TBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』毎週月曜日~木曜日 朝8時30分から放送中!

ふらっと こども電話相談室

2023年2月15日放送後記

TBSラジオで長年親しまれた名物企画「全国こども電話相談室」(1964年~2008年)のコンセプトを受け継いだコーナーです。パンサーの向井慧が「電話のお兄さん」となって、毎回、様々な質問に合わせた頼もしい先生をお呼びしています。

今回の相談は・・・

Q. 1秒でも悩みが完全になくならないのはなんで?(東京都 めぐみちゃん 11歳 小学5年生)

(回答した先生)恩蔵絢子さん/脳科学者

向井お兄さん:めぐみちゃんは今日はなにしてましたか?

― 今日は本をいっぱい買ってもらいました。

向井お兄さん:例えばどういう本?

― 料理に関する本とか、美容に関する本を買ってもらいました。

向井お兄さん:すごい。美容にもやっぱり興味ある?

― あります。

向井お兄さん:メイク術とかそういうこと?

― スキンケアとか。

向井お兄さん:えっ、もう11歳からスキンケアをやってるの?

― やってます。

向井お兄さん:やっときゃよかったなあ~、11歳から(笑)。絶対早ければ早いほうがいいもんね。

― そうですね(笑)。

向井お兄さん:素晴らしいと思います(笑)。めぐみちゃん、今日は深い質問ですねえ。なんでこの質問を思いついたんですか?

― 悩みを解決してもまた悩みが出てきて、それを日々不思議に思ってたからです。

向井お兄さん:そっかあ。例えばどういうことが悩みとして出てくるの?

― 友だちと揉めごととかがあったときに仲直りするじゃないですか。でも結局どうして喧嘩になったんだろうとか、だんだん深いところまで疑問に思ってきちゃったりすることがあって、それでどうしてだろうなって思ったりとか。

向井お兄さん:あるよねえ。たまにちょっとモヤモヤすることがいっぱい出てくるもんね。

― 出てきますね。

向井お兄さん:恩蔵先生、お願いします。

恩蔵先生:めぐみちゃん、こんにちは。今日は質問してくれてありがとう。

― いえ、こちらも質問に答えてくださりありがとうございます。

恩蔵先生:ありがとう、そんなふうに言ってくれて。

向井お兄さん:えらいね、しっかりしてますよ。

恩蔵先生:めぐみちゃんはお友だちのこととかでたくさん悩んでるんだね。それで次から次へと出てくるんだ。

― はい、そうです。

恩蔵先生:脳には休憩がないっていうのがポイントでね。でも悩むっていうのは、脳が元気な人だっていう証拠なの。

― うーん、なるほど。

恩蔵先生:めぐみちゃんは、人の心を知りたいって思ってるんだと思うんだ。

― そうなんですか?

恩蔵先生:うん。なんであんな人はあんなこと言ったのかなとか、どうして喧嘩になったんだろうって思うんでしょう? それは人の心について知りたいっていう気持ちなんだと思うよ。

― そういうことだったんですね!

恩蔵先生:そう、そう。人って本当に、次になにを言うかわからない存在なの、自分と違っていて。

― うん、うん。

恩蔵先生:だから自分が思ってることが当てはまらないんだよね。

― あ、なるほどお。

恩蔵先生:だから、自分とは全然違う人間が世の中にいるってことを、今めぐみちゃんは学んでいる。

― あー・・・。うん、うん。

恩蔵先生:めぐみちゃんは今11歳でそんなにしっかりしてるじゃない。

― ありがとうございます(笑)。

恩蔵先生:でもね、めぐみちゃんが中学生なっても高校生になっても、18歳の大人になっても、人の気持ちを知るっていう脳の部位は成長を続けっぱなしなの。だからずーっと悩むよ(笑)。

― うふふふ。

向井お兄さん:だからこそ悩みとどう付き合うかっていうことが大事になってくるってことですよね。

― そうですね。

恩蔵先生:それで、悩んでいることはどんどん深くなっていくし、どんどん人の心について詳しくなっていくから悩みもどんどん細かいものになっていくんだけど・・・。

― はい、そうですね。

恩蔵先生:私たち大変だよね(笑)。でもそのときにもうひとつ持っておかないといけない大事なことがあって、悩みを忘れる瞬間っていうのもすごい大事なの。めぐみちゃんはなにか自分の好きなことに没頭したことはある?

― あります。

恩蔵先生:どういうこと?

― 本を読んだり、ダンスを踊ったりとか。

恩蔵先生:ああ、ダンスが好きなの。本を読んだりダンスしてると時間があっという間に経っちゃって、友だちのことを考えないでいられる時間になったりしない?

― あ、あります!

恩蔵先生:あるよね。悩むのと正反対の時間が「没頭する」っていう時間なの。自分の好きなことを1個持っておくっていうのが絶対に大事。

― ああ、そうやって解決する方法があったんですね。

恩蔵先生:脳は「忘れる」っていうことができて、没頭する時間があると自分が強くなるんだよね。

自分の好きなことはここにあるからほかの人がどう思ってもこの時間だけは大丈夫っていうふうに、自分のことを作ってる時間なんだよ。

― あー、なるほど!

恩蔵先生:そう。だから、人のことで悩む時間と自分の好きなことをして自分のことだけしか考えない時間、それを行ったり来たりするといい。

― あ、なるほど。

恩蔵先生:1個でもいいから好きなことがあると、生きていけるよ。

― うふふふ(笑)。

向井お兄さん:めぐみちゃん、ダンスも好きなの?

― 好きです。

向井お兄さん:踊ってるときは悩みのことなんてやっぱり考えない?

― 考えないですね。

向井お兄さん:そうだよね。

恩蔵先生:それから、みんな悩んでるから大丈夫だからね!

― はい(笑)。

向井お兄さん:そうなんだよね、ほんとにみんな悩むんだよねえ。

― ありがとうございます(笑)。

向井お兄さん:悩みが全くなくなるなんてことって、ないですもんね。

恩蔵先生:ないですね。悩まなくなったら危ないんでしょうね、きっと。

向井お兄さん:いや、恩蔵先生も悩んでるんだなというのが非常に伝わってくるような(笑)。めぐみちゃんへの寄り添い方が悩みの深い人のそれだったんで。

恩蔵先生:すいません(笑)。

(回答者プロフィール)恩蔵絢子さん。脳科学者。人間の意識や気持ちの動きと脳の働きについて研究しています。著書に『なぜ、認知症の人は家に帰りたがるのか 脳科学でわかる、ご本人の思いと接し方』(中央法規出版。共著)、『脳科学者の母が、認知症になる』(河出書房新社)など。

編集部おすすめ