも騎乗。ゆかりの血統で思い入れは当然あった

 キングカメハメハを父に迎えた本馬はセレクトセールの1歳セッションで1億500万円の高値がついた。デビューは2歳8月。「走り方なんかお母さんに似てる。首の使い方だったり、手前の変え方だったりね。お母さんをコンパクトにした感じ」。そう高く評価している武豊とのコンビでデビュー3戦目に待望の初勝利を挙げたが、その後にまさかの右後肢骨折。全治6か月の重症で3歳春のクラシック戦線を棒に振った。

 地道にしっかりと力をつけ、5歳春でつかんだ初タイトル。今回の馬体重は自身最高の476キロだった。角居調教師は「しっかり食べるようになり、トレーニングをできるようになった」と強調。春の大目標であるヴィクトリアマイルを前に、全兄で重賞5勝のトゥザグローリーや2014年有馬記念で2着だったトゥザワールドのように大化けムードが漂った。

 同年の暮れにはキタサンブラックの引退レースだった有馬記念に出走。3番手から追走していたが、最後の直線入り口で不利を受け、14着に沈んだ。結局、中山牝馬S以降は勝ち星がなく、18年12月のディセンバーS(7着)を最後に現役を引退。繁殖入りしている。

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