親にばれないように「助けが必要?」と走り書きしたメモを、11歳の男児に見せたレストランの店員。機転を利かせ、ドラマさながらに男児を救った店員に称賛の声があがっている。
『FOX 35 Orlando』などが伝えた。

米フロリダ州オーランドのサウス・カークマン・ロード沿いにあるレストラン「Mrs. Potato」に今月1日、4人家族が食事をしに訪れた。

この店でマネージャーを務めるフラビアニ・カルバーリオさん(Flaviane Carvalho)は、この家族のテーブルに食事を運んだ。そこにいた11歳の男児は眼鏡にマスク姿でパーカーを着ており、眉間には切り傷、目の横側には痣があり明らかに痩せ細っていたという。

虐待を疑ったフラビアニさんは母親と継父の後ろに立ち、こっそりと「大丈夫?」と走り書きしたメモを男児に見せた。

男児は黙ってうなずいたが、その子の分の食事は注文されていなかった。
フラビアニさんが注文したものが足りないか聞くと、継父が「この子は家で食べるから大丈夫だよ」と答えたという。

18歳の娘を持つフラビアニさんは「何もせずに男の子を帰すわけにはいかない」と思い、今度は「助けが必要?」と書いたメモを見せると、男児は再びうなずいたのだ。


すぐにフラビアニさんはオーランド警察に通報した。男児は到着した警察で痣について尋ねられると「顔の痣はうっかりベッドから転げ落ちてしまったもので、腕の痣は継父とレスリングしてできたもの」と話したそうだ。

警察がこの男児を小児病院「Orlando Health Arnold Palmer Hospital for Children」へ連れて行ったところ、顔や腕の痣だけでなく、まぶたや耳たぶは痣でまだら模様となっていたことが分かった。また袖をまくり上げるだけで腕の痣を痛がり、体重は標準より20ポンド(約9キロ)も少なかった。


その後、男児は警察に「自宅で足首を縛られ、ドアに逆さ吊りにされていた。継父に木製のほうきや孫の手で叩かれ、拳で殴られた」と虐待されていたことを明かした。

オーランド警察のエリン・ローラーさん(Erin Lawler)は、調査の内容を次のように公表している。

「明らかに虐待で、拷問も同然です。両親は普段から男児に食事を与えておらず、過剰な運動を強要していました。30分間プランク(体幹を鍛えるポーズ)の状態を男児に課して、できなければお仕置きをするというものでした。
また逆立ちができなかったので、男児の足首を縛り逆さ吊りにさせたというのです。」

男児は「虐待はクリスマス頃から始まった」と話したが、ケガの状態からして以前から虐待されていた可能性が高いと警察は推測している。さらに男児は「サンタが僕にお仕置きした方がいいって言ったんだ」とも明かしたという。

これらの虐待が判明し、継父のティモシー・ウィルソン2世(Timothy Wilson II、34)は第3級の児童虐待で逮捕された。また母親のクリスティン・スワン(Kristen Swann)は、ティモシーによる虐待を黙認していたことにより育児放棄の容疑で逮捕された。一緒に生活していた4歳の子供も、11歳の男児と一緒に保護されたそうだ。

このニュースを見た人々からは「店員の機転の利かせ方が素晴らしい」「この店員は表彰されるべきだね。
男の子が虐待から逃れることができて本当によかった」「『自分には関係ない』と思う人もいるだろうけど、このスタッフのような人がこの世界には必要だ」と称賛の声があがっている。

画像は『FOX 35 Orlando 2021年1月15日付「‘It was torture’ Police describe abuse boy endured before being rescued by Orlando server」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)