TBSラジオ「ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ」毎週木曜よる9時から放送中!

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■ファミコンソフトを持っていると人気者になれる

「マイゲーム・マイライフ」のゲストにシソンヌの長谷川忍さんがやってきました。

シソンヌ長谷川、友達の「ファミカセ全部持ってる」に騙されたピュアな子ども時代の話

その昔、特にファミコンやスーファミの時代は、ソフトをたくさん持っているのはお金持ちの家やゲームに理解のある家くらいなもので、放課後や休みの日はソフトをたくさん持っている家に遊びに行く文化がありました(今ってこういうの、あるんでしょうか?)。

さて、そうなると必然的に、ゲームをたくさん持っている子がクラスの人気者になります。シソンヌ長谷川さんのクラスでもそうだったようで、ある日、事件が起こりました。

宇多丸「友達とはソフト貸し借りとかそういう?」

長谷川「貸し借り世代ですね。よくあるやつですけど」

宇多丸「貸し借り世代(笑)。名前書いてあるのがうちにあるみたいな」

長谷川「そういう世代なので。必ず名前が入るっていうのはもう、お母さんの仕事といいますか」

宇多丸「お母さんが名前入れて。結構、大人になって荷物整理したとき、これ誰の何みたいなの出てきて」

長谷川「ああ、ありますよね。あれやっぱり、書いといてもらえるとありがたかったな、と母親の愛を感じますね」

シソンヌ長谷川、友達の「ファミカセ全部持ってる」に騙されたピュアな子ども時代の話

宇多丸「結局、返ってこないゲームもありますよね」

長谷川「全然あります。剝がしてる奴もいましたもんね。あの名前のところ、後ろ側の」

宇多丸「はははは。足がつきやすい泥棒(笑)」

長谷川「だいたいわかるんですけど」

宇多丸「わかるよ、そりゃ(笑)」

長谷川「剥がしてる奴とかいましたね」

宇多丸「でもまあね、そうやって貸し借りして。みんなでこう、対戦というか、キャッキャキャッキャそういう系とかありました?」

長谷川「僕らの頃、あんまり対戦が……。

協力はあったんですけど。今みたいに対戦できるっていうのはあんまりなかったので、それはもうちょっと時間がたって、中学くらいになったときにストリートファイター2が出て、あれで初めて対戦するっていう感じで。それまでは誰かがやっているのを3、4人で見守るという。他人のプレイを見る免疫が。ゲーム実況への免疫もついていたんですよ、我々は。何の苦でもないです、人のゲームを見るのが」

宇多丸「ははは。苦でもない(笑)。まあ、そうね。黙ってみるのも楽しい」

長谷川「(中略)僕の田舎だと、工場の社長の息子とかがやっぱりソフトを潤沢に持っていて、なんかそれでカーストが決まるみたいなのがあったので」

宇多丸「ゲーム人気(ゲームを持っているがゆえの人気)ってありましたもんね」

長谷川「ありました、ありました。あのゲームを全部持ってるとか、新作をすでに持ってるとかで、その人の地位がこう変わっていくというか」

宇多丸「誰かの家に遊びに行くとしたら、ゲームがいっぱいある家に行くというね。むなしくないのか、って話ですけど(笑)」

長谷川「今考えればものすごいむなしい話なんですけど(笑)。(中略)それで嘘つかれるとか。

それでクラスの人気者になれるので、今現在出てるファミコンのカセット、俺の家に全部あるんだ、とか言う奴が出てくるんですよ」

宇多丸「ははははは! 子どもらしいですね、誇張がね。加減を知らない(笑)」

シソンヌ長谷川、友達の「ファミカセ全部持ってる」に騙されたピュアな子ども時代の話

長谷川「加減を知らない。全部持ってるって言うんですよ。今まで歴代で出たやつ全部」

宇多丸「はははははは」

長谷川「それで俺たちも、『ええ!?』って。じゃあ土曜日みんなで遊びに行きたい! で、4人くらいでバーッて行くと、仮に鈴木くんとして、『鈴木くーん(仮名)』みたく言ったら、鈴木くん(仮名)がテンション低く出てきて、『ちょっと……宿題やってなかったからオヤジに全部隠された』」

宇多丸「ははははははは! 嘘に嘘を(笑)」

長谷川「でも、その頃は僕ら知らないんで、『探そうよ』って探すんですよ、家の中」

宇多丸「えー! なんかもう、色々ね、鈴木くん(仮名)の心中や察するに」

長谷川「で、明らかにおかしくて、ないぞ? ないことないよな、ってなってくると、鈴木くん(仮名)も機転を利かせたのか、『たぶんオヤジのことだから、土の中に埋めた』」

宇多丸「ははははは! 別のゲームが始まってる」

長谷川「そうなんですよ。掘り起こしたりして。純粋に。でも、何年かたったときにみんなで、あれあいつ、やってたな?(嘘ついてたな)」

宇多丸「そりゃそうですよね。いやー、かわいいな、みんな」

長谷川「いやー、かわいかったです、あの頃は」

大人になってからだとめちゃくちゃかわいいエピソードですが、子ども時代はいかにしてクラスでうまくやれるかは死活問題なんですよね。とはいえ、「カセット見つからないから、また来週来るわ」とならなかったのでしょうか。家に友達が遊びに来るたび、「オヤジに怒られて隠された」と言い張り続けたのか、あるいは……。鈴木くん(仮名)がその後、どうやり過ごしたのか気になって仕方ありません。


シソンヌ長谷川、友達の「ファミカセ全部持ってる」に騙されたピュアな子ども時代の話

■今回のピックアップ・フレーズ

(特にゲームに対する制限がなかったシソンヌ長谷川家)

長谷川「自分の中で自制心が働いたのか、あんまり2時間以上とかやらないんです」

宇多丸「逆に! 出た!」

長谷川「自由を渡されるとあまり謳歌しないというか」

宇多丸「皆さんこれはね、本当にこの番組、教育的効果で、厳しく言われた人は、犬山紙子さんの名言で『厳しくされても覚えたのは嘘をつくことだけだ』」

長谷川「本当そうだと思います」

宇多丸「で、やっぱり逆に完全オープンだと自分でね」

長谷川「これ以上やっちゃうとよくないんじゃないか、って自分で」

宇多丸「厳しくやった結果、その後どうなったかは、この番組のゲストが証明してますから!」

文/朝井麻由美(ライター、コラムニスト)

◆4月29日放送分より 番組名:「ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ」
◆http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20210429210000

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