TBSラジオ「コシノジュンコ MASACA」毎週日曜夕方5時から放送!

2021年3月21日(日)放送

残間里江子さん(part 2)
宮城県仙台市出身。明治大学短期大学卒業後、アナウンサー・雑誌記者・編集者を経て、1980年に企画制作会社を設立。

出版・映像・文化イベントなどを多数企画・開催しています。またラジオパーソナリティとしても活躍しています。
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出水:残間さんは3月21日がお誕生日! おめでとうございます!

残間:歳をとるって本当に憂鬱なんですけど、コシノさんは全然そんなことない? 70ぐらいのときってどうでした? みんな古希だとかいって・・・。

JK:関係ない! 歳を「取って」マイナスにすればいいのよ。私そういうお祝いとかしたことないし。興味ないから、人のお祝いにもいかないの。

残間:でも年齢の壁ってありますよ。New=Youngってとらえる人が多くて、年だからあんたには無理だ、みたいな。まえに大屋さんが60におなりになったころ、私が50歳ぐらいかな、その時に「あなた今はいいけど、だんだん電話の本数も減り、ニーズも減り、寂しくなるわよ」っておっしゃったことがあったの。でもこないだお会いしたら、新しい趣味をみつけて、編み物もすごく上手で。

JK:えっあの人が? 考えられないわね。

残間:手先が器用だから、いっぱいきれいなラメのセーターを編んで人にあげてらっしゃるんですって。

JK:かっこいいですよね! 好奇心ってすごい重要ですよね。

残間:コシノさん、好奇心っていうのはもともと遺伝なんだって知ってます? 好奇心を持ちなさいって子供に言うでしょ? でも遺伝子がない人は持てないんです。水島広子さんって精神科医の人と話をして「好奇心って遺伝なのよ」って。好奇心とか、人を思う気持ちとか、後天的に培ったと思っていたものが全部遺伝。とくに好奇心は遺伝なんですって。

JK:どこかに食べに行きたいっていうと、絶対行くね! うちの母がそうでした。

死ぬ前に丹波のシシ鍋が食べたいって言って、亡くなる1か月前に行きましたね! やっぱりそれは私も似てるなあって。

残間:かっこいいですね! 私も思えば母からですね。同じ道は行きたくない、とかね(笑)だから散歩すると同じ道が飽きるから、続かないんです。

JK:これはやっときたいわ!っていうのはあります?

残間:それがあんまりないの。だからコシノさんに会って、新しいエネルギーをもらおうと思って。昔だと、1回も会ったことないような会社の社長に60社ぐらい手紙を書くんですよ。

まるで般若真如の写経のように。途中で間違えたからって修正液で消すわけにもいかない。家電メーカーだったら、その会社がどっちの方向をむいて何を作ろうとしているのかを見たり、宣伝や広告を見て「この視点なんかどうでしょう」って。そういわない限り、ただ「一緒にやらせて下さい」って言ってもだめでしょう?

出水:そうですね。

残間:その都度100通ぐらい手紙を書いてきた私が、この10年やってないなと思って。コシノさんの本を読んで、私の生き方はダメでもともとだったじゃないか、と思い出しました。

うちの母は小説家になりたいって言って、なれないまま死んでいったんですけど、母が死んだときに遺物を整理してたら、書き損じの原稿用紙がダンボールに35箱! 70代の後半でシナリオセンターに通ってたりしましたから! だけど残念ながら、文才がなかったのね。私家版を作ってあげるって言っても「いやです、私はちゃんと売りたい。国会図書館に収蔵されたい」って。母は最後までなれなかったんで、自分の中では小説を書いてみたいと言うのもあります。
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残間:30代と40代のときに3回ぐらい誘われたんですよ、出版社の方から。その時は目の前が忙しかったんで、積み残したまま今日にいたって。
コロナになってこの思いを引きずっているのは嫌だなと思ったんです。それで書いてみたの、200枚ぐらい。それで編集の人を探してもらって見せたら、けんもほろろ。「あなたは今の仕事が向いてます」とか「小説って大変ですよ」とか。でも吹っ切れました! 友達にも、「このごろ吹っ切れて付きやすくなったわね」って(笑)コロナが一番大変なときに積年の思いを閉じたっていうね。

JK:いままで長い人生で「マサカこんなことがあったとは!」っていうのは?

残間:子供を未婚で産むって言うのはマサカでしたね。私は絵にかいたような四角四面の「スクエア残間」って呼ばれてたんです。法律とか秩序を守ろう、24歳まで親に言えないことはしないって決めたりね。それで気が付いたら結婚して離婚して、離婚もなかなか成立しなくて・・・誰かと恋愛したら相手もあきらめてくれるかな?って、風の強い新宿の西口でふと思ったんですよ! そしたら半年後ぐらいに病院で「もしかしたら子供さんができてませんか?」って言われて。私ずっと子供はできないって言われてたんですよ。それこそマサカでしたね。まぁ思い当たるふしがなかったわけではないんですが。付き合ってた企業には安定期に入ったときに直筆で手紙を書いて。案の定すごかったですね、週刊誌とか。いろんなことがありましたけど、今は産んで35になりました。

JK:それで男の子? 女の子? 今はどうしてるの?

残間:男の子。TV局にいます。でもシニカルで、近くに住んでても来やしない。猫だけ好きで。猫と赤ちゃんとお年寄りは好きなんだけど、女の人はあんまり好きじゃないみたい。猫が2匹いるんだけど仲が悪くて、そのうちの1匹がかまれたりいろいろするらしく、めったに来ない息子がうちに来て「あまりにも仲がよくないから、半年ぐらいあずかってくれ」って1匹あずかってるんです。可愛いんですよ、その猫! 夜中に突然甘えてきたりして。私2時に寝て3時半に起こされて!

残間里江子「年を重ねて、新しい大人像を 」

出水:残間さんは2009年に新しい大人像を作り出したい、と会員制のネットワーク「clubwillbe」を設立しましたが、これはどういった方々がメンバーでどういった活動をしているんですか?

残間:メンバーは1万3000人ぐらいが実名で登録して頂いるんです。今はシニアって言っても英語で解釈してくれる人が増えましたけど、私が50になったころは「もう終わった人」みたいに言われてた。それで2007年に団塊の世代が定年退職して、シニア市場が活性化して、いろんなメーカーがいろんなものを作ったんですけど、結局ミスマッチだったんです。スポーツウェアなんかも、デザインは年よりじみたものばっかり。ビートルズで育って、旅行にも行く団塊の世代なんだからみんな見向きもしないよ、って言っても、企業がわかってくれなかったのね。それでいろんなことをやるようになって・・・なかなか日本って「大人の文化」っていうのがあるようでないですもんね。例えばコシノさんがお能をああいう形で見せてくださると、古めかしいからといって扉を閉ざしてた人がみんな見ますもんね。

JK:私のファッション関係の人も、能楽堂に行くのが初めてだっておっしゃってた。

残間:だからクロスするっていうのが大事。私も年齢の高い人たちだけが頑張って活動してるっていうんじゃなくて、クロスジェネレーションを目指しているんで、若い人たちのことも見たり聞いたりしよう、その代わり若い人にも、70、80でも素敵な大人がいるんだよ、って言うのを見せたいと思って。3年ぐらい前からは若い人との交流を柱にしてやってるんです。結構これ大変で、ちっちゃな不動産を2つ売りました(笑)だって、やっぱり年間50ぐらいのイベントをやりましたから! だんだん慣れてきて、中の人が句会を始めたりボウリング大会を始めたり・・・ただのボウリング好きのおじさんかと思ったら、筑波大の教授だったり。

JK:まったくの異業種の人が一緒に何かやるって、すごく新鮮ですね!

残間:変な言い方だけど、一般の方たちと言われているけれど、みんな個性を持った素敵な人たちだな、それぞれある年齢になると素敵だなって感じたんで・・・それは大きな収穫でしたね。ぜひコシノさんも! おやりになることがあったら告知しますんで!

JK:ありがとうございます。今日はお勉強になりました!

残間里江子「年を重ねて、新しい大人像を 」

=OA楽曲=
M1. リバーサイドホテル / 川島ケイジ
M2. Smile / Nat King Cole

◆3月21日放送分より 番組名:「コシノジュンコ MASACA」
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