TBSラジオ『宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど』毎週金曜夜9時から放送中!
3月25日(金)の放送は、ドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』でACTION時代から何度もお世話になった、信友直子さん!ちょうど25日に、その後が描かれた『ぼけますから、よろしくお願いします。
信友:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、人間ドキュメンタリーが自分のテリトリーなんですが、SNSが普及してきたので、すごく作りにくくなってきた気がします。
宮藤:無かったですもんね。
信友:昔は、取材相手と信頼関係ができて番組をつくって、取材相手が「いいものができた!」と満足してくれて、「良かった!」で終われたんですが、今は取材相手が、見終わったときには満足していても、そのあと、エゴサーチをしちゃうと…
宮藤:百害あって一利ないやつね。
信友:「キモい」とか言われたりするのを見ちゃうと…
宮藤:見ちゃうんだ!?無神経に書きますもんね。
信友:匿名だから言いたい放題じゃないですか。「え、私キモいって思われてるんだ…」ってなっちゃうと、せっかくの…
宮藤:どっち信用するかっていったら、その声を聞いちゃいますしね。
信友:匿名の人が言い散らかしてるだけなんだから気にしなきゃいいじゃん!って言ってもいいのかもしれないけど、本人としたら、何か言われると嫌なものだから。その気持ちもわかるんですよね。
宮藤:役者が何かの役を演じたことにキモイって言われるのと違いますもんね。ダイレクトで。
信友:自分自身を否定されるわけだから。そうなると、つくる側としても、この人を傷つけないように、毒の無いものをつくらざるをえなくなる。
宮藤:本末転倒ですよね。この人のむき出しの状態が面白いから興味持って撮ってるのに。
信友:もともとは、その人の毒が面白いと思って始めた取材でも、なんで目に見えない悪意に忖度して、そこを曲げて、オブラートにくるまないといけないのか。自分自身もイライラしてくるし。

宮藤:事前アンケートで「私達が行った時点で、取材相手にとっては、日常ではなく、カメラがくる特別な日なので、その心理を利用する手法の方が、理にかなっている」と。そうですよね!特別な日ですよね!
信友:そう。私は、行く前に1つだけ注文をつけるのは、カメラが行きますけど、着飾らないで下さいね とは言います。
宮藤:たまにありますよね。すごいちゃんと化粧しちゃってる人。まいったな…(笑)
信友:美容院行ったでしょう!みたいな。
宮藤:永遠のテーマだなって思います。ドキュメンタリーって、カメラに収まってる時点で、完全な素じゃないですもんね。
信友:でもやっぱり、私のカメラと一緒に作品を作りたいと思ってくれる取材相手と一緒に、「何を考えてるんですか?」と聞いていって、カメラがあることでサービスしようと思ってくれるから、いつもは考えていなかったようなことまで、「なんで自分はこんなことやってるんだろう…」って。私が言ったからこそ、見つめて内省して考えてくれるというのがあるから、取材にいって、やったとれた!って思うのはそういう時ですよね。