リクルートが、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県)在住の20歳~49歳の男女10000人を対象に実施した「SUUMO住みたい街ランキング2025」を発表。今回は、前年の31位から23位にジャンプアップを果たした「藤沢」にフォーカスし、街の魅力を探ります。

過去最高の23位に大躍進の藤沢。男性シングルと子どもありファミリーの支持が上昇

前年の31位から23位と過去最高位に躍り出た、東海道本線・小田急江ノ島線・江ノ島電鉄の藤沢駅。昨年から「得点がジャンプアップした駅」のランキングでは4位、神奈川県民による投票では、初の3位を獲得するなど、注目が高まっています。

「SUUMO住みたい街ランキング2025」藤沢が過去最高の順位に急上昇! 自然豊かで子育て環境の評価が高い、フレンドリーでロコ味のある街

性別・年代別・ライフステージ別の内訳では、「男性」が昨年42位から24位に急上昇。加えて、「女性」25位、「20代」28位、「30代」18位と、4つの部門でも過去最高位を記録しました。
また、「夫婦+子ども世帯」は前年こそ30位と少し順位が後退しましたが、今年は24位と20位台に復活。全体的に支持が伸びている様子がうかがえます。

特に支持が伸びた世帯は「シングル男性」と「子どもありファミリー」。藤沢は、自然環境と利便性のバランスが良く、もともと子育て世帯から安定的に人気のあるエリアです。市役所や図書館といった公共施設のほか、百貨店・スーパー・商店街・家電量販店と多彩な買い物環境、選択肢が豊富な医療施設など、どの世帯にとっても生活しやすい施設が駅近くに集積しています。

加えて、男性シングルにとっては、夜遅い時間でも食事できる店やサードプレイスになり得る気の置けない店が多いこと、2023年5月に駅北口に「LABI藤沢」が登場し、向かいの「ビックカメラ」と併せて家電量販店を回遊しやすいこと、コーワーキングスペースが豊富なこと、マリンスポーツなど趣味を充実させやすい環境であること、などが見逃せないポイントかもしれません。

「SUUMO住みたい街ランキング2025」藤沢が過去最高の順位に急上昇! 自然豊かで子育て環境の評価が高い、フレンドリーでロコ味のある街

2024年6月にPark‐PFIによりリニューアルした「鵠沼海浜公園」。

スケボー・BMXなどアーバンスポーツの聖地が誕生した(写真/SUUMO編集部)

豊かな自然とフレンドリーな土地柄など“ロコ味”が人気。子育て環境も高評価

湘南の玄関口を標ぼうする藤沢。江の島をはじめ、マリンスポーツを愛する人にとっては、都心からアクセスしやすい身近な海の街のイメージが強いでしょう。街の魅力として1位に「自然が豊富」が挙がるのも納得の結果といえます。

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江の島周辺は、海水浴、サーフィン、SUP、釣り、犬の散歩など、思い思いの海時間を過ごす人でにぎわう(写真/PIXTA)

また、藤沢は緑も豊か。特に駅から徒歩圏にある「新林公園」は、里山をそのまま活かした公園で、子どもたちのにぎやかな声はもちろん、鳥のさえずりや虫の声など、外の音にあふれています。山の散策路ではリスやキノコ、池を中心とした湿地エリアではザリガニやカワセミを見つけられるなど、さまざまな形で自然と触れ合うことができるのが魅力です。

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「2025年順位」は今回のランキング対象となった全231駅の中での偏差値順位

地域になじみやすく、愛着を持てるイベントが盛ん

ランキング中で、藤沢らしい魅力として注目したいのが、赤文字の項目。地域になじみやすく、コミュニティを通じて楽しく暮らせるイメージの項目が並びます。
藤沢には、日本初の別荘分譲地といわれる鵠沼があり、昔から穏やかな気候や海辺の暮らしを求めてほかの街から流入してくる人が多い土地柄です。そのため、新しい住民を受け入れるオープンな雰囲気があり、実際に藤沢に引っ越してきた人への取材では、「住民がフレンドリー」という声をよく聞きます。

町内会や子ども会の活動がある地域なので、転入してきた人は地域のイベントに参加して知り合いを増やしてくのも手でしょう。

地引網など、海辺の街ならではのイベントに参加したり、海岸清掃活動や地域の夜間パトロールといったボランティアに参加したりしながら地元の顔見知りをつくることができます。
地元に顔見知りが増えることで、防犯・防災面の安心・安全につながります。

また、藤沢はイベントがたくさん開催される街です。駅北口のサンパール広場で開催される「MARKET251」(10月~4月の第3土日)や「藤沢夜市」(5月~9月の第3金土)は、気楽に参加できるイベント。湘南エリアの飲食店、雑貨店、農家の方々がこだわりの品を出品しています。近所でちょい飲みや地元をよく知る出店者との交流を楽しみながらぶらぶらするのもすてきな休日です。

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ペデストリアンデッキの整備が終了した藤沢駅北口のサンパール広場では様々なイベントが開催されており、定期的に開催されているのが「MARKET251」(10月~4月の第3土日)と「藤沢夜市」(5月~9月の第3金土)。出店は藤沢だけでなく、県外から個性豊かなセンスの良いお店が沢山集まる(撮影/SUUMOジャーナル編集部)

よりディープ&スピーディに地元に参加したい場合は、ボランティアスタッフとしての参加もオススメです。ビーチクリーンなどを中心に海の環境教育を行うボランティア活動なら「NPO法人湘南ビジョン研究所」の活動に注目。
広く地域の情報を得たいなら、2020年の東京オリンピックのレガシーとして誕生したボランティア活動の活動情報サイト「チームFUJISAWA2020」に登録するのが良さそうです。地域のさまざまな活動情報が得られるので、気軽にボランティアに参加することが可能です。

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海の環境活動を行うNPO法人湘南ビジョン研究所。

ビーチクリーンを通じた海の環境保全活動を市民・企業・小中学校・高校・大学・市民団体と連携し行っている。2024年「環境大臣賞」受賞(画像提供/NPO法人湘南ビジョン研究所)

子育てしやすいサービスや環境が充実

街の魅力トップ10には、子育て環境の良さについてもランクインしています。
まず、制度で注目なのは手厚い子ども医療費助成。現在は湘南エリアのほとんどの自治体で行われている18歳3月末までの医療費無償化施策ですが、2023年4月から先んじてスタートさせたのが藤沢市です。
ほかにも、予防接種の予定や体重の記録など母子手帳として活用できる「子育てアプリふじさわ」を整え、地域の子育て情報も得やすい環境をつくるなど手厚いサービスがあります。

環境面で注目なのは、「地域子どもの家」。藤沢市には子どもたちが身近な場所で自由に伸び伸びと遊べる屋内施設「地域子どもの家」が市内の各エリアにつき1つずつ(計18カ所)配備されていることです。利用できるのは、小学生、中学生と付添人のいる乳幼児。利用の際は受付で記名し、PTAや自治会など地域ボランティアの見守りスタッフがいるので、親としては安心して遊ばせられる施設です。

注目は2021年にできた「大道子どもの家(わくわくランド)」。藤が岡保育園の建て替えに伴いできた「藤-teria(ふじてりあ)」内にあります。建物には、保育園や学童、小児科や集会室も入り、藤沢駅北口エリアの地域交流の拠点となっています。

子育て関連施設が一カ所にまとまっているので、きょうだいの子育てでもワンストップで動けるのが魅力です。

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地域子どもの家は、ダイナミックに体を動かせる屋内遊具が充実。天候を気にせず子どもを遊ばせられるのもうれしい(画像提供/大道子どもの家(わくわくランド))

藤沢市の人口は右肩上がり。住宅価格の高騰で郊外に注目

現在は約44万人と人口が増加中の藤沢市。藤沢市の発表では、緩やかに上昇が続き2035年の約45万人がピークとなる予想となっています。2014年以降で約2.25万人増加しており、年2500人ペースで増えています。

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藤沢市ホームページより

最近の人口増加の要因の1つは、2020年よりコロナ禍の影響でテレワークが浸透したことで通勤時間を気にせず住まいを選ぶ人が増えたこと。また、住宅価格の高騰により、手の届く郊外に注目が集まったことで拍車がかかったことがうかがえます。

藤沢駅を中心に住宅の供給状況を見ると、駅の北側と南側では傾向が大きく異なります。
北側エリアは、駅南に比べ家賃や物件価格が安く、小規模な戸数での分譲一戸建ての供給も安定して多いエリアです。新築一戸建ての相場は駅から徒歩10分程度だと約5000万円~6000万円。湘南台方面に向かって敷地が広くなっていくので宅地面積は確保しやすい傾向です。

駅周辺エリアは、近年商業地域内に多数の分譲マンション供給がありました。ファミリータイプで約5000~6000万円と都心に比べて手が届きやすいのが魅力です。

藤沢駅周辺で再開発計画続々。南口の整備や村岡新駅(仮称)に注目

藤沢駅北口デッキの全面リニューアルや地下通路(地下広場)のリニューアルが完了し、現在は南口の整備が進行中。すでに着工しているのは、南北通路の拡張工事や、現在は駅の2階にJR、1階に小田急とわかれている改札が2階に集約される工事。利便性がアップします。

「SUUMO住みたい街ランキング2025」藤沢が過去最高の順位に急上昇! 自然豊かで子育て環境の評価が高い、フレンドリーでロコ味のある街

自由通路新設部から北口方面を望む(画像提供/藤沢市)

また、藤沢駅南口駅前広場・デッキの口側の整備については検討・協議段階。交通を整理し、駅前に憩いの場を創出する計画です。
現在ペデストリアンデッキとつながる、老朽化した3つのビル(ダイヤモンドビル、フジサワ名店ビル、プライムビル)を一つに統合する計画もあります。現在のビルは地下に八百屋や鮮魚店、精肉店などが入り地域の食卓を支える人気の買い物スポットですが、営業は2027年夏まで。新たなビルの竣工は2031年秋ごろを予定しています。

ほかにも、市民会館の建て替えやJR藤沢駅の1つ手前に村岡新駅(仮称)が誕生する予定が控えています。

自然環境と利便性のバランスの良さやフレンドリーな街のムードで、すでに注目を集めている藤沢ですが、このような活発な街の新陳代謝も魅力を発信し続ける要因といえそう。ますます期待が高まります。

●関連リンク
SUUMO住みたい街ランキング2025 首都圏版

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