(株)東京カンテイは、このほど、全国における2008年~2015年の“億ション”供給動向を調査し、その結果を発表した。■首都圏
首都圏における億ションマーケットは、2013年を境に市場規模・供給エリアともに再び拡大へと向かい、2015年には1569戸まで増加。

東京都で1406戸(シェア:89.6%)と圧倒的に多く、その供給立地の偏在ぶりは90年代バブル期(56.2%、1990年)よりもミニバブル期(96.3%、2008年)に近い。また、神奈川県では高い希少性から実需・投資の両ニーズが旺盛な横浜ベイエリアでタワーマンションが供給されたこともあって、億ションの分譲戸数も150戸と1992年以来の100戸超えを記録している。

全国の行政区ごとで億ションの分譲戸数を全マンション分譲戸数で除した数値である「億ション率」についてランキングで見てみると、第1位は港区の40.17%で、その大半が高級住宅地として人気を博している青山・赤坂・麻布エリアで供給されていた。第2位の京都市上京区、第3位の芦屋市および第4位の千代田区までが30%を上回っており、いずれも全国でも有数の“一等地”が並んでいる。

2008年以降に全国で新規分譲された物件のうち、1物件あたり平均価格が1億円を超える新築マンションを対象にランキングにしてみると、第1位は平均価格が4億9,812万円の「ラヴィアンパレス松濤」(渋谷区)で、第4位の「プラウド元麻布」(港区)までが3億円以上となっていた。また、上位20位まではいずれも平均価格が2億円を超え、立地も千代田区、港区、渋谷区および品川区に限られている。

東京都以外で最高位にランクインしたのは第29位の「Brillia 鎌倉御成町」(鎌倉市)で平均価格は1億7,983万円、また高級住宅地として有名な芦屋市に所在する「ラ・クラシカ芦屋山手町」も1億5,680万円で第38位に入っている。

■近畿圏
近畿圏における億ションマーケットは、2010年代初頭には年間30戸程度まで供給規模を縮小させていたが、2014年には96戸、翌2015年には182戸と年々急増している。ミニバブル期には大阪市中心部で多くのタワーマンション開発が為され、それら物件の高層階が億ションとして分譲されたことで、2007年における大阪府のシェアは53.6%と過半数を占めていた。

2015年においては富裕層向けの高額物件が相次いで分譲された京都府が51.6%でトップシェアとなり、供給先の中心が完全にシフトしている。平均価格の推移は安定しており、2015年には1億4,634万円とミニバブル期の水準に近づきつつある。

近畿圏で新築億ション平均価格が最も高かったのは「ラ・クラシカ芦屋山手町」(兵庫県芦屋市)の1億5,680万円。

■中部圏
中部圏における億ション供給エリアは愛知県、特に名古屋市中心部に集中している。これまでは主に大手デベロッパーによって「池下」「覚王山」など名古屋市営地下鉄名城線の東側エリアに位置する高級住宅地での供給が目立っていたが、2015年においてはリニア中央新幹線開通に向けて再開発が進められているJR名古屋駅の東側駅前エリアで供給された大規模タワーマンションから多くの住戸が億ションとして分譲されていた。

2015年における平均価格はミニバブル期に匹敵する1億4,062万円まで持ち直し、また坪単価自体は2年連続で直近10年間での最高値を更新して400万円の大台に達している。

なお、中部圏で新築億ション平均価格が最も高かったのは「グランドヒルズ八事広路町」(愛知県名古屋市)の1億229万円。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ 首都圏、近畿圏、中部圏

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