国際サッカー連盟(FIFA)のカウンシルメンバー(理事)で、日本サッカー協会(JFA)の名誉会長を務める田嶋幸三氏が31日、FIFA(インファンティノ会長)が計画しているW杯の運営などを担う子会社設立について反対する声明を発表した。田嶋氏はFIFAの理事として「非常に残念にに思います」と語り、「FIFAカウンシルメンバーとして反対します」と断言した。

 子会社設立案を巡っては投資家の参入が過剰な商業主義を招くとの懸念もあって、欧州サッカー連盟(UEFA)は計画取り下げまでは、加盟全55協会が、W杯などFIFA主催大会に参加しないと発表するなど強硬姿勢を取っている。批判が出ていることについて、FIFAは「誰もサッカーを売りに出していない。それはFIFAが決して考えないことだ」との声明を出していた。

 計画では、評価額200億ドル(約3兆2720億円)規模の新会社「FIFAフォワード・エンタープライズ(FFE)」を立ち上げ、2割の株式を外部の投資家に売却する案となっている。AP通信の報道によれば、FIFAは加盟協会に対し、設立を支持して売却資金を基に配分金を受けるかどうかの回答期限を9月19日に設定。設立が認められれば、それぞれの協会・連盟は30億円超を得ることができる。規模の小さい協会・連盟には重要な資金となる一方で、投資家の商業的意向が大会に過剰に反映される懸念もあり、田嶋氏は「これまで1120年以上をかけ、世界のフットボールファミリーが大切に育ててきたFIFAの競技会に、商業的利益を至上命題とする外部の投資が入ることで、競技のためではなく、 利益追求のための決定が優先されることになり得ます。 これを受け入れることはできません」と断固拒否する姿勢を示した。

  FIFAに加盟する協会・連盟は現在「211」となっている。日本が所属するアジア・サッカー連盟(AFC)は「適切に検討、議論される前に、このような重要事項が公になったことに失望している」と遺憾の意を表明していた。北中米カリブ海連盟(CONCACAF)も加盟協会との連名で、拙速な手法などを問題視し「提案を却下」を発表していた。田嶋氏も「FIFA加盟協会に対して、民主的に、つまり、多数決の原理で決めたいという文書が唐突に送られました。

組織として、FIFAカウンシルでも本質的な議論が行われていないまま、 加盟協会の 多数決で決定することには憤りを覚え、FIFAカウンシルメンバーとして反対します」と、FIFAの手法を疑問視した。子会社の設立には過半数の賛同などが必要となっている。日本サッカー協会(JFA)の公式な回答は現在、協議中としている。

 また、田嶋氏は、閉幕した北中米W杯での、理解できる説明がないままレッドカードの適用延期があったこと、決勝での長いハーフタイムの実施など、大きくなるFIFAの商業化にも警鐘を鳴らした。

▼以下、田嶋氏のコメント全文

「今回のFIFA会長による「FIFAフォワードエンタープライズ」設立の提案について、非常に残念に思います。

FIFAは世界のサッカーの統括団体として、競技を守り、発展させていかなければなりません。

先週閉幕した北中米ワールドカップでの理解しうる説明のなされていないレッドカードの適用延期や、決勝での長いハーフタイムの実施など、競技規則に則って行われるべきサッカーの本来の価値は独立して守られるべきで、商業的な要素やその他外部からの影響を受けるべきではありません。

これまで120年以上をかけ、世界のフットボールファミリーが大切に育ててきたFIFAの競技会に、商業的利益を至上命題とする外部の投資が入ることで、競技のためではなく、 利益追求のための決定が優先されることになり得ます。 これを受け入れることはできません。

今回の提案は、211のFIFA加盟協会に対して、民主的に、つまり、多数決の原理で決めたいという文書が唐突に送られました。組織として、FIFAカウンシルでも本質的な議論が行われていないまま、 加盟協会の 多数決で決定することには憤りを覚え、FIFAカウンシルメンバーとして反対します。

FIFAは、世界で愛されるサッカーをいう競技を、健全に成長させる統括団体でなければなりません」

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