TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。

3月16日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」では、東京・青山にあるシュー・リペアのお店「RECOUTURE(リクチュール)」の廣瀬瞬(ひろせ・しゅん)さんをお迎えしました。

どこにでもあるスニーカーにボリューム感あるブーツ用のソールをドッキングした世界にひとつだけのカスタマイズスニーカーが海外からも大人気!

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廣瀬瞬さんは1986年、東京都生まれ。やりたいことが見つからずに周りに流されて過ごしていた大学2年生のときに靴の修理店でアルバイトを始めたのが始まりでした。

海外でも大人気のカスタマイズスニーカー「リクチュール」

「人の運命というかきっかけというのは不思議なもので…。大学生のときにちょっと学校に行くのがいやになっちゃったんですか?」(久米さん)

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「そうですね。20歳までなんにも考えずに生きてきたというか、別に何をしたいというのもなくて。けど、高校に行って大学に行くのは当たり前だと思ったんで。それで大学時代にネットゲームにはまっちゃって、1回はまっちゃうとすごいやっちゃうんですね。やりたいことにはすごく突っ走るというか。それがゲームだったんです。1番になりたいというか。それで1番になったら、目標がなくなったというか(笑)。楽しいことがなくなっちゃった、みたいな」(廣瀬さん)

「それで引きこもりになったりしそうですけど、バイトに行こうと思ったのが偉いね。

どうしてバイトをやろうと思ったの?」(久米さん)

「大学は留年確実と言われていたので2年生のゴールデンウィーク以降は行かなくなって、冬休みまでずっとゴールデンウィーク(笑)。それで大学にはもう戻れないし、お金もないんで、バイトするかと」(廣瀬さん)

「この番組でこういう後ろ向きな発言はめったに聞けないからいいね(笑)」(久米さん)

そんなことから靴修理店のアルバイトに応募したところから廣瀬さんの人生が変わり始めるのですから、分からないものです。高校時代にスーパーやコンビニでアルバイトをしたときには時間が過ぎるのがとても長かったのに、靴の修理はいつの間にか夕方になっているというくらい時間が経つのが早くて、これは自分に合っていると感じたそうです。洋服のお直しのフランチャイズ店オーナーをやっている母親に似て、手先は元々起用だったという廣瀬さん。高校のときは授業中、退屈しのぎにミサンガを編んでいたくらい(あまりお勧めできませんけど?!)手を動かすことが好きで、靴修理の技術はどんどん習得していきました。ただ、接客が苦手で半年でクビに近い状態になって一度はやめてしまいます。その後、焼き肉店でアルバイトをしていると、以前働いていた靴修理店の本部から声がかかったのです。

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「廣瀬くん、いま何やってるの? 西荻窪にあるお店があと3ヵ月で閉めることになったんだけど、靴修理のアルバイトしない?って電話がかかってきたんです。いやあ、焼き肉屋のバイトが楽しいんで…と言ったんですけど、時給1250円出すけどって言われて。焼き肉屋が時給850円だったんで、1週間後には西荻窪に行ってました(笑)」(廣瀬さん)

「それで3ヵ月やったの」(久米さん)

「そうです。そこはひと月の売上がひどかったんです。本当にお客さんが来ないんですよね。

ただ、来てくれたお客さんには、自身のあった技術にプラスして、焼き肉店で鍛えた接客すると、結構リピーターになってくれたんです」(廣瀬さん)

修理に持ち込まれた靴を見るとお客さんから依頼があったところ以外にもあちこち傷んでいることが多く、ほかの修理も提案すると喜ばれたそうです。当然、修理代も上乗せされますから、3ヵ月経った頃には店の売り上げが3倍に! その活躍を見込まれた廣瀬さんはなんとフランチャイズ店のオーナーに抜擢(系列店最年少の20歳のオーナー)。翌年には2店舗目も任されました。

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そして5年後の2013年、26歳で独立し、東京・国分寺市に「KOKUBUNJI SHOES(国分寺シューズ)」をオープン。修理の技術には自信があったのですが、お客さんは思ったようには集まりませんでした。紳士靴の修理を細々とやっていたあるとき、廣瀬さんは久しぶりに履いたスニーカーに物足りなさを感じました。ナイキの『コルテッツ』というスニーカーでした。ブーツばかり履いていた廣瀬さんにはコルテッツのボリュームのなさがしっくりこなかったのです。それでブーツ用のソールに貼り替えてボリュームのある形にカスタマイズしてみました。そのときは遊び感覚でやったのですが、これがそれまでほとんど無名だった「KOKUBUNJI SHOES」の名を世に知らしめることになるのです。そのきっかけは…。

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「アルバイトで雇った大学生に『廣瀬さん、インスタグラムやったほうがいいスよ』と言われたんです。

そのときぼくはインスタも知らなかったんですけど、ああ、そう?って言ってやり始めたんです。初めは店で修理した靴やカバンを写真に撮ってインスタにあげていたんですけど、1つ投稿するとフォロワーが3人ぐらい増えるんです。新しい写真を投稿するとまた3人ぐらい増えるんです。それでフォロワーを1年で1000人増やすのを目標にしていたんですけど、あるとき、そのカスタマイズした自分のスニーカーの写真を投稿したら、すごい反響があったんです。『ぼくのもやってほしい』みたいなコメントが来て。それをカスタマイズしてまた投稿したら、また違う人が『ぼくのもやってくれ』って。それがどんどん増えて、そのままいまも続いている感じです」(廣瀬さん)

廣瀬さんのカスタマイズスニーカーはインスタグラムで瞬く間に人気に火が付きました。1000人を目標にしていたフォロワーは一気に1万人になり、いまでは4万人にまで増えました。それに比例するように依頼も増え続け、沖縄から北海道に至るまで全国から続々と寄せられています。そして、それにも増して海外での人気がとてもに高いんです。インスタグラムのフォロワー4万人のうち6割は外国人。そして売上の4割が海外からの依頼だそうです。

海外の人は日本の靴にとても興味を持っているそうで、日本に旅行に来たその足でお店を訪ねてくるそうです。

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「アジアがやっぱり多いですけど、ロシアやアメリカからも靴を持ってきます。あと台湾の人はスニーカーが好きなので多いですね」(廣瀬さん)

こうして2016年から「KOKUBUNJI SHOES」はスニーカーのカスタマイズも手がけるようになり、廣瀬さんは2017年に店名を「RECOUTURE(リクチュール)」と変えました。「リクチュール」というのは廣瀬さんの造語です。

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「スニーカーのカスタマイズは、オートクチュールではないけど、クチュール(仕立て)し直すことかなと思って、それで『RE』を頭に付けて『RECOUTURE』にしました」(廣瀬さん)

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東京から離れた地方や海外からわざわざ来店する人が増えてきたので、今年(2019年)1月、「RECOUTURE」は国分寺から青山に進出。海外からの来店がさらに増えたそうで、ファッション関連のメディアから大きな注目を集めています。移転間もない店内には持ち込まれたスニーカーが壁一面に山積み。現在2~3ヵ月待ちだそうです。

最近はソールだけでなくアッパー(上の部分)のカスタマイズも手がけるようになり、仕事がますます面白くなってきたと廣瀬さんは言います。エルメスのスカーフをアッパーに仕立てたカスタマイズスニーカーを手に取った久米さんは、「インスタグラムで見るよりも、実物のほうがはるかにかっこいい! みんな実物を手に取ったら、欲しくなるでしょう」。

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アッパーのカスタマイズはまだ依頼は受け付けていませんが、そのうち始めるかもしれません。実は廣瀬さん、アッパーもソールもカスタマイズした完全オリジナルスニーカーも試作しているんです。

「将来は靴の修理とカスタマイズと、さらにオリジナルの3つをやっていければと思っています」(廣瀬さん)

廣瀬瞬さんのご感想
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ゲームのことなんかは話そうと思ってなかったんですけど(笑)、すごく話しやすい方だなと思いました。正直言ってもっと怖い方かなと思っていたんですけど、すごくリラックスして話せました。面白かったですね。ありがとうございました。

◆3月16日放送分より 番組名:「久米宏 ラジオなんですけど」
◆http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190316130000

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