ゲストは…アイドルグループ:BiSHの元メンバーで現在はアーティスト・文筆家として活躍中のモモコグミカンパニーさん!
アイドルになったきっかけや新著『コーヒーと失恋話』についてお話を伺いました!

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人間観察したくてBiSHのオーディションを受けた

井上:以前担当したTBSラジオの特番も聞かせて頂いたりご著書も読ませて頂く中で…モモコグミカンパニーさんってしっとりとした魅力を感じるんですけど、そのモモコグミカンパニーさんがアイドルの門を叩いたっていうのはどういう心の揺れ動きがあったんですか?

モモコグミカンパニー:大学の在学中にやりたいことが見つかってなくって。本が好きだったので本屋さん巡りをしていたら、ふいにオーディオ雑誌が輝いて見えたんですね。元々、秋元康さんの作詞が好きだったんですよ。

犬山:詞から入ったんだ!

モモコグミカンパニー:推しメンとか全くいなくて。詞が好きで曲をよく聞いていて。なんか…「この世にアイドルって何千人も応募するのはそもそも何でだ?」って思ってて。私の大学は海外志向の人が多くて、日本のアイドル文化に興味がある人がいなかったから「本当に受けに来てんのか?」っていう疑問があったんですね

井上:本当か?!と

モモコグミカンパニー:それでオーディション雑誌見てて「BiSH」というグループを見つけて。集団面接だったんで「ここなら何か知らんし、いけるだろう!」って思って、ちょっと行くだけ行ってみて、他の子がどういう思考を持ってアイドルを受けに来てるんだろうっていうのが聞きたいなって。興味本位で行ったのが本当に初めてで。そしたら合格させていただいて

犬山:それで合格するのが凄いですよ!

モモコグミカンパニー:だから履歴書にも写真とか全く貼らないで待って出したりとか。やる気がなかったから肩の力が抜けて、たぶん良かったんだと思うんですけど…でも「ちょっとこれはいかがわしいビデオのやつかもしれない」と思って。私が受かるってことは…みたいな。自分に自信もないしアイドルっぽい感じでもなかったので。だからちょっと1回断ったんですけど。

井上:断った?!

モモコグミカンパニー:ちょっと考えさせてくださいみたいな感じにして。

渡辺さんっていう方がプロデューサーだったんですけど、その方がBiSHの前にやってたアイドルグループのBiSをお家に帰って色々調べたら…「他のアイドルと違うぞ」って思ったんですよ。作詞の言葉がまずおかしいと思ったんです

犬山:やっぱり作詞から興味が出てきたんですか?

モモコグミカンパニー:何か作詞から言葉がすっと入ってこなくて。すごく違和感があって。「何でだ?」って思ったら、メンバー全員+渡部さんで書いてる歌詞だったから。「だからこんなちぐはぐなんだ!」みたいな。「結構、独創的なアイドルなんだな」って思って、創作的というか、メンバーにも任せる形で。その人がやってアイドルなら私も面白いことできるかもしれないし作詞もできるかもしれないって思って、いったん入ってみようって

井上:面白い!

モモコグミカンパニー:渋谷でオーディションが行われてたんですけど、本当に行くか悩みましたね。眠かったんで。

犬山:(笑)

井上:なんで?!(笑)

モモコグミカンパニー:深夜の映画のアルバイトをしていて、朝とか起きれないわけですよ。でも「今もう寝てもいいけど…起きてもいいか」みたいにすごい迷っていて、それで1回行ってみようってなってオーディオ行きました

犬山:その時、起きてくれて良かったですよ(笑)

モモコグミカンパニー「裏垢には自信あります」って言ったからBiSHに合格した?

合格になったのはTwitterの裏垢を推したから?

井上:なぜそのBiSH受けた時に、モモコグミカンパニーさんに合格を出したか。その理由みたいなのって、のちのち聞いたりしたんですか?

モモコグミカンパニー:普通は初対面の人からお菓子をもらったら食べないらしいんですけど…

犬山:え??

井上:え?どの角度からのお話ですか?!

モモコグミカンパニー:初対面の人からお菓子をもらっても食べないじゃないですか?

井上:そうですね…

モモコグミカンパニー:プロデューサーの渡辺さんから「お菓子食う?」って面接の時に言われたんです。私とりあえず食べたんですよ。とりあえず食べたこととか、渡辺さんのこと本当に知らなくて。

「なんだよこの人?」って思うぐらい斜めから見てきてたので、ラフにすごく話したっていうのかなぁって

井上:渡辺さんには「なんだこの子は?」っていうのがあったんですかね

モモコグミカンパニー:違和感はあったと思います。渡辺さん、その時たぶん面接飽きてたんで。面接中にめちゃめちゃ携帯を見てたんで。

犬山:えー?!

井上:めちゃめちゃ携帯見てた??

モモコグミカンパニー:パソコンもめっちゃ見てて。傍から見ると聞いてなさそうとか思ってたんです。「アカペラをワンコーラス歌え」って時もちょっと歌いたくなくて。「歌いたくないです」とは言ってないんですけど、結構ためらいの時間が長かったりとかして。やる気満々の子たちの中で、ちょっと違和感があったんだと思います。

井上:でもその時に「あなたはなぜアイドルになりたいんですか?」みたいな質問も飛んでくるわけじゃないですか?

モモコグミカンパニー:最初受かった時に渡辺さんに言ったのは…「私はTwitterの裏垢がすごい面白い言葉ばっかり載せてて」「裏垢だけは自信あります」みたいなことを言った記憶はあります(笑)

井上:そんなこと言うアイドル志望の人いないですよ(笑)

モモコグミカンパニー:大学生時代にやっていたTwitterが面白いって(笑)

犬山:Twitter面白いの大事ですよ!分かります!!

モモコグミカンパニー「裏垢には自信あります」って言ったからBiSHに合格した?

小説を書くのは夢のまた夢だと思っていた

井上:元々、人前に出るのは好きなタイプですか?

モモコグミカンパニー:いや、そんなに好きじゃないです。いまだに恥ずかしいですね。

井上:よくアイドルというものに(笑)

モモコグミカンパニー:でも自分の作詞とか本を出すことが許されたりとかで自分の価値を実感できたし。自分歌もダンスも別にできないんですけど…私みたいなマジで何もできない奴が東京ドーム立つのとかすごく面白いなとか思って。

誰かの勇気になったらいいなって思う気持ちもあって、結構這いつくばってやらしていただいてました

井上:それはやっぱりBiSHという箱じゃないと実現できなかったことでしょうね。

モモコグミカンパニー:たぶん他のアイドルだったらそもそも受からないとは思うんですけど。存在価値を見出せなかったかなって。元々、大学時代は「コピーライターになりたい」とか思ってて。小説を書くことは夢のまた夢で。私のような凡人にはできないと思ってたんです。

井上:コピーライターに興味があったんですか?

モモコグミカンパニー:なんかどうしても言葉をお仕事にしたいみたいな感じで。できる周りの先輩とか見てたらコピーライターがすごく輝いて見えて

犬山:「言葉が好き」っていうお話聞いてたんですけど、何か心の支えとか、何かこの言葉にちょっと価値観が揺さぶられたとか、そういった言葉ってあったりしますか?

モモコグミカンパニー:私は夏目漱石の『私の個人主義』っていうエッセイがすごく好きで。夏目漱石ってお札にもなった凄く偉大な方じゃないですか?でも教師やりながら「自分はこんなことやってていいのか?」ってめっちゃ思ってたみたいなことをエッセイに書かれていて。「この人でも悩んでんだったら私が悩むの当たり前だ」って思って。悩んでることをダメだと思わなくなって。悩みながら人生って進んでいくんだろうなって思ったのはすごく支えになりましたね

犬山:でもそれをたぶん、モモコグミカンパニーさんの小説を見て今救われてる方もね。

良き連鎖でいらっしゃると思うんです。

モモコグミカンパニー:そうなれば良いなと思って小説を書いたりしてますね

モモコグミカンパニー「裏垢には自信あります」って言ったからBiSHに合格した?
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