◇プロボクシング▽WBC世界ライトフライ級(48・9キロ以下)タイトルマッチ12回戦 〇岩田翔吉(TKO11回2分13秒)エリック・バディージョ●(20日、両国国技館)

 WBC世界ライトフライ級王者・岩田翔吉(30)=帝拳=が、人生初ダウンのピンチを切り抜け初防衛に成功した。同級1位で指名挑戦者のエリック・バディージョ(30)=メキシコ=の左ストレートを受け4回にダウンしながらも、その後はボディー打ちを中心に反撃。

11回に連打したところでレフェリーが試合をストップし、TKO勝ちした。戦績は岩田が17勝(14KO)2敗、バディージョは19勝(8KO)1敗。

 リング上で勝利者インタビューを受けた岩田は「前回この両国国技館で悔しい思いをした(昨年3月のWBO王座初防衛戦で判定負け)ので緊張した。4回は人生初ダウンで危ないと思ったが、しっかり立て直せた」と胸をなで下ろした。開始のゴングから足を動かして確実にパンチを当てた。主導権は握っていたが、4回にバディージョの左にダウン。大ピンチになりながらもボディー打ちで再び流れを引き寄せ、11回のフィニッシュへと持ち込んだ。

 試合に向け6月からジムワーク、食生活と徹底したスケジュールを立て自己管理した。その甲斐あって「今回は完璧に仕上げることができた」と万全のコンディションでリングに上がれた。根底にあるのは、心の底からわき出る「楽しい」と思える気持ちだった。今年1月、ジムワーク中に帝拳ジム・本田明彦会長から言葉をかけられた。

 「毎日同じことをやって楽しいか?」

 確かに楽しくなかった。

当時は世界王座(WBO)の初防衛戦に敗れ無冠。決められことを同じように繰り返すだけの機械的な日々で、何かにチャレンジするという考えはなかった。「楽しい時って、今までできなかったことができるようになった時だと気付いた。できないことにしっかり取り組んで、できるようになる。格闘技を21年間やってきて、今が一番、楽しいという気持ちを持っている」。苦手意識を克服するために忘れていた足を使うボクシングを取り入れ、完成しつつある。「楽しい」と思える気持ちが、30歳になった岩田の成長を加速させた。

 「防衛してこそチャンピンとして認められる」と、WBO王者時代には果たせなかったV1を達成した。野望もある。一度敗れたWBA&WBO統一王者のレネ・サンティアゴ(プエルトリコ)、IBF王者のタノンサック・シムシー(タイ)、WBA&WBOミニマム級統一王者オスカー・コラード(プエルトリコ)らとのビッグファイトの実現だ。最強挑戦者(世界ランク1位)を退けた岩田の可能性は、大きく広がった。(近藤 英一)

 

 ◆岩田 翔吉(いわた・しょうきち)1996年2月2日、東京都生まれ。

30歳。元総合格闘家・山本KID徳郁さんのジムで小学4年から格闘技を始め、中2でボクシングに転向。東京・日出高(現目黒日大高)3年時に高校総体優勝。アマ戦績は59勝12敗。早大卒業後、18年12月に米国でプロデビュー。21年11月に日本ライトフライ級王座、22年7月に東洋太平洋&WBOアジアパシフィック同級王座を獲得。24年10月にWBO世界同級王座、26年3月にWBC同級王座を獲得。身長163センチの右ボクサーファイター。

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