拘束時間の長さやハードな仕事内容などで知られるテレビ番組AD(アシスタントディレクター)の“働き方改革”が、ここ数年で言われ始めた。最近では労働時間の管理や給与の保証など改善された部分も多いというが、それでも番組制作に関する工数自体が減ったわけではない。
昨年の『R-1グランプリ』『キングオブコント2022』で決勝進出を果たした芸人の吉住は、これまで制作側が担ってきた仕事の一部を若手芸人が肩代わりしていると証言した。

13日深夜に放送された『ゴッドタン』にゲスト出演した吉住。この日の企画は「第4回気づいちゃった発表会」で、芸人たちが日ごろの活動の中で自分だけが気づいてしまった内容を発表するものだ。その中で吉住は「若手芸人発掘番組の中で、本当に若手を発掘する気があるのは2割しかない」と、若手芸人を取り巻く環境について話した。

以前から「若手芸人が〇〇してみました」というような売り出し前の芸人に焦点を当てた番組は存在していたが、昨今の働き方改革でテレビスタッフが残業できない結果、賃金の安い若手芸人が代わりに番組の下調べなどの業務を担うことになっているそうだ。

そのため撮影以外の時間まで押さえられることになるが、出演料はもちろん安いままだ。
その結果、若手はアルバイトもできない状態になり苦労しているという。それでもまだ売れていない芸人やテレビに出たことのない芸人たちは「この番組で売れるかも」という希望を持ちながら一生懸命業務に取り組むが、吉住は「そういう番組に限って若手を雑に扱っているから、(放送でも芸人を)上手に映すことができない」と語っている。これには番組MCのおぎやはぎ・矢作兼劇団ひとりも「これはひどいね」「よく気付いた」と納得する様子を見せていた。

そんな裏側を知ったがゆえに「だからテレビ嫌いなんだよって思っちゃいました」と毒づき、笑いを誘った吉住。さらに視聴者に向けて「若手芸人を救えるのは、あなたたちだけです」と呼びかけ、スタジオを笑わせる一幕もあった。ユーモアを交えながら淡々と語った吉住だったが、それでもこの現状には相当思うところがある様子で「めちゃくちゃ悔しい」と発言している。
厳しい労働環境を改善するための改革だからこそ、さらに弱い立場にしわ寄せがいっていることは避けなければならないだろう。
(TechinsightJapan編集部 根岸奈央)