ご紹介するのは、日本で初めて「AI」を使って作られた校歌。
三重県の桑名市で今月開校した小中一貫校「市立多度学園」の校歌で、1000校以上の校歌を分析し、クラシックの要素も取り入れたAIを使った「超校歌プロジェクト」という取り組みなんですが・・・
「AI」で作る校歌、どうやって?
この日本で初となるAIによる校歌が、どのようにして作られたのか?桑名市教育委員会事務局の垣田智一さんに伺いました。
桑名市教育委員会事務局 学校再編推進課 垣田智一さん
桑名市のほうで、今回学校を起こすにあたって地域の子どもたちであるとか、地域の皆さまに向けて、新しい学校の校歌について、どういうキーワードを歌詞の中に入れたいですか?と募集させていただいたんです。
それによって、700件を超えるようなご応募をいただきまして、生成AIのシステムを使って歌詞案を作成しました。
作曲については、AIによる作曲支援システムというものを理化学研究所に組んでいただきまして「作曲体験授業」っていうものをやっていただいたのですが、40曲ぐらいのメロディ案を作成しました。その40曲ほどの素材を、理化学研究所のAI研究チームが、システムを開発して研究していただきながら、原曲の元になるようなものをいくつか作成されました。そして最終的には音楽の専門家の方たちによって整える作業をいただいて、完成をしていただいたという流れです。
単にAIシステムのボタンを押して完成というわけではなく、たくさんの方々が関わって話し合いを重ねてきました。
歌詞の作成では、地域の皆さんや子どもたちから集まったキーワードをAIシステムに入力すると歌詞候補が現れるんですが、土地の名称や細かい部分はまだまだ人間のチェックが必要。地域の皆さんの協力のもと、歌詞が完成しました!
「作曲体験授業」については、別々の学校の子どもたち同士でグループを組み、取り組みました。メロディの候補を1小節ずつAIが出してくれるんですが、子どもたちとAI、そして子どもたち同士が積極的に意見交換をしながら納得がいくまで組み替えて、40曲のメロディ案を作り上げました。
その40曲のメロディ案は再び1小節ずつに分解され、膨大な組み合わせの中から専門家によって4曲の候補曲に絞られました。とても大変な作業だったようです・・・!そして最終的には、今回のプロジェクトにも関わる音楽家の小室哲哉さんら専門家によって今回の校歌が選ばれました。
AIが引き出した主体性
プロジェクトに参加した「市立多度学園」の子どもたちからは、AIを活用した校歌の作成に積極的な姿勢が見えたようなんです。再び桑名市教育委員会の垣田さんのお話です。
桑名市教育委員会事務局 学校再編推進課 垣田智一さん
最初からAIがこれでいきましょうって出してしまうというよりは、AIに出してもらうヒントみたいなものを元にして、「新しい学校は大きい子から小さい子までいるから、みんなが歌いやすいフレーズにしたらどう」とか、「ここのフレーズは多度の自然のキーワードが出ているから、もうちょっとゆったりした感じにしたいんだよね」とか言ってですね、どんどん参加をしてくるようになりました。
やはり自分たちが関われるっていう主体性といいますか・・・そういった体験ができたので、音楽に興味関心や造詣がある子もない子も、自分たちの地域の財産づくりに関わっていけるというところが、一番のAIを活用したうまみかなというふうに思ってますので、教育的にも価値があったなというふうに感じています。
AIを使ったことで、生徒の主体性が良い方向に出たんですね!
今回のプロジェクトについて、当初は、AIがすべて校歌を作ってしまうのではないか、本当に大丈夫なのか、という心配の声もあったようなんですが・・・「AIがベースを作り、そこに生徒や地元住民の皆さんで手を加えていく」その趣旨を説明すると心配の声もなくなっていったそうです。
AIと地域が織りなす、不思議な魅力
そうした地域住民の協力もあって出来上がった日本初のAI校歌なんですが、AIで作るからこその面白さ・魅力について、今回のプロジェクトのに関わる、理化学研究所の浜中雅俊さんに伺いました。
国立研究開発法人理化学研究所 音楽情報知能チーム チームディレクター 浜中 雅俊さん
東京芸大の学生たちが言ってたんですけど、これは普通こういう音にしないよねみたいな珍しいところがあって、セオリー通りじゃない、でも違反はしていないと。不思議だけど割にいいねみたいな、新しいね、みたいなところが実は曲の中に何箇所かあって、それに合わせてうまく伴奏なんかも作っているので、なかなか奥深い曲になったんじゃないかなというふうに思っています。
(今回の校歌は)3拍子ですね。やっぱり4分の4拍子の方が、強弱みたいなリズムが取りやすいから割と多いと思っていて、3拍子はちょっとレアですね。
おそらく選ばれた曲は、子どもたちが面白いメロディーを作っていて、それを組み合わせてもっといい完成曲ができたというのもあると思います。
AIと子供たちの感性が掛け合わさることで、新しい感覚のメロディーが生まれたんですね!多度学園ならではの個性ある校歌になりました。
ぜひ想いのこもった校歌、聞いてみてください。
今後はこの校歌プロジェクトで活用したAIを様々なジャンルの曲作りに活かして、AIで作る楽曲の幅を広げていきたいと浜中さんはお話されていました。
日本初の「AIと作った校歌」、これから歌い継がれていくのが楽しみですね。
(TBSラジオ『森本毅郎 スタンバイ!』より抜粋)

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