TBSラジオ「マンスリーチャンネル 美村里江の本棚とんとん」7月の毎週日曜日夕方5時30分から放送中!
7月5日・日曜夕方5時30分から放送されたマンスリーチャンネル『美村里江の本棚とんとん』、第1回放送。
7月のマンスリーチャンネル全4回を担当するのは、女優でエッセイストの美村里江さん。
1か月間に200冊もの本を読破することもある読書家として知られ、新聞や雑誌などで書評、エッセー、寄稿、詩歌集と執筆活動でも活躍中。
美村里江さんが独自の視点で本の世界をご案内。
読書は昔から好きなんですけど、もう文字が読めない時から物体として好きだったんですね。例えば、綺麗な絵だったりとか、中にワァーっと何かが詰まってるって言うところで物体として本が好きっていうところから始まって、読めるようになったらもっと楽しい。ちっちゃい頃は大好きな本は一緒に、ぬいぐるみのように外に連れて木の上で本を読んでいりとか草っ原で読んだりとかっていうこともよくやってました。
役者なので、皆さんと少し違うかなと思う点は、役者はやっぱり中に人間を溜め込んでおかないといけないので、自分の経験したことだったらいいんですけど、経験してないことがほぼなんですよね。その時に、この人の中身についてちゃんと想像がつくように。ということで材料集めとして結構読んでることが多いのかなと、最近になって気がつきました。役者を続けてきた時に、もっと勉強しなきゃ。と思って自然と映画をたくさん見ることと本をたくさん読むことはスタートしたんですけど、結果的に今考えるとそれを欲してやっているのかなというところです。今となっては、趣味でもあるし仕事の栄養補給でもあるしというところで、私には欠かせないものになっております。
19歳でデビューして今年で17年になるんですけど、デビューのオーディションが月9のヒロインオーディションでした。
虫がちっちゃい頃から好きなんですけど、大人になってから虫が好きでよかったな、嫌いじゃなくて良かったと思うのは、虫ってどこに行ってもいますよね。世界が滅亡しますよーなんていう時には最後まで生き残るな虫だなんて言われていますけれど、結構苦手な方には辛い存在だと思うんです。生理的に無理な方もいらっしゃるので、好きになれっていうふうに強要はできないんですけど、嫌いじゃない。まぁ大丈夫だな。ぐらいになると人生楽じゃないかなと思うので今日は虫の面白さが伝わる本をご紹介致します。
まず一冊目は、雨がっぱ少女群さんの漫画「麻衣の虫ぐらし」竹書房から発売中。
虫は面白い題材なので、結構素材として使おうとする漫画家さんは実はたくさんいらっしゃるんですけど。雨がっぱ少女群さんの漫画は、本当に使えるトリビアがたくさんあるんですね。では早速ご紹介したいのが「てんとう虫」について。私、てんとう虫について、オーディションで喋ったことで、一つ間違いがあったのが、おじいちゃんから聞いた話で、アブラムシ食べるのななつ星てんとうだけだと。「ななつ星てんとう以外は食べない。」と教わってたんですけど、どうやら違うようで、ほとんどのてんとう虫は、アブラムシを食べてくれるそうます。
この漫画は、菜々子ちゃんと麻衣ちゃん、二人の女の子のお話。
菜々子ちゃんはおじいちゃんの後を継いで、農家をやってるんですね。それもあって、駆除という観点の虫だったり、益虫という観点の虫だったりを紹介していくのが、軸になっているお話です。1巻の冒頭で、菜々子ちゃんが、ちっちゃい器具を持って、何か可愛らしくやってて「菜々ちゃん、それ何してんの?」って麻衣ちゃんが聞くと、「てんとう虫の羽を接着剤で固めて飛べなくしてるんです!」って、まるで天使のような笑顔。何これって言うと、アブラムシを駆除するための益虫として、農家さんがてんとう虫を使う時に、羽を止めて飛べないようにしてっていう処置をするそうなんですよ。2巻の終わりにも、白い水玉のシロホシテントウというのが出てきます。

続いて2冊目は、前野ウルド浩太郎先生の「ウルド昆虫記 バッタを倒しにアフリカへ」光文社から発売中。
これは2017年に発売した新書だったものが、「ウルド昆虫記」という冠をつけて児童書として生まれ変わりました。児童書というところで、すごく読みやすい本ではあるんですけど、ちょっと科学的な話だったりとか世界情勢の話とかも出てくるのでこのあたりどうやって消化されてるのかなと思ったら、素晴らしいですよ。
まず全部にルビが振ってあるんですね。小学校3年生以上で習う漢字にはすべてふりがなを振っています。ということで小学校1,2年生からでも読める子は読めると思います。元々、大人向けに書いたものなのでちょっと分かりにくい言葉にも辞書的に解説がついています。それもすごく素晴らしくて、生きた辞書ですねこれは。単純に大人向けの辞書から引っ張ってきたのではわからないだろうから、子供にも伝わる言葉でということで前野先生がいろいろ試行錯誤なさったのが出てますね。例えば「いかがなものか」に対して、「それってダメじゃね!を大人っぽく表現」。
本当に読みやすくて躍動感があって読んでると本当に元気になるんですよ。一つのことに熱中して、アフリカに入ってバッタの研究をし続けるんですけど、まだ若い研究者としてやっていく中でのご苦労だったり自分の中の葛藤っていうのを大変魅力的に体温が伝わる状態で書かれている本です。
(TBSラジオ『美村里江の本棚とんとん』2020年7月5日(日)放送より)

◆7月5日放送分より 番組名:「美村里江の本棚とんとん」
◆http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20200705173000