TBSラジオ『週末ノオト』毎週土曜13時から放送中!(2月26日(土)放送分)
今回は、新型コロナウイルスでお休みのバービーさんに代わり、バービーさんのラジオの父こと武田砂鉄さんが登場。(毎月4週目のパートナーは、山内あゆアナウンサー)
武田砂鉄が考える、ニュースにおける「アナウンサーの表情」
武田:僕は、アナウンサーの表情というのをよく考えるんですよ。

武田:ニュースっていろんなニュースがあるから、ポジティブなニュースもあればちょっと残念なニュースとか暗いニュースとかもあったりするけど、その表情を変えなくちゃいけないじゃないですか。でも、極端に変えすぎてもよくないし、たぶんそういうグラデーションがあると思うんですよね。僕はアナウンサーを目指したことは一切ないですけど、いわゆるアナウンサーのスクールとかだと滑舌とか喋りのプロを目指してみたいなことのレクチャーがあると聞くんですが、表情についてはどういうレクチャーを受けるのかなっていうのがちょっと気になっていたんですよね。
山内:基本は自然に、本当に思ったまま。ただ、目の玉がちらちら動いたりとか、首が揺れたりとかするとやっぱり気になっちゃうじゃないですか。だから、「あまり動かない」というのはありますね。
武田:でも、「Nスタ」だとかなりバーンって出るから、僕は夕刊とか読みながらたまに顔をあげると「うわ!山内あゆ!」って感じの、ドーンっていう感じで出る時があるんですよ。
山内:私は極力あれはやりたくないんですよ。
武田:どんなニュースをやっていても「山内あゆ!」って感じになっているんですよね。
山内:ちょっと情報過多ですよね。

武田:でも、いろんな放送局のアナウンサーを見ていて、やっぱり前のニュースと次のニュースの表情の変換ってすごい難しいんだろうなって思って。例えば、「どこそこで桜が咲きました」っていうにこやかな表情をしている時と、「株価が落ちました」みたいなニュースでそれを一気に変える人と、まだちょっと桜の開花が残りながら株価伝えるみたいなのと両方あると思うんですけど。
山内:よく見てるな~(笑)
武田:僕の分析ではTBSのアナウンサーは割と切り替える型じゃないかと。例えば、お台場のほうの放送局だと割と「桜残し型」ではないかなと。
山内:放送局として「うちは切り替えていこう」みたいな研修を行っているわけではないんです。ただ、テクニックとして切り替える時に、例えば前が本当に悲しい虐待のニュースで、その次が桜のニュースだったりしたら、一回カメラ目線じゃなくて下のモニターをちょっと見ているフリをします。
武田:なるほど。
山内:ないんだけど、そこで「そのニュースを見ました」って一回目線を下ろして、それから「うん」っていう感じで桜のほうの切り替えをする。

武田:そうか。そうしないと、画面が「山内あゆ!」ってなっている時に、そこから全部顔を見られちゃうとその変化がわかりすぎちゃうから、謎の無いモニターを見て切り替えると。これは勉強になりましたね。勉強になったけど、使う場所がないんですけど(笑)
山内:(笑)
武田:アナウンサーっていつの時代も割と何かを言われやすい職業だったりするじゃないですか。そうすると、「あいつは結構物騒なニュースの時に笑顔になっていたんだ」みたいなことを言われたりもしますもんね。
山内:すごくよくありますね。別に笑っているつもりじゃないんですけど、何かを間違えた時にちょっと照れ笑いみたいなのをすることは、アナウンスセンターでも「それは絶対にやっちゃいけないよね」っていうのはありますね。
武田:こないだネットで話題になった、なかやまきんに君の件があったじゃないですか。NHKのアナウンサーが笑ってしまったっていうの。あれはアナウンサーの人間味みたいなものがぶわーっと出てきた時に割と安心するというか。好意的に受け止める人が多かったじゃないですか。
山内:それは嬉しいことですよね。
武田:でもそれは逆に言うと、すごく無機質な存在として日頃見られている可能性っていうのもあるのかなと思うので。どっちがどっちというわけじゃないんですけど、もっと間があってもいいのかななんて思うんですよね。
山内:その意味では、私たちTBSはラジオがあるので。自分の言葉で話したりとか、人柄みたいな部分ってやっぱり話し方とかにも出るので、そこでみんなのびのびとやっているみたいなところはありますね。
武田:確かにそうですね。テレビを見ていても「あっ、アトロクで喋っている人だ」とか「伊集院さんのところで話している人だ」ってなると見え方が変わってくるから。ラジオっていいですね。