2019年10月20日(日)放送
武井壮さん
1973年、東京都葛飾区出身。陸上十種競技の元日本チャンピオンで、1997年に100m走で10秒54のベスト記録を達成(当時)。

世界マスターズ陸上の金メダリストでもあります。タレントとして俳優として、大河ドラマや映画に出演するなど活躍中。

出水:武井さんとジュンコさんの接点は、意外にもアート?

JK:そうなんですよ! 全然想像がつかなかったんですけど、寺田倉庫でアートバトルっていうのがあって、その時の司会がすごかったですよ。

武井:プロレスのリングアナみたいな感じでアーティストを1人ずつ呼び込んでね。

JK:ああいうの向いてるなぁって思って。アートなんだけど、そういう呼び込み方だからみんなオオ~ッ!ってなって(笑)

武井:まあ、戦うイベントだったんですよね。即興で、20分で5人が一斉に絵を描くっていう。

出水:武井さんとアートの接点はどこにあるんですか?

武井:僕は好きだっていうのもあるんですけど、アートにはいろんな可能性があるなと思って、触れておきたくて方々に言って回っているんですけど。そしたらアートバトルっていう戦うイベントがあるよって聞いて、お声がけいただいて。

JK:戦うアートって響きがいいわよね。

武井:僕自身も、画廊とかアートギャラリーをオープンしたくて、それに向けて動いているんです。そろそろやれそう、ですね。

描いてくれる人も見つかって、画材を届ける作業に入ってて。まだ決まってないのが場所だけです(笑)

JK:場所が大変なのよ!

武井:サイアクwebからスタートしてもいいなと思っていて。あとは面白いところとコラボして、そこに飾るでもいいし。

JK:アートって無限大、考え方だからね。絵ばっかりじゃなくて、もっと「らしい」ことを考えたらいいと思う。普通のギャラリーっていっぱいあるから。

武井:僕はギャラリーで絵を扱うってことをやりたいわけじゃなくて、そこが発信地点になって、アスリートだったりスペシャリストとコラボしていく。その方々の居場所というか、ハブみたいなものになれたら嬉しいなと思っています。

JK:そういうのは今までなかったわよね。スポーツとアートって。

武井:スポーツってすごく誰でもできることじゃないですか。ぽろっと練習したり、体験したり、草野球があったり。

日本にはいろんなスポーツができる場所があって、誰でもできることなんだけど、その中でたった一人しかいないチャンピオンを目指すとなると、誰もしていない作業をしていかないといけない。テーマを与えられたときに、考えて、成功する能力っていうのが高いのがアスリートだと僕は思っているんです。

JK:アスリートがトップを目指す経験を、アートに置き換えたらどうなるのか?

武井:そうですね。アスリートのATHLETEの間にRを入れるとARTTHLETEになる、みたいな感じで。そういう意味合いも込みで、いろんな展開をしていけたらいいなと思っています。

JK:あとは子供ですね! 子供は誰でも芸術家だって私は思ってるの。

武井:子供?! あ~たしかに。コシノさんのお孫さん、すごい素敵な象さんを描くんですよね! コシノさんのお宅にお邪魔した時に絵が飾ってあって、「素敵ですね」って言ったら「これうちの孫なのよ」って(笑)僕、衝撃を受けて!

JK:小学校2年生。子供部門のアートバトルで、20分なのに10分で描いちゃって(^^)「10分ヒマだった~」って(笑)

武井:やっぱり遺伝子なのか、コシノさんの文化で育っているから自然とはぐくまれているのか・・・

JK:でも私も、そんなに描けるなんて知らなかったの。突然変異なのね。でもそういう環境を作らないと。大人が環境を作って、自由にやらせる。

武井:アートを見に行くことすらしたことない人たちって結構いますよね。何年前かに行ったな~っていう人が多くて。さらに自分で塗ったり作ったりする作業って図画工作以来で、大人になってからあんまりやったことがなくて。誰にでも可能性はあるものを、ほとんど手つかずにしているのはもったいないなと思ってるんです。文化として。

JK:そういう意味で、見せるっていうのはすごく重要。うちの息子が小学校の時、横浜美術館のミロ展を見に行ったのね。戻ってきたら、絵を描いて描いて止まらないの! もうびっくりしちゃった。アメリカなんか、美術館はもう子供が1日中いて、べちゃっと座って絵を描いたり。動物園みたいに子供がいるんですよ! 日本って美術館にはあんまり子供はいないでしょう。逆に注意されちゃったりとかね。

武井:街ももうちょっとそういう風になったらいいなと思って。

ヨーロッパなんかに行くと、街じゅう全部アートみたいな感じに見えるし。でも日本はまじめだから、きれいな四角いビルが多くて。スポーツをプレイする場所も全然芸術的じゃない。

JK:中国なんかだと道に卓球台が置いてあってね。拾いに行くの大変だろうなって思うんだけど(笑)道でやってますもんね。

武井:そういうところを拾っていけたらいいなと思います。

出水:武井さんは十種競技の日本チャンピオンでいらっしゃいますが、そもそも十種競技って何なのかご説明いただけますか?

武井:十種競技は2日間かけて行う競技で、初日・2日目それぞれ5種目ずつ行って、それぞれの種目に割り当てられる得点があるんですけど、総合得点の高い人が優勝するという競技です。初日の種目が100mからスタートして、走り幅跳び~砲丸投げ~走高跳~400m。夜を挟んで次の日に、110mハードル~円盤投げ~棒高跳び~槍投げ~1500mで最後です。

出水:聞くだけでハードですね~!!!!

JK:走るのは良いけど、幅跳びとか高跳びとか、ハードル高いですね(^^)10種目全部トップだったんですか?

武井:いや、10種目の合計点で競うんですけど、その合計点で日本選手権で優勝させていただきました。その中の100mと400mで、十種競技として新記録を出させていただいて。

JK:それはオリンピックに出てほしいわね!!

武井:もう20年も前なんで(笑)でもシニアの世界マスターズには出させていただいて、2回金メダルを取りました。

JK:あれは本当に金なの?? それとも金色??

武井:だいたいのものは金メッキをかけてますよね。

JK:やっぱり本当は金じゃないとねぇ。

出水:全部金となると、相当の価格になりますよ(^^;)武井さんはいろいろなスポーツをやっていて、中学で野球、高校ではボクシングと陸上……

武井:いや、高校は地理歴史研究部で。体育会系の部じゃないんです。

JK:へぇ~! シブイわね~!!

武井:大学で陸上部だったんです。ゴルフは大学で陸上を終えた後にアメリカ留学で始めたんですけど、ゴルフは右打ちで野球は左打なんです。

JK:あらっ。両方? そんな器用な!

武井:子供のころ、スポーツで食べて行こうと決めたのが小学校3年生の時で、その時ふつうに右利きだったんですけど、小学校の時に全部を左利きに変えたら、いまもどちらも使えるようになってきて。足も、十種競技のときに両脚を使いたいんで、初日の走幅跳と走高跳は右で跳ぶ、2日目の棒高跳びは左で跳ぶっていう練習をしてて。

出水:え・・・えーっ?!

武井:だから僕は利き手と利き脚ってあんまりないんです。ダブルドミナントっていうんですかね。どっちも利き脚のように使えるっていうのを小学校のときに作ったので、左右どっちからでもはいれるんです。

JK:前に左右両利きの方と卓球をやったんだけどね、両方使うの。だからダブルスを一人でやるって! そういう競技ないかしらね?? 右と左、交互で1人ダブルス。

武井:面白いですね(笑)スポーツも、いまのルールに+αするとより楽しめるようになるものが多いですから。それってやっぱりコシノさんの考え方ですよね。僕もスポーツ見てると、ここがつまんないなとか、ここをこうしたら面白いって思うんですけど、コシノさんの考え方は参考になります。当たり前のものを、それ以上にするっていう発想がもともとあるんでしょうね。

JK:そ、そうですか(^^)じゃあ、実現するように(笑)

武井:いま僕ビリヤードをやってるんですよ。あれは物理的な法則があるので、それを完全に理解してあとは力加減。経験が非常に重要なんですけど・・・ナインボールってあるじゃないですか。ブレイクして1番から順番に落としていって、9番を落としたほうが勝ちっていう。それがすごく難しいんですよ! どうしても次の順番のボールを落とせない配置になっていたりして。プロはそういうときにコツンと当てて、邪魔して相手に取らせないようにする。非常に難易度が高くて初心者には向かないゲームなんです。でもトム・クルーズの映画「ハスラー2」が日本で流行っちゃったもんだから、ナインボールが主流になっちゃったんですよね。だけどほとんど入らないから、楽しくなくて辞めちゃう。プロでも外すような球がいっぱいあるのでね。それだとつまんないなと思ってて。僕が今やってるのはプロテストの種目なんですけど、ボウラードっていうボウリングとビリヤードを掛け合わせた競技があって、スコアカードで点数をつけるんです。

JK:へぇー。面白そう!

武井:それはブレイクしたら、好きな球から落としていって、10個全部連続で落とせたらストライク。1回失敗して、2回目で全部落としたらスペア、っていう風にスコアをつけていく。全くボウリングと同じで、10フレーム3ゲームやって合計点を競うんです。630点がプロテスト合格の基準なんですけど、ただこれも長くて、非常に集中力が試される。だから、これのショート版をやったらおもしろいんじゃないかなって。3フレームで30点満点、しかも同点だったら、タイムが遅いほうが負け。っていうルールを作れば、最初にやる人も早くプレイしなきゃいけないからミスも誘発するし、エキサイティングなゲームになると思うんです。だから、ショート版の大会を開こうと思ってて。

JK:やるんですか?!

武井:僕自身が出たいので(笑)最初は有名人がやって、一般の人が入りやすい入口を作ったらおもしろいかなって。それができるようになったら、ナインボールもいつのまにか上手くなってますから。

JK:開拓者! 新しい改革よね! ・・・囲碁とか将棋とかは?

武井:面白いですよね! もし僕の身体が動かなくなったら、そっちのゲームにも可能性があると思ってて。あれももうちょっと、時間制限をなくしていくと面白くなるだろうな。

出水:武井さんの人生のやりたいことリストってどんだけ長いんでしょう??

武井:丸い地球上にあるものすべてが僕のフィールドだと思っているので(^^)

◆10月20日放送分より 番組名:「コシノジュンコ MASACA」
◆http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20191020170000

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