最近、様々なものが値上がりしていますが、「コーヒー」も値上げが相次いでいます。
「異常気象」「円安」「中国の需要増」で価格高騰
スターバックスは2月から定番飲料の価格を4~28円値上げ。セブンイレブンは3月からコーヒーのレギュラーサイズを10円値上げし、110円(税抜)が、120円(税抜)に。
何が起きているのか?コーヒー豆専門店「南蛮屋」の村松 靖己さんのお話。
コーヒー豆専門店「南蛮屋」村松 靖己さん
5月1日、今月からですね、コーヒーを10%、一律値上げを実施させていただきました。
非常に高騰しておりますね。とんでもないレベルの、仕入れ価格の上昇は、現実で起こっております。
もう2割、3割は当たり前でした、50%、もしくは倍を超えてるコーヒーもございますね。
一番は気候変動による生産量の影響は大きいと思います。
「コーヒーベルト」と呼ばれているんですけど、例えばブラジルの本来雨が降る時期に降らなかった。産地価格も上がりつつ、為替の円安。このダブルっていうのは、「南蛮屋」は我々40年になるんですけども今年で創業。初めての経験ですね、ここまでのもの。
本当に仕入れは今非常に慎重に行っていますね。
「南蛮屋」は神奈川県・厚木市にあるコーヒー豆専門店で、村松さんは仕入れ担当。
こちらのお店のコーヒー豆の価格も変更し、100グラムで税抜550円だったのが、今月から610円と、10%値上げしています。
でも、なぜこんなに高くなっているのか?
要因は大きく2つ。「生産地の異常気象」と「円安」だそうです。
コーヒーには、高級品種の「アラビカ種」と、割安な「ロブスタ種」がありますが、「アラビカ種」は、一大産地・ブラジルで、大規模な寒波と霜の被害を受けて収穫量が激減。一方の「ロブスタ種」は、主な生産地のベトナムが干ばつの影響で不作に。世界中のコーヒーの産地が打撃を受けています。
さらにコーヒー豆は、ほとんどが輸入品なので、「円安」の影響も追い打ちに。中国などのアジアでコーヒーの需要が高まっている中で、各国、奪い合いの状況になっています。
年間8万円で、コーヒーの木のオーナーに
そこで、国産コーヒーの登場です。日本国内でコーヒー豆を栽培しようという動きも、少しずつ始まってきています。
千葉県八千代市でコーヒー豆の栽培を手がける柳沢 昭次さんにお話を聞きました。
国産コーヒー農園「ヤチフォルニア農園公国」 柳沢 昭次さん
これが豆でしょ、コーヒー豆。
年間管理費を8万円いただいて、私がぜんぶ苗の世話するんで、オーナーさんは今年12月からコーヒー収穫してもらって。で、1、2、3月に今年の新豆を私が生成するんで、それを皆に飲んでもらうっていう。
オーナー制を募集してるのは400本あるんですよ。その内の200本は、もうオーナーさんがいますね。
千葉県の八千代市で運営されている、「ヤチフォルニア農園公国」と名付けられたコーヒー農園。柳沢さんがカリフォルニア好きなので、八千代とカリフォルニアをかけ合わせて、「ヤチフォルニア」。造語です。
こちらでは、しばらく使われていなかった「休耕地」を何かに活用できないかと思い、農園を始めたとのこと。
コーヒーの木が1500本、ビニールハウスの中で栽培されていて、それぞれおよそ2メートル位まで成長していて、緑の葉っぱが生い茂っている状態でした。
これを、3本を1セットとして、年間8万円でコーヒーの木のオーナーになります。すると、コーヒー100~150杯分の豆が、12月ごろに収穫できるようになるそうです。
去年の3月に始めたばかりなので、まだ収穫量が少なくて飲めないのですが、栽培品種は「アラビカ種のティピカ」ということから、酸味と香りが強い味わいになるかもしれません。
厳しい温度管理でコストがかかる
ただ、暑い地域(ブラジル、コロンビア、メキシコ等)で育つイメージなので、千葉で育つのが不思議です。やはり栽培には、さまざまな苦労があるそうです。
国産コーヒー農園「ヤチフォルニア農園公国」 柳沢 昭次さん
「温度管理」はめっちゃ気をつけてます。
なぜかというと、寒いの嫌いなくせして、直射日光に弱い。全部これオートなんですよ。24度超えたらビニールハウスが開く。13度を切ったら暖房が作動する。ある温度を切っただけで、いきなり死んじゃいますね、マジかっていうぐらい。とにかく扱いにくいんです。
だから、みんな知らない人は私に言うんですよ。「いいところに目つけたね。コーヒーの値段上がってるからね」と。いやだから、いくら(値段が)上がっても追いつかないよっていう。
だってこっちはハウスで育ててるんだから、向こう(海外)は路地でだから。どこまで行っても埋まらないんですよ。
ただ、苗屋さんも試行錯誤で、何が正しいかはっきりわかってないです。だから一緒に協業しながら、「うちはこうやってやってる、ああやってやってる」って言いながら、私もあちこち農園回ってやってるんで。
もしかしたら生産は少ないけど、「ジャパニーズコーヒーは、すごい品質が良い」ってなったときには、私は、やった甲斐があるなと思ってますけどね。
熱帯で育つものだと思っていましたが、日本でも工夫すれば、育つようです。ただし、昼と夜の温度差が必要だったり、日本は湿度が高くてカビがはえやすいので、気をつかう分、コストもかかってしまいます。
1杯100円ちょっとで飲めるコーヒーが、将来、高級品になる未来がくるかもしれませんが、国産コーヒー、頑張ってほしいと思いました。