TBSラジオで放送中の「ACTION」。木曜パーソナリティは、羽田圭介さん。
7月16日(木)のゲストは、食の雑誌『dancyu』編集長・植野広生さん。植野さんは新刊『dancyu”食いしん坊”編集長の極上ひとりメシ』を今月に出されたばかりです。今日は植野さんから食にまつわる美味しい話を羽田さんが伺いました。
植野:うな重はどうお食べになられますか?
幸坂:食べ方ですか?そのままじゃないんですか?
羽田:山椒をパラパラとかけて食べるぐらいですよね。
植野:あぁ、そうですか…。
羽田:なんでそんなにガッカリされるんですか?(笑)
植野:まずはうなぎの構造を思い浮かべてください。
羽田:どういうことですか…?
植野:うなぎって頭から尻尾にかけて、一番脂が乗っているのは腹の辺りです。で、頭はきめ細かい肉質で、尻尾はきゅっと締まってますね。で、頭から順に腹、尻尾の食べるのが一番美味しく食べられます。で、うな重です。これは多くの店で、手前の左が頭なんです。で、奥の右が尻尾なんです。
羽田:順番があるんですね。
植野:しかもきれいに食べたいですよね。これもコツがあって、最初に手前左頭部分を食べますよね。すると空間ができます。これを利用して、次の一口部分に箸を刺してスライドして重箱の壁に当てるんです。そうすると一口ずつきれいに食べられるんです。で、手前を食べ終わったらひっくり返します。そうすると尻尾側が手前にやってくるので、ご飯を一粒も残さず美しく食べられます。そして山椒をかけたくなったらうなぎに直接かけるのではなく、うなぎをめくってご飯の上にかけます。うなぎの上に山椒をかけちゃうと、いきなり口の中が山椒の香りで充満しちゃうんですね。これをうなぎとご飯の間にかけておくと、うなぎの味のあとに山椒の香りが追っかけてくる形になります。
羽田:なるほど、すごくよく分かります。ただ反論させてください。僕は家で安いうなぎをよく食べるんですが、山椒をめちゃくちゃいっぱいかけて、山椒の味でうなぎを想起させるようにしているんです。するとたまに納豆にも山椒をかけるんですが、その山椒の強烈なピリピリで、納豆を食べているのにうなぎを食べたような満足感を得られるんです。パブロフの犬食いです。
植野:僕とは全くベクトルが違いますが、それは素晴らしい食べ方ですね。
羽田:脳を騙す妄想メシです。
植野:是非とも『極上妄想メシ』という本を書いていただいて、変態的トークをしたいですね(笑)
羽田:植野さん流の「隣の人より美味しく食べられるルール」を教えてください。

植野:いくつかあります。まずは「舌を意識する」です。たとえば刺身に醤油をつけます。そのときは大体、刺身の下に醤油をつけますよね。
羽田:舌に触れる順序が大切なんですね。
植野:そうです。次は「犬歯を喜ばせる」です。人間も動物なので、本能的快感があるんです。それは肉の塊をかじったときなんです。たとえばステーキで細かく切って口の中に入れて奥歯で噛みしめるのと、大きく切ってまず犬歯で食いちぎるようにして食べるのとでは味わいが違います。
幸坂:野獣のようですね。
植野:なんのためにまだ人間に犬歯が残っているのか、それは食いちぎる快感を得るためですね!
羽田:食いちぎる快感…!
植野:あと、フィニッシュは決めておきましょう。たとえばカレーを食べるとき、最後ご飯が余ることとかありませんか?
羽田・幸坂:ありますね。
植野:あれは無計画の賜物です(笑)最初からどういうペースで食べ、どう締めたいか考えましょう。たとえば焼売弁当の食べ方っていろんな人がいろんなことを言ってますね。「最後はあんずが良い」とか「ご飯で締めたい」とか。僕は焼売弁当を食べているので、最初と最後は焼売を食べているんです。これは面倒臭いことを言っていますが、もう無意識でやってますね。せっかく焼売弁当を食べたのに、新大阪着いたときに口の中があんずになっているんですよ。それだと僕はもったいないと思うので、焼売で食べ終わるようにしています。
羽田:たしかに、デザートの印象が一番強くなっちゃうかもしれませんね。
引き続き、オススメのお店選びの話を伺いました。
◆7月16日放送分より 番組名:「ACTION」
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