厚生労働省特別健康対策監を務める歌手で俳優の杉良太郎(82)が20日、岡山・瀬戸内市の国立ハンセン病療養所・長島愛生園で慰問コンサートを行った。

 ペンライトが揺れる中、杉は瀬戸内海に浮かぶ島の特設ステージに降り立った。

日本初の国立療養所として1930年に開設された同園の入所者に「こちらに参るのが少し遅れました。もっと早く来るべきだった」とあいさつ。今年5月に始めた全国13か所の療養所慰問のうち10か所目の地を、妻の伍代夏子(64)、瀬川瑛子(79)とともに盛り上げた。

 ハンセン病は完治する病気でありながら、感染者や家族への差別が長く続いた。最大の理由は、同園開設直後の31年に作られた「らい予防法」。国策だった同法が廃止される96年まで、患者は強制隔離された。

 日本最大の敷地面積241・7ヘクタール(東京ドーム約52個分)を持つ同園では、戦時中の43年に入所者が2021人に達した。現在は平均年齢が90歳に迫り、人数も63人に。この日の公演では、今月亡くなった入所者の遺影を職員が掲げる姿もあった。

 杉はデビュー前に歌を教わり、15歳で刑務所慰問を始めるきっかけになった故・近藤敏郎さんの思い出を披露した。師匠が同園を訪れていたことを知り、「長島愛生園、縁があるんだなと思ってビックリしました」とかみ締めた。

 ベトナム訪問時に、道端で苦しむハンセン病患者を目にしてから37年がたった。

「人は苦しくとも、なぜ生きる」という問いを立て、福祉活動を「命ある限り続けていく」と決意表明した。19日に慰問した同市の邑久(おく)光明園と同様に、歌とトークで沸かせた後は入所者一人一人と交流。頬に触れ、両手を握り、愛に生きるさまを伝えた。(堀北 禎仁)

 〇…杉はコンサートに同行した瀬川を称賛した。瀬川がデビュー前だった15歳から60年以上の付き合いになるが、「ベテランなのに、偉ぶらず威張らない性格が喜ばれるんでしょうね。災害ボランティアの時も全部来てくれる」と賛辞。瀬川は杉夫妻の計らいに感謝し「いつまでもお二人についていきます」と誓った。

編集部おすすめ