米オハイオ州デイトンでロニーさんとドニー・ガリヨンさんが誕生したのは、1951年10月28日のことだった。両親は男児が双子であることも結合双生児であることも知らず、帝王切開による出産だった。2人は胸骨から鼠径部にかけて結合し、心臓、胃、肺などは別々で、脚と腕は2本ずつあるものの、へそ、小腸、膀胱、男性器を共有していた。医師は分離手術が可能であるかを調べるため2人を2年間入院させたが、「手術はほぼ不可能」との判断が下り、双子は結合したまま一生を過ごした。
ガリヨン一家は子供が9人と大所帯で、父親はロニーさんとドニーさんが4歳になるとサイドショー(見世物小屋)に出演させて生計を立てた。両親は2人を学校へ行かせたかったが、学校から「他の児童が集中できないから」と入学を拒否され、ロニーさんとドニーさんは読み書きを学ぶことがないまま育った。
1970年代にサイドショーが米国内で下火になると、2人は中南米まで足を延ばし、1991年に引退するまでエンターテイナーとして活躍した。この頃の生活について2人は「多くの素晴らしい仲間と巡り会うことができ、楽しかった。ショーでは僕たちはヒーローだったんだ。それに自分たちの稼ぎで一家を支えたんだからね。誇りに思ってるよ」と振り返っている。こうして35年間の興行で稼いだお金で家を買い、2人はオハイオ州デントンに住む11歳下の弟ジミーさんの近くに移り住んだ。
ジミーさんは兄2人について、こう語っている。
「2人が引退してからは、買い物でもなんでも協力できることはしたんだ。今までずっと世話になったからね。恩返しという気持ちもあった。でも2010年にロニーが肺血栓を患ってから、2人はずいぶんと弱くなってね。
『All That’s Interesting』によると、24時間いつも一緒の2人が言い争いをすることはしょっちゅうで、殴り合いになることもあったようだ。しかし2010年に体調を崩し血栓溶解薬を服用するようになってからは、お互いの身体を労わるようになったという。
ここ数年は関節炎を患い外出もめっきり減っていた2人は、今月1日から体調を崩してホスピスに入院し、3日後に息を引き取った。結合双生児は約40%が死産で、約35%は生後1日で死亡すると言われるが、68年を生き抜いた2人はまさに偉業を達成したといっても過言ではないだろう。
画像は『Daily Star 2020年7月4日付「Record-breaking oldest-ever conjoined twins Ronnie and Donnie die aged 68」(Image: five)』『MLive.com 2019年4月3日付「World’s oldest conjoined twins answer frequently asked questions」(Photo courtesy of Galyon family)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)