●全国各地でよく目にする「赤い看板」が目印の焼き鳥店『やきとり大吉』。その歴史は長く今年で46年目。

今回は『やきとり大吉』の秘密について徹底取材!

 全国でよく目にする「赤い看板」が目印の『やきとり大吉』。全国に515店舗(2023年2月末現在)を展開する巨大焼き鳥チェーン店です。チェーン店ではありますが、「店舗リース方式」というフランチャイズ方式(後述)を取っており「各店ごとの店主が、その店の主」という独特のブランドでもあります。

 しかし、『やきとり大吉』で飲食したり、名前を知っている人の間でも、そのストーリーや人気の秘密を知る人はまだまだ少ないように思います。そこで今回は巨大焼き鳥チェーンに飛躍した『やきとり大吉』が“何故こんなに人気で愛されているのか?” その秘密について、運営する『ダイキチシステム』の担当者を直撃。また、肝心の『やきとり大吉』の味わいもレビューしご紹介します。

他チェーンが見向きもしない「住宅街」で展開することで需要を独占!

謎多き巨大焼き鳥チェーン『やきとり大吉』はなぜ人気なのか? 中の人に秘密を聞いてきた!
『やきとり大吉』のカウンター席

『やきとり大吉』は安心して食べられる価格と、お店ごとに仕込む焼き鳥の味わいが魅力です。一見難しそうにも感じるこのシステム、どのようにして確立されたものなのでしょうか? 担当者に聞きました。

「焼き鳥屋で重要なことは、きちんと目利きした仕入れ、心をこめた仕込み、新鮮な焼き鳥の提供に徹すること、これらを愚直に実行し続けることです。その理念が重要だと考えています。

 会社創業当初の『やきとり大吉』では『商売をしたい気持ちはあるが、資金がない』といった若者層と、『資金はあるが、自分で商売はできない』といった人間を引き合わせる『店舗銀行システム』というユニークなコンセプトを打ち出しました。

 このコンセプトで、飲食店向けの内装設備付きリース店舗の展開をスタートさせたのが始まりで、500を超えるチェーン展開に至りました」(担当者)

 結果、『やきとり大吉』は居酒屋チェーンの走りとしても知られるようになり、各店舗で多くの人に愛され続けているのはご存の通りです。ただし、少々不思議なのは「え? こんな場所に?」と思うような住宅地や非繁華街でも『やきとり大吉』の看板をよく目にする点。

これについて聞いてみると……。

「創業当時は、店数やエリアなどの出店計画がなく、商売をしたい人がいるエリアに出店を重ねていきました。海外も同じです。結果的に、他のチェーン店が見向きもしなかった郊外や住宅街に展開することで需要を独占でき、一人勝ちの状況を作り出すことができました」(担当者)

「住宅街」特有の問題を解決させた電気グリラー

謎多き巨大焼き鳥チェーン『やきとり大吉』はなぜ人気なのか? 中の人に秘密を聞いてきた!
『やきとり大吉』独自開発の電気グリラー

 ただし、「住宅地ならでは」の特有の苦労も多くあったそうです。特に、商業エリア以外の家主さんの中には「焼き鳥の煙や匂い」を気にする人もおり、店舗物件を貸してもらえないことも多々あったと言います。そこで『やきとり大吉』では、この難問をもクリアすべく、あるオペレーション機材の開発に乗り出しました。それが専用の電気グリラーです。

 この電気グリラーによって、焼き鳥を美味しく焼くと同時に、煙や匂いをできるだけ出さずに済むようになったんだそう。

「炭火の焼き台のみにこだわらず開発した電気グリラーは、さまざまな方々の意見や要望を聞いて実現させたものです。こういった『改善』の積み重ねもまた、『やきとり大吉』の特徴です」(担当者)

店主自身が汗を流して働く「生業」として商売に徹する

謎多き巨大焼き鳥チェーン『やきとり大吉』はなぜ人気なのか? 中の人に秘密を聞いてきた!
『やきとり大吉』は各店の店主が主人公です

 ここまで紹介してきた通り、革新的な開業システムを採用しながら、各店の顧客・店主・店舗の家主といった多方面に配慮し改善を続けてきた『やきとり大吉』。しかし運営のダイキチシステム担当者は「主人公は店主」だと言い切ります。

「創業当初からのコンセプトは、『店主自身が汗を流して働く『生業(なりわい)』として商売に徹する』というものです。本部は、電気グリラーやメニューなどを提供する一方で、仕入れ・仕込みなどは各店主が独自に行っています。

とくに店主自ら作り上げる『つくね』、王道の『はさみ(ねぎま)』、パリッと焼き上げる『かわ』が人気の串メニューです」(担当者)

新鮮な素材の味を引き出した焼き鳥を実食!

謎多き巨大焼き鳥チェーン『やきとり大吉』はなぜ人気なのか? 中の人に秘密を聞いてきた!
店主自慢の串焼きたち。左上から「つくね」「こころ」「はさみ」「豚バラ」「しそ巻き」「かわ」「きも」「手羽先唐揚げ」

 話を聞いていたら、焼き鳥を食べたくなってきました! 今回は『やきとり大吉 新井薬師前店』にお邪魔してきました。

 前出の電気グリラーのおかげで店内に嫌な煙はなし。

安定した火入れで焼き鳥が焼き上げられていきます。タレでお願いした「つくね」「こころ」「はさみ」は、いずれも素材の旨みと食感を存分に引き出されていて、お酒のお供にピッタリ。また、塩でオーダーした「豚バラ」「かわ」「きも」、大吉特製の梅肉を使った「しそ巻き」は、飲み始めはもちろん、飲み終わりの「もう一本」にも最適な味わいで最高でした。

 そして、「手羽先唐揚げ」はスパイシーな衣に、噛み締めるたびに溢れる肉汁が口の中に染み渡る味わい。どの部位も極めて新鮮で、ここ新井薬師前店の店主の目利き・仕込み術を強く感じた次第です。

SNSでも話題!『やきとり大吉』名物「焼きおにチーズ」

謎多き巨大焼き鳥チェーン『やきとり大吉』はなぜ人気なのか? 中の人に秘密を聞いてきた!
シメにおすすめの「焼きおにぎり」と「焼きおにチーズ」

 串焼きを堪能したあとは、シメにオススメという「焼きおにぎり」と、上にチーズが重なった「焼きおにチーズ」です。

ふっくらとしたお米にほんのりおこげの醤油味が染みた「焼きおにぎり」は、まさに王道の味わい。電気グリラーのおかげで、焼き加減にもムラがありません。

謎多き巨大焼き鳥チェーン『やきとり大吉』はなぜ人気なのか? 中の人に秘密を聞いてきた!
『やきとり大吉』名物の「焼きおにチーズ」

 そして、『やきとり大吉』名物の「焼きおにチーズ」は、洋風焼きおにぎりで、SNSなどで再現する人もいる人気メニュー。カリカリに焼き上げたおにぎりの上に乗ったとろとろのチーズが、濃厚で食べごたえ十分です。これだけ食べてお酒を飲んでも、2~3千円でお釣りがくる安心価格。これもまた『やきとり大吉』の魅力ですね。

(撮影・文◎松田義人)

●SHOP INFO

店名:やきとり大吉 新井薬師前店

住:東京都中野区新井1-35-13
TEL:03-5942-7794
営:17:00~
休:水曜