映画「八日目の蝉」や、モントリオール世界映画祭で「審査員特別賞グランプリ」を受賞した「ふしぎな岬の物語」などで知られる映画監督の成島出(なるしま・いずる)さんが24日、死去した。65歳だった。

所属事務所が28日、公式サイトで発表した。葬儀・告別式は故人の遺志により、近親者のみで営んだ。

 人間の繊細な心の動きを丁寧に描き、日本映画史に残る作品を残した名監督が旅立った。成島さんは2017年、小細胞肺がんが判明し1年以上闘病。在宅医療をテーマにした21年の映画「いのちの停車場」の会見では、14年の「ふしぎな―」でもタッグを組んだ主演女優の吉永小百合(81)から「闘病中に吉永さんから、がん封じのお守りと手紙をもらって、涙が出るほどうれしかった」とエピソードを明かしていた。

 山梨県生まれ。学生時代に映画監督を志し、相米慎二さんの助監督などを務めながら、森崎東さんや長谷川和彦さんに師事しシナリオ執筆を学んだ。94年に「大阪極道戦争しのいだれ」で脚本家デビュー、04年に「油断大敵」で監督デビューを果たした。

 緻密(ちみつ)な構成力で、原作の流れを損なわずにエンターテインメント作品に昇華する能力は日本映画界でも随一。角田光代さんの小説を映画化した11年の「八日目の蝉」では報知映画賞作品賞など、その年の映画賞レースを総なめに。15年には、宮部みゆきさんのミステリーが原作の「ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判」で、中学生キャストの潜在能力を引き出す演出力を見せ、2回目の報知映画賞作品賞を受賞するなど高い評価を受けた。

 所属事務所によると、本人の遺志によりお別れの会などは開催しない。

「成島が情熱を注いだ作品とその想(おも)いを今後も大切に守り、伝えていく所存です」とコメントした。

 ◆成島 出(なるしま・いずる)1961年4月16日、山梨県生まれ。大学中退後に助監督として相米慎二監督、平山秀幸監督らに師事。2004年に「油断大敵」で監督デビュー。「八日目の蝉」で日本アカデミー賞最優秀監督賞。脚本家としても08年の「クライマーズ・ハイ」などを手がけた。近年の監督作に23年の「銀河鉄道の父」、24年の「52ヘルツのクジラたち」など。

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