より強い闘犬を生み出すため品種改良されたと言われる“ピットブル”による事故が後を絶たない。アメリカで今月6日、自転車に乗っていた11歳男児が放し飼いにされていたピットブル3頭に襲われて重傷を負った。
近所の飼い主の男はその日のうちに逮捕されたが、男児は今も入院中で少なくとも4度の手術が必要という。

ジョージア州コロンビア郡グローブタウンで6日夜、ジャスティン・ギルストラップ君(Justin Gilstrap、11)が近所に住む男が飼っているピットブル3頭に襲われた。

ジャスティン君は当時、自転車に乗っており、ピットブル3頭に脚や臀部を次々と噛まれて自転車から引きずり下ろされ、道路脇の草地で襲われた。

ジャスティン君の悲鳴に気付き警察に通報したのはいとこのメイソン・アギラール君(Mason Aguilar、11)で、ジャスティン君は州内の小児病院に搬送され緊急手術を受けた。この事故で頭皮の70%を失ったほか、右耳のほとんどを食いちぎられており、脚には大きな穴が2か所開いたままという。

シングルマザーとして子供4人を育てているジャスティン君の母エリカさん(Ericka)は事故後、「息子の体は傷と痣で覆われてしまっているの。
明るい子だったのに、彼の人生は決して元には戻らないでしょうね。本当にこんな思いをするのは私だけでたくさんよ!」と嘆き、こう語った。

「息子を襲った犬についてはこれまでにもコロンビア郡保安官事務所に何度か通報をしたわ。でも誰も対処してくれなかった。犬たちはいつも放し飼いにされていて繋がれていないの。24時間ずっとよ! こんなことが起きてからやっと重い腰を上げるなんて、こんなに悲しいことはないわ!」

一方で3頭のピットブルの飼い主であるバート・ベイカー・サード(Burt Baker III、26)は取り調べで、「犬たちは自転車に乗っている人々を追いかけるのが好きなんだ」と話したそうで、無謀な行動をとったとしてその日のうちに逮捕されている。
現在は保証保釈金を支払い釈放されているものの、所有していた少なくとも7頭の犬は捕獲されているという。


なお『WRDW.com』によると、バートは2014年頃から近所の住民と飼い犬の件で揉めており、コロンビア郡保安官事務所も何度か通報を受けていたという。また同郡の動物管理局もこの問題を把握しており、バートに犬を放し飼いにしないよう注意をしていたという。


ジャスティン君は現在も小児集中治療室に入院中で、11日の時点ですでに2度の手術を受け、今後少なくとも2回手術が必要なようだ。事故を受け寄付を募っており、エリカさんが立ち上げたクラウドファンディングサイト「GoFundMe」の専用ページには目標額12万ドル(約1589万円)に対し3日間で11万6千ドル以上(約1536万円)の寄付金が集まっている。エリカさんは、そんな人々のサポートに感謝し、「息子が生きていたのは幸運としか言いようがない。
多くの人にこのニュースを知ってもらえれば」と述べ、犬を放し飼いにすることの危険性を訴えた。


ちなみに非営利団体「DogsBite.org」によると、アメリカ国内で2020年に犬の襲撃で死亡したのは46人で、そのうちの33人、72%がピットブルによるものという。また2005年から2020年までの16年間では、568人のアメリカ人が犬の襲撃で死亡、そのうちの380人はピットブル、51人がロットワイラーによるもので、この2種だけで全体の76%(431人)を占めている。さらに2005年から2019年の15年間では、犬の襲撃で死亡した1歳未満の乳児は64人で、ピットブルに襲われたのは約半数の48%という。アメリカでは全ての米軍基地と937以上の都市でピットブルの所有を禁止しているが、現在同国で飼われている犬のうち約6.2%がピットブルだそうだ。

画像は『The Daily Star 2023年1月10日付「Boy, 11, had 70% of scalp torn off after being viciously mauled by three pit bulls」(Image: CEN)』『New York Post 2023年1月10日付「Georgia boy severely injured after being pulled off bike, attacked by pit bulls」(Ericka Gilstrap)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)