リクルートが、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県)在住の20歳~49歳の男女1万人を対象に実施した「SUUMO住みたい街ランキング2025」を発表。今回は、芸術と文化施設の街として名高い上野が昨年から大幅ジャンプアップ。

昨年からの得点ジャンプアップランキングでは2位になりました。急上昇したのは20代の若者が評価したから。一体どうしてなのか?その理由に注目しながら「上野」の街の魅力を探ります。

魅力的な文化・娯楽施設が集う街

「SUUMO住みたい街ランキング2025」上野が大幅ジャンプアップ! 若者が注目する理由を調査、キーワードは「アート&カルチャー」

総合ランキングで昨年の51位から18も順位を上げ、過去最高位にせまる33位にランクインした上野。昨年から「得点ジャンプアップした街(駅)」のランキングでも2位と急上昇しました。
性別、年代別、ライフステージ別の内訳では、シングル世帯からの支持が高く53.8ポイント。昨年よりも9.6ポイント伸びています。さらに20代からの得票も大幅にアップ。若者世代の支持を集めています。

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「上野」といえば誰もが思いつくのが「上野動物園」や「上野恩賜公園」、公園を取り巻くように点在する「東京国立博物館」「国立科学博物館」「国立西洋美術館」「東京都美術館」といった数々の美術館や博物館。

調査でも上野を評価した人が回答した街の魅力でも「魅力的な文化・娯楽施設が充実している(映画館、劇場、美術館、博物館など)」という回答が最上位で、今回、ランキングの対象となった駅231駅中3位と首都圏全体の中でも屈指の評価の高さといえます。しかしそれだけではありません。「街に賑わいがある」「公園が充実している」といった声も寄せられています。

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「2025年順位」は今回のランキング対象となった全231駅の中での偏差値順位

賑わいといえば、お買い物スポット。上野で古くから知られているのが、通称アメ横と呼ばれる「上野アメ横商店街」。戦後、ヤミ市で飴を売る飴屋が数百件も並んでいたことからアメヤ横丁というニックネームになりましたが、今でも市民の胃袋を支えています。

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年末年始の買い出しでごった返すアメ横(写真提供/PIXTA)

近代にオープンしたスポットも目白押し。駅前には上野フロンティアタワー(「松坂屋」「パルコ」「TOHOシネマズ」が入居する複合施設)「UENO3153」「アトレ」など、「御徒町吉池本店ビル」が古くから存在する「上野マルイ」「アメ横センタービル」らと共存しています。徒歩15分圏内のコンパクトなエリアにぎゅっと集い、上野エリアの衣食住とレジャーをまるっとカバーしています。

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駅前で一際存在感を放つ上野フロンティアタワー(写真提供/PIXTA)

アミューズメントスポットも忘れてはなりません。動物園のほか少し歩けば「浅草花やしき」や「浅草ROX」など古くからの遊興施設も、もちろん今でも健在。老いも若きも時代変わらず楽しめることが魅力です。

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「浅草花やしき」。今や都内には数少ない貴重な遊園地(写真提供/PIXTA)

低廉な家賃、交通アクセスのメリット

上野の魅力から外せないのは交通アクセスの良さ。「通勤・通学など特定の場所に行きやすそう」という回答も。

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改修されて交通の便が良くなった上野駅周辺(写真提供/PIXTA)

上野駅は在来線のほか新幹線も停車する、東東京エリアの中でも押さえておきたいターミナル駅。

JRは山手線、京浜東北線、常磐線をはじめ6路線が乗り入れ、東京メトロは2路線、私鉄は京成線が乗り入れています。新幹線は北陸新幹線、東北新幹線、山形新幹線など複数乗り入れる充実ぶり。また京成線は成田空港へアクセスし、国際玄関口への通り道にもなっています。

東日本最大級の交通大動脈「東京」駅にも近いエリアで、通勤や通学、出張や旅行にスイスイ行けるのが魅力ですね。

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新幹線をはじめ、多くの路線が乗り入れている(写真提供/PIXTA)

新旧が共存するカルチャーの発信地、注目の「東上野」

コスパライフを支えるのが飲食店や日用品店。旧来からあるディープな専門店街「アメ横」の他「東上野コリアンタウン(通称キムチ横丁)」など安くて面白くて美味しい店が集います。しかし若者が目をつけているのはそこだけではありません。最近の注目スポットは「東上野」エリア。老舗から話題のリノベ店舗まで新旧が共存するエリアに魅了されています。

例えば上野といえばの三大純喫茶の一つ「古城」。入口には順番待ちする客の列も珍しくありません。「王城」「丘」と純喫茶をハシゴする人も。喫茶巡りで店独特の雰囲気を満喫するのも楽しいですよね。

そのルートに今どきのリノベカフェを加えてみてもいいかも。

本と植物に囲まれた「ROUTE BOOKS(ルート ブックス)」は工場跡地をリノベした複合施設にあるボタニカルカフェ。工務店の「ゆくい堂」が手がけた施設です。「古城」から徒歩5分圏内にあるので、ぐるりと回ってエリア散歩をするのにおすすめ。古き良き文化とゆるやかなイマドキ文化を味わいつくせます。

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アンティークな内装にグリーンがマッチした店内(写真提供/ROUTE BOOKS)

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不定期でアーティストのライブやマーケットも開催。路地裏の秘密基地のような空間(写真提供/ROUTE BOOKS)

都で銭湯が最も多い台東区

サウナの聖地「上野」エリア。実は東京都の自治体で人口当たりの銭湯が最も多いのが台東区です。サウナブームで注目されているなか、昔ながらの銭湯やサウナを日常的に楽しめる環境は魅力的に映ります。

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BEAMS・牛乳石鹸とコラボレーションしたイベントで、ガラリと変わった浴室内の壁(写真提供/寿湯)

「白水湯」「日の出湯」「萩の湯」など、昭和時代から営業しており今でも元気な銭湯が多数。「寿湯」はアパレルブランド「BEAMS」とコラボレーションした風呂の内装に仕上げたりなど若者を意識したイベントも実施しています。ほかにも、ヨガ教室を行ったり、ランニングステーションとして使える銭湯なども。つかるだけではない、銭湯を取り巻く新しいカルチャーが生まれていて、場を通じて新たな体験を求める人が集います。

若者はアートや街活動などにも積極参加

休日は喫茶巡りやサ活のほか、公園や商店街でのイベントも楽しめます。

上野公園内のイベントスペースや広場では毎日イベントが事欠くことはありません。フードフェスやライブに美術館や博物館での企画展も充実。もし予定がない日でもふらっと行けば充実すること間違いなし。
これらはどんどんとパワーアップしています。というのも、台東区では現在歩行者が居心地良く歩きたくなる都市空間の創出を図る、ウォーカブルなまちづくりを推進中です。

2020年に策定した「上野地区まちづくりビジョン」に掲げる、2040年代の将来像の実現に向けて積極的に取り組んでいます。

この取組の一つとして、地域の人々と区が連携して、上野地区の街の魅力向上を目指した活動をしているのです。

なかでも上野恩賜公園エリアと商店街エリアの回遊性向上に向け、道路や公園等の公共空間を活用した社会実験等の取組を行っています。2023年、2024年には中央通りを歩行者天国のようにして、訪れる人がフードワゴンやライブを楽しむ「上野広小路ヒロバ化実験」、不忍池の南側に多数の「ブックカフェ屋台」が登場し、青空ブックカフェにするイベント「不忍池ブックカフェ」を実施しています。

また上野・湯島の歓楽街で、空きスナックを使ったイベント「アーツ&スナック運動」なども実施。キッチンカーや飲食店や雑貨や物販店などが出店して街の賑わい・交流が生まれています。

こうした歩けば何かに出会えるイベントには、暮らす街の人と交流したい若者も参加しています。

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不忍池に一番近い飲食店街でゆったりテラスでの営業を実施。この時は空きスナックでの創作演劇『綾なす磁場』を開催(画像提供/アーツ&スナック運動)

「SUUMO住みたい街ランキング2025」上野が大幅ジャンプアップ! 若者が注目する理由を調査、キーワードは「アート&カルチャー」

不忍池のほとりで開催した、ブックカフェ企画「池のほとりの本のみち」(画像提供/アーツ&スナック運動)

旧来の文化施設や公園に、コスパの良い店が集う。加えてアクセス面も申し分なし。もともとの環境の良さに加え、ニューカルチャーが形成されつつある上野エリア。新旧文化が歩いて15分圏内に揃い、お手軽に味わえるのなら流行りに敏感な若者も住みたくなりますよね。人々が注目するのもうなずけます。

●取材協力
アーツ&スナック運動

●関連リンク
SUUMO住みたい街ランキング2025 首都圏版

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