「豊洲新市場」の床下にたまった水のモニタリング調査で、環境基準値をわずかに上回るヒ素・ベンゼンが検出されました。地下水の汚染が不安視されていますが、そもそもヒ素やベンゼンは豊洲だけではなく、いたるところに存在する物質であるともいわれます。
ヒ素は摂取量によって毒になる
まず、ヒ素について担当者の方の話によると、自然界に存在するミネラルで土や川にも含まれているそうです。
「ヒ素というのは土の中から溶け出してくるミネラルです。大量に摂取すると死にいたるため、有害な物質として記憶している人も多いかもしれません。ただ、コメや糠(ぬか)、ヒジキなどの食品にも微量に含まれています」(環境リサーチ担当者、以下同)
ちなみに、厚生労働省が定める水質基準では、国内の水道水に含まれるヒ素の基準値は1リットル当たり0.01mg以下。これに対し、豊洲の床下の濃度は、0.019mgとおよそ2倍となっていますが、ほとんどの河川では同等の濃度が検出されるのだとか。
「この基準値は、毎日飲んでも大丈夫かどうかという観点で設定されている水道水の基準です。しかし、豊洲の床下にたまった水は飲んだり、食品の洗浄に使ったりするものではありません。もっと言えば、一般的に、河川やダムなどはかなりの割合で水質基準を超えています。従って水道水を使う限り、基準をオーバーするような水は流通していません。水道水は安心して飲めるものです」
では、ベンゼンはというと、こちらはヒ素とは異なり自然界にもともと存在するものではなく、化学物質になります。
「ベンゼンは、おもに石油製品に含まれており、発がん性がある化学物質になります。
河川はほとんど心配いらないという一方、意外に身近にもベンゼンが存在するとか。
「豊洲市場の床下空間の水には、0.014mgのベンゼンが含まれていたということです。ただ、ちょっと話が変わるようですが、室内でタバコを吸うと、環境基準の2倍から19倍の濃度のベンゼンが発生するという調査があります。こちらのほうがよほど問題で、現在室内空気中のベンゼン濃度を規制していこうという機運が高まっています」
じつは身近にもあったヒ素やベンゼン。自然界から完全に排除することは難しいのかもしれませんが、やはり厳格な計算により設定された基準値を踏まえることが、安心につながることは間違いなさそうです。
●取材協力・環境リサーチ株式会社 元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2016/12/121950_main.jpg 住まいに関するコラムをもっと読む SUUMOジャーナル