「夏は7・8月」という感覚は、すでに過去のものかもしれない。株式会社マンダムの調査によれば、生活者の多くが体感として「5月に始まり10月に終わる」と捉えており、実に半年近くが夏だという認識が広がっている。

季節の輪郭が曖昧になるなかで、日常生活そのものが暑さ前提へと組み替えられつつある現実が浮かび上がった。

 背景にあるのは、ここ数年で顕著になった猛暑の長期化だ。調査では4割以上が「汗の量や不快感が増えた」と回答し、半数以上が「夏が苦手になった」と答えている。特に若年層や働き盛りの世代でその傾向は強く、外出や通勤といった日常行動さえ心理的な負担となりつつある。夏は「楽しむ季節」から「耐える季節」へと性格を変えつつある。

 こうした変化は消費行動にも直結する。6割以上が汗対策に費用をかけており、1シーズンに3000円以上を投じる層も一定数存在する。ボディシートや制汗スプレーといった商品は、もはや嗜好品ではなく必需品として定着しつつある。実際、3割以上が汗ケアアイテムを毎日使用し、1日に複数回使う層も少なくない。

 注目すべきは、その使用シーンだ。汗対策はスポーツやレジャーの場面に限らず、「通勤・通学後」や「外出前の身支度」といった生活の隙間に入り込んでいる。つまり汗ケアは、暑さに対処する一時的な行為ではなく、日常動作の一部として組み込まれているのである。

 長期化する暑さは、個人の不快感にとどまらず、生活設計や消費構造そのものを変え始めている。季節の変化に合わせるのではなく、変わり続ける気候に適応する-。その象徴が「汗ケアのインフラ化」と言えるだろう。

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