TBSラジオ「コシノジュンコ MASACA」毎週日曜夕方5時から放送中!

2021年3月7日(日)放送

假屋崎省吾さん(part 2)
1958年、東京都練馬区生まれ。假屋崎省吾華教室を主宰する傍ら、華道家として天皇陛下在位10周年記念式典では花の総合プロデュースを担当。

能狂言や舞台美術、国内外での歴史的建造物での個展やデモンストレーションなど多方面で活躍しています。
假屋崎省吾「私を花に目覚めさせた一輪のバラ」の画像はこちら >>

出水:今日は華道家の道をお伺いしていきます。お花に興味を持ったのはご両親の影響が大きいんですよね?

假屋崎:父が鹿児島の出身で、母が長野の出身なので、自然に囲まれてたわけです。それで東京に出てきて結婚して、石神井の都営住宅の抽選に当たって。6畳と4畳半とトイレと台所。お風呂は銭湯に行ってたんですけど、そのころは庭がそこそこあったんですよ。そこで両親がいろんな木を植えたり花を植えたりして、日曜日に庭で仕事しているのを私も見様見真似で手伝っているうちに園芸少年になったわけですよ。

JK:すごくいい環境でしたね。

假屋崎:自然が大好きだったので花を育ててましたら、小学校のころ、ある日バラの花が一輪咲いたんです。「あっ、バラが咲いた!」って言ったら、母がハサミを持ってきて目の前でちょきんと切っちゃったんですよ! それで新聞紙でくるくるっと巻いて、「省吾、学校に持ってきなさい」って。先生に渡したら、そのバラを牛乳瓶にぽんっと活けて教壇においてくれた。そしたら学校中に一輪のバラの美しさがわーっと広がって、子供たちは目をぱちくりさせて「うわーっきれい!」って。

家族4人で楽しむのもいいけど、学校で子供たちと共有するのもいいなと思って。

JK:お母さんの力ですね!

假屋崎:バラを見るたびに、亡き母のことを思い出します。やっぱり育てた花を活けて、そこからまた違うものを生み出す、というのが生け花。それが面白くなりましたね。

JK:そこからどんどん強烈になっていっちゃったわね(^^) お花の種類ってどのぐらい?

假屋崎:みなさん日夜品種改良をして作ってますからねぇ・・・バラもショウゴエレガントっていう私の名前が付いたバラがあるんです! 京成バラ園さんとかで注文すると届きます(^^)

出水:何色なんですか?

假屋崎:ピンク色で、香りも強くて、大輪で、長持ちして、苗自体も丈夫なんですよ。しぶといんです! まるで私みたい(笑)

JK:ははは! でもバラはやっぱり貴重っていうか、ステイタスですよね。

假屋崎:でも手入れは大変ですよ。2月に入ると剪定をするんです。うちも蔓バラを右と左にいっぱい植えてるんですけど、それを剪定すると手が棘にまみれて血だらけ! それをやらないと、大きな花は咲かないんです。それで5~6月になると満開になるんですけど、うちは門を開けると右は東側で、左は一般の駐車場になってて、みんなそっち側を向いて咲いちゃうんです! 駐車場をご利用の方はみなさんご覧になりにいらっしゃってますよ(笑)花咲じじいでございます(笑)

出水:假屋崎さんのお宅には非常に貴重なピアノもありますよね・・・? 120年前に製作されたもの?

假屋崎:そのぐらいになりますね。ニューヨークスタンウェイっていいまして、マホガニー調の装飾がほどこされている象牙の鍵盤なんです。ちょっと珍しい。

でもね、音色がまるで違う! タッチも! 素晴らしいです。やっぱりピアノって大好きなので・・・小学校の時はずっとバイオリンを習ってて、中学1年からピアノに転向いたしまして、3~4年やったんです。でも英才教育は受けてなかったので、プロにはなれない。で、ピアノを弾くのはやめましたけど、ずっとコンサートやLPは大好きで聞いてるんです。

JK:でも体は覚えてるでしょ?

假屋崎:そう! それで10年ぐらい前に、心の余裕も出てきたので始めましたら、昔の雰囲気というか思い出してきて。練習すればするほどうまくなって、それを披露する機会がありましたら、CD作りませんか?なんて話にもなっちゃって! それでピアノのコンサートをやったりもしています(笑)

JK:今まで世界中いろんなところにいって、すごい衝撃的なマサカっていっぱいあるでしょ?

假屋崎:いくつもあるんですけど、その中でも人との出会い。たとえば美輪明宏さん。小さいころに母が大ファンで、一緒に見てたんですよ。とっても妖艶すぎて怖いなって、小学校のころに自分の中で封印しちゃったんです。それからずーっと経って、母が他界して思い出を整理していたら、たまたま美輪さんと出会えた。それからフジコ・ヘミングさんとはジュリエット・グレコというシャンソン歌手のコンサートを渋谷でやってたときに、たまたまマサカ!っていうぐらいに隣の隣の隣ぐらいにフジコさんが座ってらしたもんですから、そこで出会いがありました。

JK:でも出会ったあとは突然?

假屋崎:「假屋崎省吾です、花をやってる者です」って言って。

なんかわからないんですけど、波長が合うんでしょうか、すごく仲良くしていただいて。フジコさんとはパリのお宅や京都のお宅、そして連弾をさせていただくことにもなって、コンサートもやらせていただいて。

JK:一緒にピアノ弾くんだから! ありえないわよ。それがすごいなと思って。ただお花だけじゃなくて。

假屋崎:プロの方と比べたら本当恥ずかしいですけど、でも好きなことなのでね。ピアノ繋がりで、ラン・ランってピアニストいますでしょ? あの方とも20年近くになりますし。パリでもロンドンでもおっかけしまして、CDとか出たときに「サインして!」って言うと「假屋崎省吾」ってちゃんと漢字で書いてくれるんです。

JK:すごいわね! 假屋崎って難しいわよ。

假屋崎:でも中国の方だから(笑)音楽家って記憶力がばつぐんですから、「●年のどこで会ったね」ってパッて言ってくださるんです! 不思議ですよ! なんか私は印象が違うんでしょうね・・・みんな仲良くなっちゃう。

JK:あなたは印象違うわよ! 話しやすいというか(^^)

假屋崎:多分、今後もマサカがいっぱい起こるんだと思います!

JK:私ね、この言葉好きよ。「花は心のビタミン」・・・いい言葉。

いまビタミン重要だから。

假屋崎:ありがとうございます。「花から始まるライフスタイル」なんですよ。ファッションでも花柄っていっぱいありますでしょ? 私、今から10年・・・15年ぐらい前ですかね、コシノ先生がデザインされた服を何着か持ってるんですよ。

JK:えっ、本当に??

假屋崎:着物も持ってるんですけど、そのご縁で展示会にお伺いしたときにコシノ先生のブースがありまして、あんまり素敵なんで・・・黒に金がいっぱい入ってるのとか。

JK:私がよく着物のデザインでやるのは、芍薬とか、竹とか、柳とか。具象なんだけど、着物の場合はそれが粋ですよね。

假屋崎:あとコートも、チャイニーズ風のは今でも愛用して着てますよ!

假屋崎省吾「私を花に目覚めさせた一輪のバラ」

出水:假屋崎さんはNPO法人地域活性化支援センターの理事もつとめ、「花育」という教育活動もやってらっしゃいます。どういった活動なんですか?

假屋崎:服部先生が「食育」って全国に勧められましたでしょ。子供が花をお活けになる、それがクリエイティブな感性を豊かにする。お花は生産者がいっぱいいるわけですよ。今の時代、なかなか花を使ってもらえない、買ってもらえない時代ですから、まずは花を観察して、絵を描いたりデッサンをしたり。

それから思い思いの器に活けるというね。

JK:子供のころ、それこそ親が忙しいから、習い事をしてた。親が勝手に決めるから、お茶やお花とか嫌々やってて(^^;)家に帰ったら先生がいるわけですよ。「投げ入れ!」とか言ってボンッと花を投げてたわ(笑)

假屋崎:ははは! 投げ入れってあるんですけど、花を投げるわけじゃなくて、背の高い筒の器があって、そこにちょっとした工夫をするんですよ。それが難しいんです。

JK:小学校3年生で、まじめにお花を活けるなんて! そういう感覚はなかったんです。

假屋崎:やっぱり花育っていうのは、決まり事を作らないで、自由な感性で子供さんにやっていただく。そうすると、思い思いに素敵な生け花ができる。うちも花教室やってますけど、子供さんも結構いらしてくださって。本当に子どもの感性って大人とまるで違いますね!

出水:假屋崎さんも、生徒さんのお花は絶対抜かないって聞きました。

假屋崎:一生懸命お活けになるじゃない? いいところをいっぱい見つけるわけですよ。そこを褒めるんです。

それで「もっとここをこうしたら?」とか。全然褒めるところがない方には、「遠いところからいらしたわね」とか、洋服を褒めたりとかね(笑)褒めるところをみつけるわけですよ! そうすると気持ちが嬉しくなるでしょ? 嬉しくなるって大事ですよ。

JK:まだまだバイタリティありそうだから、これから最高のことをやりたい!っていう夢は?

假屋崎:いまはコロナ禍なのでなかなか海外に行けませんけれどね・・・自分は空間が大好きで、古い建築がとっても魅力があるので、そういうところに活け続けているので、建物との出会い。そういったところにお花を活けて、みなさまが集ってくださって、いろんな思いをしてくださる。それが生産者の方への恩返しにもなる。「ああ、きれい」「美しい」って感動することが大事なので、そういった手助けをしたいなと思いますね。

JK:子どもさんに教えてるっていうのがすごいわよね。子供は誰でも芸術家。どうにでもなっちゃうのよね。みんな平等だけど、ちょっとしたきっかけでばーっと育っていくのよね。

假屋崎:みんないろんな才能をお持ちなので、それを摘まないで、伸ばしていくことのお役に立てたらいいなと思います!

假屋崎省吾「私を花に目覚めさせた一輪のバラ」

=OA楽曲=
M1. 夜想曲第2番変ホ長調op.9‐2(ショパン) / 假屋崎省吾

◆3月7日放送分より 番組名:「コシノジュンコ MASACA」
◆http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20210307170000

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