厚生労働省が「飲酒に関するガイドライン」を発表したというニュース、番組でもお伝えしましたが、お酒を販売する企業側にも変化が起きています。
ストロング系チューハイ 市場縮小と企業の撤退
飲料メーカー各社が「ストロング系」と呼ばれる、アルコール度数が高い、高アルコールのチューハイの販売から撤退する動きが相次いでいます。まずは最近のチューハイ市場について、調査会社「インテージ」の市場アナリスト 木地利光さんに伺いました。
インテージ市場アナリスト 木地利光さん
チューハイ市場全体は成長している市場ではあるんですが、アルコールの度数別で見た場合、8度、9度の「ストロング系」が苦戦しているのが現状です。2020年にかけてはストロング系の市場は伸びていたんですが、20年をピークに23年にかけて減少していて、ピークから20%くらい市場が縮小しています。今は5%~7%台の「中アル」の人気が高まっているんですが、まず市場の縮小が先にあって(ストロング系から)撤退しているところが見られるので人気が「高アル」から「中アル」にシフトしている現状はあったんだと思います。健康が気になるところが、厚労省のガイドラインの発表も受けてあるので、度数が強すぎるものは控える動きは、今後も続くのかなと思っています。食事と一緒にノンアルを楽しむ選択肢も出てくるのかなと思っています。
アルコール度数8%以上のものが「ストロング系チューハイ」と呼ばれますが、そもそも健康意識の高まりで需要が落ちてきたこと、さらに今回の厚労省のガイドラインの発表を受けて、ストロング系から撤退、縮小する企業が相次いでいるということなんです。インテージによると、2020年に1776億円だったストロング系の販売額は去年1365億円まで減少しています。
飲料メーカー各社では、これまでに、アサヒビールやサッポロビールが、今後はアルコール度数8%以上の缶チューハイの新商品を発売しない方針を固めました。
ストロング系チューハイ 何が危険?
では、「ストロング系」チューハイの何が危険なのか、国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部 松本俊彦部長のお話です。
国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部 松本俊彦部長
アルコール度数がもっと高いアルコール飲料はあるわけです。ワイン、日本酒、蒸留酒はもっと高くなるわけです。ただ飲むスピードが何となく速い、ビール並みそれ以上で飲まれる方が多いんですね。おそらく味付けがごくごくいけてしまう。

気軽に低価格で飲める分、若者も買いやすく、メーカーも意図していないような気分を変える手段として使われてしまうことも多く、そこがとても危険だと話していました。
私たちが飲酒するとき気をつけることは
相次ぐストロング系チューハイのシェア縮小について、松本さんは、「時期としては遅いと感じるけれど、もちろん好ましい動き。ただ危険なのは、8%以上という濃度の問題ではない」と話しています。
再び国立精神・神経医療研究センターの松本さんに、私たちが心がけることと合わせて伺いました。
国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部 松本俊彦部長
パーセンテージの問題ではなくて、アルコールはいい部分もたくさんあるんだけど依存性もあるし、内臓障害もあるし、アルコールは少なければ少ないほどいいし、度数もより低ければ低い方がいいという、ただそれだけのことなんですね。3%ならいいとか、5%ならいいとか、そういう問題ではないような気がします。飲むスピードの速さには注意しないといけないし、1人で飲む人は危険ですね。辛い気持ちを誤魔化すために飲む、飯を食べずに飲むのも良くないです。あとは休肝日を儲けることが必要かなと思っています。休肝日って1日だけじゃダメなんですよ。2日連続でとっていただきたいんです。というのも、アルコール依存症になったときに禁断症状が出てくるのは、最終飲酒から24時間から48時間経ったとき。今なら自分は大丈夫と確認しながらお酒と付き合っていくためには、2日連続の休肝日を、飲むなとは言わないけど、休肝日も考えてほしいと思います。
松本さんは、決してお酒の文化を否定しているわけではなく、リスクの少ない楽しみ方をしてほしいと話していました。よく言われますが、お酒は楽しくほどほどに・・・。