毎週月曜日は東京新聞との紙面連動企画。

今日は、マンションの非常用発電機についての東京都の補助金について、読者からの投稿に端を発した「ニュースあなた発」に注目しました。

エレベーターと水道、両方まかなえる発電機に更新…は対象外?

これは、災害時に在宅避難ができるように、マンションの非常用発電機や蓄電池設置に補助金を出すという東京都の事業。この補助金に申請をした読者から投稿がありました。

どんな内容だったのか。投稿をした、西東京市のマンションの修繕委員を務める、小田収さんにお話を伺いました。

西東京市のマンション 修繕委員の小田収さん

「大きなマンションの場合は、消防法で決まっているので付いてます、非常用の発電機です、元々付いてます。このマンションもそろそろ30年なので、もうそろそろ替えないといけないということと、もう一つは、エレベーターは非常用発電機でカバーしてるんですけど、水道がカバーしてないんですよ。

で、今のままだと、停電になったら、水道の水は実際にこのマンションまで来ていても、各戸に水が上げられないと。だから、そこら辺も含めて、すべてをちゃんと使えるような非常用発電機に更新するという工事をしたいと思って提案してるんです。

東京都の補助金っていうのは、エレベーターと水道、両方カバーしないともらえないんですよ。で、その条件もちゃんとクリアして大丈夫だということで、申請してみたら、いや、お宅は対象外ですよって急に言われてしまって、それはちょっと違うんじゃないの?ってことで、東京新聞さんに投稿したということです。」

水道のポンプもまかなえる非常用発電機に新しく取り替えようと申請したところ、この補助金は新規で発電機を設置するマンションが対象で、新築のマンションを建てる場合や、元々ある発電機を新しく更新するのは対象外と言われてしまったのです。

しかし、小田さんは、すでに建っているマンションで、新たに発電機をつけるなんて、普通に考えるとありえないと言います。

というのも、消防法で義務付けられているから、建てる時に設置しているわけで、義務じゃなければあとから設置する理由もないし、建物が建ってから、大きな発電機のためのスペースを設けたり、吸排気の穴を、建物のコンクリートに開けたり、発電機からの配電のための配管を通さなければならないので、ほぼ不可能ですよ、と。確かに、現実的に無理がありますよね。

東京都「在宅避難」看板倒れ?の画像はこちら >>
<小田さんのマンションの非常用発電機 右手は燃料層 かなりの広さが必要な装置です>
東京都「在宅避難」看板倒れ?
<非常用発電機の部屋の隣の隣に給水ポンプ室が ここまで配電用の配管を引く必要があります>

小田さんは、補助金の申請をした去年の9月からずっと都とやり取りし続けました。

義務になっている性能部分は補助金の対象外?煩雑な補助金申請

そして、投稿を読んで動いたのが東京新聞社会部の神谷円香記者。

年明け、都に取材をすると、更新でも対象にするように検討していますとの答えがあり、実際1月に更新も対象になり、申請から5カ月、2月13日に補助金交付が決まりました。神谷記者のお話です。

東京新聞社会部 神谷円香記者

「都の方も、そうした非常時に数日間は緊急的に留まれるようにするために発電機を設けましょうっていう趣旨でこの補助金を設けているんですけれども、そうすると、小田さんたちがやってることって、すごく意識の高いこと、ちゃんと自分たちで自分たちの身を守れるようにってやろうとしているのに、法的義務があって元々付いている、それだけでは設備は足りないのに、最低限の設備でしかないから買い換えようとしてるのに、はじめはダメだと言った。

で、さらに、その法的義務があるところは義務だから、都が補助する理由にはならない、みたいなことで、結果的にそこは対象外にしてるんですよね。だからその、最低限消防法で、義務のある部分のお金のところは結果的には出さないということになって、まあ、たしかに言われてみればそうだけれども、ってとこですよね。そこを杓子定規にやる必要ってあるのかな?っていうその疑問はありますよね。」

消防法では、緊急的に消防設備などを動かすのに必要な性能について、義務付けています。

つまり、エレベーターを動かすための非常用発電機を義務付けているので、新しく買い替える発電機の、エレベーターを動かす部分については補助しない。

そして、水道も動かせるようにと、今回、主体的に上乗せする性能部分のみを補助金の対象にする、ということなのです。

だから、小田さんは発電機メーカーの方にお願いして、一つの機械の、どの部分が、今回水道の水をポンプで上げるためなのか、そして、それはいくらに当たるのかを計算してもらい、その架空の請求書で補助金の申請をしました。

結果的に、最大1500万の補助金ですが、1100万円もらえることになりました。(発電機の更新には4500万ほどかかる予定。

義務なのでと言われれば、たしかにそうですが、どうなの?と神谷記者も話していましたが、どのメーカーの方にも、そんな面倒な計算してもらえるかも疑問ですし、そんなに面倒ならいいや、と思うマンションもありそうですよね。

補助金の実績がゼロなことに疑問を感じてほしい!

実際、この補助金制度、始まったのは一昨年なのに、今回の小田さんたちのマンションが補助金第一号なのです。その点について、小田さんはこう話します。

西東京市のマンション 修繕委員の小田収さん

「発電機の申請が通ってないというか、補助が実現してないということに対して、東京都がどう考えているかというのが、今一つピンと来ないなですよね。

つまり、普通補助制度を設けて補助の実績がゼロだとしたら、それは補助制度が間違ってるってことですよね。でも、それを担当者がどうもそう思ってない。補助が全くないことに対して何の疑問も感じてなかったということ自体がちょっと私には信じられませんね。

東京都の住民のほぼ6割が集合住宅の居住者だといわれているので、災害の際にマンションに住み続けられるかどうかはすごく重要なんですよ。だから、補助制度を設けたこと自体はとても意味がある。非常に意味があって、かつ、やらなきゃいけないところはたくさんあるのに、東京都がマンションに対する理解が進んでないために、異常な制限を設けて、で、却下してしまった。もう少し実態を踏まえてやってもらえれば、せっかくの補助制度がもっと活きると思いますね。」

都は、「東京とどまるマンション」と謳い、災害時に在宅避難ができる備えに力を入れています。また、今回の補助制度はさらに拡充して、今年度は金額も上げています。

小田さんたちの働きかけで、更新も対象になりました。

実は、小田さんのところに、都の担当者が来て、マンションの実態を説明して見てもらったそうで、勉強になったと言ってたから、変わってくれるといいけど、と話していました。 

小田さんがおっしゃるように、補助制度としては本当にとても良いもの。だからこそ、きちんと使ってもらえる仕組みに変えていってほしいですね。


(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)

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