お話を伺うのは、番組の月一レギュラーで、医療ジャーナリストで医師の森田豊さん。

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テーマは「スポーツや運動に関するクイズ」
もはや日々の生活の中で、この番組のクイズを考えない日はないぐらい、毎日、クイズのことばかりを考えて、楽しんでいる森田先生。


今回は「スポーツや運動に関するクイズ」をお届けします!

Q:スポーツは見るだけでも、「身体に良いこと」が起きると報告されています。次のうち、どんなことが起こると報告されているでしょうか?スーさんの実体験も思い出しながら、正しいと思うものをすべて挙げてください

A:幸福度が高まる B:孤独感が弱まる C:便秘が解消される

正解は、AとB!

イギリスのアングリアラスキン大学からの研究報告です。イギリスのライブのスポーツイベントに参加した16~85歳のおよそ7000人のデータを分析しました。すると、スポーツを観戦した人では、「人生に価値がある」と思う人の割合が高まり、幸福度が高まるだけでなく、孤独感のレベルが低くなることがわかりました。スポーツに実際に参加して身体を動かすことはもちろん素晴らしいことですが、今回の研究から、スポーツは「観に行くだけ」でも幸せになれるということがわかりました。

Q:今年の箱根駅伝を制した、青山学院大学・陸上競技部ですが、その陸上競技部の学生には、ある腸内細菌が多くいることがわかりました。
さて、次のうちどれが多かったでしょうか?

A:気持ちを落ち着かせる働きのあるもの B:持久運動能力を高めるもの C:免疫力を高めるもの

正解は、Bの持久運動能力を高める腸内細菌!

慶應義塾大学、アサヒ クオリティー&イノベーションズ、青山学院大学大学院の研究グループは、ヒトの運動に関する持久力を高める腸内細菌を発見したとのことです。研究グループは、青山学院大学陸上競技部に所属する48人の男性の学生と、同年代の一般男性10人の腸内細菌を比較したところ、陸上競技部の学生の腸内には、持久力の運動能力が上がりやすい「バクテロイデス・ユニフォルミス」という細菌が多く存在していることがわかりました。
「バクテロイデス・ユニフォルミス」という腸内細菌が、持久運動能力を向上させる仕組みですが、この腸内細菌が腸の中で、酢酸とプロピオン酸というものを作ります。その酢酸とプロピオン酸が、運動中の肝臓で糖を新たに作ってくれて、運動に必要な糖を全身に供給するからだと考えられています。
また、この腸内細菌を増やす効果がある「α-シクロデキストリン」を健康な成人男性が8週間摂取したところ、摂取開始から8週間後にバクテロイデス・ユニフォルミスの菌数が摂取開始前に比べて増加し、エクササイズ・バイクで10キロメートル漕ぐのにかかる時間が摂取前に比べておよそ10%短縮していたみたいです。さらに、「α-シクロデキストリン」の摂取者は、運動後の疲労感も低下していました。

Q:筑波大学の研究結果で、運動は一人よりも仲間と行うほうが、とある病気の予防になると報告されています。さて、どんな病気でしょうか?自由回答です。

正解は、認知症の予防

筑波大学が行った研究によると、およそ4000人を、4年にわたり追跡調査を行いました。1人で行う運動だと、認知症のリスクが22%低くなったのに比べて、仲間と行う運動では、認知症のリスクを34%も低くなった結果でした。
高齢者の認知症予防においては、1人で行う運動の意義を認めつつも、仲間と行う運動を推奨していくことが重要であることなのかもしれません。運動だけでなく、社会的なつながりの充実も認知症予防に重要な要素だと考えられています。


ちなみに高齢者には、45分以上の「やや強め」の運動を頻回に行うことが推奨されています。45分って日常から運動をしていないと、結構長いですよね・・・

スポーツ観戦をすると、実は体に起きている「良いこと」とは

Q:中学・高校時代に、「ある部活動」をしていた人たちは、高齢になったときの骨密度が高く、骨が頑丈である傾向があるという研究結果があります。さて、どんな部活動でしょうか?自由回答です!

正解は、バスケ部とバレー部

順天堂大学の研究グループが、東京都文京区在住の高齢者1596名を対象とし、日本の伝統的な「部活動」に着目した観察研究を行いました。
その結果、中学・高校生の時期に、バスケットボールをしていた男女で、高齢期(65歳から84歳)の大腿骨頸部(太ももの付け根)で測定した骨密度が高いことがわかりました。
また、中学・高校生の時期にバレーボールをしていた女性では、高齢期の腰椎(腰骨)の骨密度が高いことが示されました。
おそらく、バスケやバレー特有のジャンプと着地による骨への負荷が要因と考えられます。

数十年前の中学・高校生の運動経験によって得られた利益が年をとってまで長期に渡って維持される可能性を示しています。

しかしながら我々も、今からでも骨密度に意識して、骨折予防のために努力しましょう。カルシウムやビタミンDを多く含む食事を摂取して運動をすることです。運動ですが、骨に運動などの負荷をかけることで強くなります。
特に衝撃や負荷が大きい運動で、ジャンプは年配の方では腰や膝を痛める可能性もあるので、スクワット、片脚立ち、散歩などでも構いません。ちなみに、最近注目されている骨密度を維持する方法として、「かかと落とし」があります。


①足を肩幅に開いて立つ。
②背筋を伸ばして、真っすぐ前を見る
③つま先立ちをして、かかとを勢いよくおろす。
10回くりかえし、1日3セットやると効果的です。

Q:年を重ねてくると、若い頃に比べて「覚える」ということが難しくなりますが、記憶する際の効果を高めるのに効果的なある動きがあることがわかりました。それは、次のうちどれでしょう?

正解は、Aの右手でこぶしを作る

アメリカ・モントクレア州立大学の研究結果です。大人51名を対象に72個の単語を記憶して、思い出す、という課題をこなしてもらいました。

記憶したとき、思い出すときの、単語の数や思い出すことができた正答率などを比較したんですが、記憶するときに、右のこぶしを握り、そして、思い出すときに左の拳を握った場合には、
思い出した単語数が多いことが確認されました。

右のこぶしを握るときには左の脳がより活性化します。左の脳の前頭葉というところには、経験した出来事を記憶する働きがあるので、覚えこむときには左の方が重要です。
また、左のこぶしを握るときには右の脳がより活性化します。右の脳の前頭葉・前頭前野というところは記憶を思い出す際に重要な役割を演じると考えられています。

Q:大谷翔平選手が、ハワイ島のマウナケアに別荘を購入したと報道されています。この場所は「世界一の星空」と称されています。そこで、星に関する問題です。家庭用のプラネタリウムで効果が報告されたものは、次のうちどれでしょう。正しいと思うものをすべて挙げてください。

株式会社セガトイズが大阪府立大学とともに行った研究です。健康な男女が5日間、家庭用プラネタリウムを使い脳波や睡眠の深さ、睡眠時間などを検証した結果です。
家庭用プラネタリウム・ホームスターによる家庭用プラネタリウムを鑑賞してから寝る場合と、鑑賞しないで寝た場合、鑑賞してから寝ると、寝つきが平均30%改善し他ことがわかりました。また、入眠障害が軽減して、質の良い睡眠時間が平均30%延長したそうです。

「睡眠を大切にしている」と話している大谷選手らしい場所ですね。この別荘で過ごすことで、野球のパフォーマンスも上がると私は分析しています。ただし、ハワイ島に行けるのはオフシーズンのみなので、どうなるんでしょうか・・・?

スポーツ観戦をすると、実は体に起きている「良いこと」とは