PlayStation®初の公式ラジオ番組として、2016年4月からレギュラー放送しているプレイステーション presents『ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ』(毎週木曜日 夜9時~)。寝食を忘れてゲームにのめり込むほどのゲーム好きで知られるライムスターの宇多丸と、ゲームをこよなく愛する著名人をゲストにお招きし、「人生におけるゲームとの出会い」や「あのゲームとの思い出」「今オススメのゲーム」など、ゲームについて楽しく熱く語り合うトーク番組です。
第227回:パンサー 菅良太郎さん前編
「街の感じとか、お母さんの感じとか、全部いい」パンサーの菅良...の画像はこちら >>

キムタクがCMをやっていて、なんだろう……と気になった

「マイゲーム・マイライフ」のゲストに、パンサーの菅良太郎さんがやってきました。今回の放送後記では、パンサーの菅さんにとってのベストゲーム「MOTHER2」のお話をたっぷりお届けいたします。
「街の感じとか、お母さんの感じとか、全部いい」パンサーの菅良太郎のマイベストゲームはMOTHER2
菅「一番好きだったのは、MOTHER2ですね」宇多丸「おお、ああ、そりゃあ。でもリアルタイムじゃないんですね?(※過去のゲームを遡ってやっていったという話の流れだったため)」菅「あ、これはリアルタイム」宇多丸「これはリアルタイム」菅「これはスーファミでリアルタイムなんですけど、1994年なので、僕がちょうど小学校6年生のとき。で、CMもすごくて」宇多丸「キムタク。やってましたね」
「街の感じとか、お母さんの感じとか、全部いい」パンサーの菅良太郎のマイベストゲームはMOTHER2
菅「で、なんなんだろう、って気になって買ったら、なんすかね、MOTHERって……。普通のRPGと違って、なんかすごい優しい世界なんですよね。
敵も、殺しちゃったりじゃないんですよ。全部『やっつけた』とかで。なんだろうな、街の感じとか、お母さんの感じとか、全部いいんですよ。しかも、『好きな献立は?』って一番最初に、名前とか決めるときに、『好きな献立は?』って出てくるんですよ」宇多丸「ええ、ええ」菅「どういうこと? って思って。一応ナントカって入れるじゃないですか」宇多丸「カレー、ハンバーグ」菅「好きな献立は、ハンバーグ。これ、物語が進んでいって、家に帰ると、家に泊まれて、HP全快するんですけど、そのときに必ずお母さんがこれ作ってくれるんですよ」宇多丸「好きなもの作ってくれる」菅「そう。
そういうなんかこう、細かいところもすごく凝っていて、大好きなんですよね」ところで実は私、パンサーの菅さんとテレビ東京でやっていた番組『勇者ああああ』で共演したことがありまして、僭越ながらそのときのお話もしてくださいました。
「街の感じとか、お母さんの感じとか、全部いい」パンサーの菅良太郎のマイベストゲームはMOTHER2
宇多丸「もう名作ですもんね。ちなみにこの番組の放送後記でですね、いつもピリリと面白いコラムを書いていただいている朝井麻由美さんのベストゲーム、MOTHER2で。あの、なんか番組で、『勇者ああああ』で」菅「あ、一回MOTHER2特集みたいなのがあって、それで一回共演させてもらったんですよね」宇多丸「もう朝井さんも相当ね」菅「いやー、すごい。あの人マジで話止まらないです。MOTHER2のことになると」宇多丸「僕がただ、ひとつ気にしているのは、僕はRPGずっと苦手が続いてて、MOTHER2もやってないし、名作感は知っているけど、やってないんですよ。
糸井さんとかもファンだったのにね。おかしな話ですよね。やってないんですよ。放送後記で、僕に嫌味を書くんです、朝井さんは。宇多丸さんはわかってないと思うけど、みたいな」菅「はははははは」宇多丸「必ずこの回はまたそれが書かれるんです、これ」
「街の感じとか、お母さんの感じとか、全部いい」パンサーの菅良太郎のマイベストゲームはMOTHER2
菅「でもね、いつやっても面白いと思います。僕は小学校のときに、主人公たちが自分たちと同い年くらいだったから、本当に同じように冒険しているように感じて。
それこそ二十歳とかでやっても、こういう優しい、新しい感じだなー今やってもって」宇多丸「クリエイター的な目線もありますしね」菅「やるたびに新鮮な発見があって、ずっと面白いんですよ。だから最高ですね」宇多丸「この番組のゲストでは犬山紙子さんもね、お母さんになってから、自身がお母さんになってやったら全然また視点が違ってすごかったって」菅「あ、そうなんですね」宇多丸「(中略)MOTHER2、言われるほどに……。でもMOTHER2なら今やっても、いいんでしょうね、きっとね。(中略)できる環境があると逆に言い訳が効かなくなる問題もありますけどね。僕はやらないんですよ、これが。でも、MOTHER2はいいんだろうなと思う、本当に。
いずれね、できるようになったら、やりたいと思います」宇多丸さん、「いずれね、できるようになったら」だなんて、また当たり障りのない感じのこと言いおってからに……! これいわゆる「飲み会、行けたら行くわー」(=行かない)と同じような言い草じゃないですか。さて、今回の放送では宇多丸さん、事あるごとに「RPGをやろうとしないことを放送後記でチクチク書かれてしまう」とビビり散らかしていましたが、私MOTHER2だけは本当に宇多丸さんに意外と向いているんじゃないかと思うんですよね。そんなわけで、今から宇多丸さんに向いていると思ういくつかの理由をここにしたためたい。MOTHER2ってRPGの中でもかなり特殊でして、ドラクエやFFのようなファンタジー感というよりも、リアリティーのほうに寄っています。剣と魔法の世界ではないので、街並みは普通の道路に道路標識、車、バス停、お店もバーガーショップやゲームセンター、ピザ屋などなど。舞台はアメリカで、中盤で辿り着くフォーサイドという街なんて高層ビルが立ち並ぶニューヨークそのものです。
ただ一点、かわいらしい感じのドット絵なのだけが宇多丸さんの好みではないかもしれないですが、それこそ宇多丸さんがお好きなグランドセフトオートの街並みをドット絵にしたらMOTHER2になるんじゃないか、というくらい世界観がアメリカンなのです。なお、アメリカが舞台と明言されているのは1だけですが、2も序盤の街並みはおそらくアメリカであろう、という雰囲気。ちなみに、アメリカが舞台なのは、当時糸井重里さんがスピルバーグの映画が好きだったからだそうです。また、敵を殺さない優しい世界の脇を固めるのは、粋なドロボウだったり、カネに目がないバンドマンだったり。ズルい大人も、損得勘定剥き出しの大人もたくさん出てきます。セリフ回しもちょっぴり毒が入っていて、どの脇役を見ても絶妙にリアル(だけど少しヘンテコ)。そのリアリティーこそが、何歳になっても楽しめる「大人も子どももおねーさんも」なゆえんなのではないでしょうか。また、細かい仕掛けが作り込まれていたり、何度かやることでの発見が多かったりするのは、宇多丸さんがよくやっていらっしゃるインディーゲームにも通ずるところがあります。ちなみに、今MOTHER2をやろうとすると、WiiやDS系のバーチャルコンソールになるかと思います。細かく見ていくと、結構宇多丸さんに向いていそうな要素が散りばめられているように思うのですが、いかがでしょうか!?(熱弁)

今回のピックアップ・フレーズ

(ゲーム自体はさほど上手くないという菅さん) 宇多丸「コールオブデューティーのオンラインとかって、それこそガチ勢揃いというか、あんまりこう、素人がいきなり行くと嫌な思いすることが多かったりすると思うんですけど」 菅「そうですね。だから過疎ってからやります」 宇多丸「ああ~!(笑)そういうこと。もう人がやらなくなった頃に行く、みたいな。はははは。過疎ってからわざわざ行く人って(笑)」 菅「でもこれ、どっちかなんですよ。とんでもない猛者しかいないパターンも……」文/朝井麻由美(ライター、コラムニスト)