歌手の美輪明宏(みわ・あきひろ、本名・丸山明宏)さんが6日20日に老衰のため亡くなったことが、28日に公式サイトで報告された。91歳だった。

 2021年11月、美輪さんを電話取材した。作家で天台宗の尼僧・瀬戸内寂聴さん(享年99)の訃報に関するコメント取りだった。高校生の頃は幸運を呼び込みたくて、ガラケーの待ち受けを美輪さんの画像にしたこともあって、私からすれば雲の上のような人。こちらから電話取材をお願いしたが、そんな人が本当に応じてくれるのか半信半疑だった。

 「美輪です」。スマートフォン越しに聞こえたあの独特な迫力のある声。緊張で手が震えた。おまけにタイミングが悪く、周囲が騒がしかった。こちらが緊張と雑音を謝罪すると、「構いません。続けて下さい」と気遣ってくれた。

 「双子じゃないか」と言い合うほど意気投合し、50年以上にも及ぶ親交を重ねた寂聴さんとの別れは悲痛な様子。「寂りょう感があります。

とうとう来たかな、と思いました。私と寂聴さんと(画家の)横尾忠則さんの3人で仲良しだったので、1人かけ、2人かけと思うと、だんだんさみしくなりますね」と声を落とした。

 約15分の取材の最後に質問した。「美輪さん自身の体調はどうですか?」。返ってきた返事は「もうダメね」。サッパリとした口調だった。大切な友人たちとの別れ、自身の老いや病を受け止めて達観している様子。どこまでも「美輪明宏」らしい一言に感じた。(水野佑紀)

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