馬トク報知で過去の名勝負を当時の記事から振り返る【競走伝】。今回はキタサンブラックが勝った2015年のスプリングSを取り上げる。

歴史に残る名馬の重賞初制覇に、北島三郎オーナーの笑顔が弾けた。

 サブちゃん祭りだ!4コーナーでキタサンブラックが先頭に躍り出ると、2万7千人の観客から歓声が沸き上がった。スピードは衰えず、鞍上の合図でストライドは大きくなった。最後の直線310メートルは、単独の“リサイタル”。残り100メートルから2歳王者ダノンプラチナが、ゴール前で大外からリアルスティールが強襲したが、首差しのいで無傷3連勝のゴールに飛び込んだ。

 「気分は最高だね!」。北島三郎オーナーは愛馬に目を細めた。2001年ファンタジーS(キタサンヒボタン)以来、14年ぶりのタイトル。50回(当時)も紅白歌合戦に出場した演歌界のレジェンドだが、今回の“ステージ”は格別だったようだ。「人様の前に出るのは慣れているけど、こういう時の方が緊張するね。どうやって(表彰台の)階段から下りたか覚えてないもん」と笑う。ウィナーズサークルには多くのファンが集結。

「サブちゃん」コールが起こると、両手を合わせて何度も頭を下げ、ファンに感謝した。

 自ら北海道の牧場に何度も足を運び、選んだ特別な1頭だった。「顔が良かったんですよ。スターの顔をしていた。体に幅があるのに、太い感じがしない。芝で走ってくれる馬が欲しかったんだけど、こんなに走るとはね」。マイクを持つ傍ら、1973年に馬主登録してから40年以上。クラシックには5度出走(当時)していたが、1月31日と遅いデビューから無傷の3連勝で切符をつかんだ皐月賞への手応えは今までと全く違う。「今度は歌っちゃうよ! 手拍子ももらってね。ハハハ」。

 約束は果たされた。続く皐月賞、日本ダービーこそ敗れたが、立て直した秋の菊花賞でG1初制覇。

その時だ。サブちゃんはレース後の京都競馬場で「まつり」を熱唱。場内は大歓声に包まれた。そんなオーナーの熱意を乗せたかのように、武豊とコンビを組み始めた古馬になってから高い資質は完全に開花。その競走生活で当時、史上最多タイとなるG1・7勝を挙げた。2016、2017年には2年連続で年度代表馬の座を獲得。歴史に残る名馬になった。

 北海道の社台SSで種牡馬になった後もイクイノックスやクロワデュノールなど数々の名馬を輩出。今もなお、日本の競馬界に計り知れないほどの影響を与えている。

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