青果物流通、特に約86%を占める卸売市場流通の世界では、ニーズと無関係に産地が作った現物を市場に出荷して競りにかける、いわゆるプロダクトアウトが一般的なため、過剰になれば価格が下がり、余れば廃棄するか返送するしかなくなるという課題に直面している。つまり結果的に生産者の所得を圧迫し、無駄な廃棄や輸送コストが嵩む構造的な問題を抱えていることになる。これを回避するため、ネット上に仮想市場を構築、NTTが提唱しているIOWN(アイオン=Innovative Optical & Wireless Network)構想に基づくDTCA(Degital Twin Computing for Agri)技術によって“未来予測”し、実際に現物が市場に運び込まれる前に取引を行うのが今回の構想だ。
今年度中に東果大阪の実証実験を終え、2022年度は広域化実証実験(神明HDは青果物流通子会社を他に3社保有している)に入る運び。2024年度を目途に完成したプラットフォームに基づく国内展開をめざしている。
会見で神明HDの藤尾社長は「もちろん米での応用も視野に入れている。青果物を優先させたのは、米より鮮度が重要だし品目数が多いため。青果物に比べれば米はシンプルだから、この仕組みが完成すれば米への応用は容易だ」と述べている。
〈畜産日報2021年11月9日付〉