USオープン車いすテニス女子シングルス決勝、第2シードの上地結衣(三井住友銀行/世界ランク2位)は、第1シードのディーデ・デグロート(オランダ/同1位)に6-3、1-6、1-6と逆転負け。5年ぶりの優勝とはならなかった。
【動画】上地結衣vs.デグロートUSオープン女子決勝ハイライト
Q.女王に一矢報いたい決勝でしたが、惜しくも惜敗となりました。
「決勝前、本人と『相手に合わせないこと。先にリードしていけるだけゲームを取っていこう』と話をしていたのですが、第1セットはうまく取れました。
しかし、今までああいう入り方をしてなかったので、心身ともに疲れが出てしまいました。第2セット、第3セットはガス欠になった部分がありました。ただ、あのくらいの出力をしていかないといけない。今後、あれを3セットやっていくことが大切になると思います。新しい課題が見えた決勝でした。この数ヶ月間、対デグロート選手という想定を練習してきました。新しいチームになってから、まだ数ヶ月ですが、取り組んできた事をがしっかり出せたかなと思います」
Q.第1セットは作戦が奏功した。
「具体的に言うと、やはり早く前に入って打ってチャンスを逃さないことが一つ。第1セットの1ゲーム目から今までの彼女とは違うプレーが出せていたと思います。特に前でライジングを打っているのは、取り組んだことを実戦でやってくれたと思います。結果としては40-0からまくられて落としましたが、あれは必ず後で活きてくると思います。それは良かったですね」
Q.車いすテニスも、健常者のテニス同様に縦のコートをうまく使う傾向にあるのでしょうか?
「正におっしゃるとおりで、これまでベースラインの後ろでプレーというのはやってきましたし、一番得意なゾーンだと思います。今後は、決勝でやったように、そのゾーンを使いつつ、コートの中により入って打っていきたい。前後の幅を使いたいですね。今も取り組んでいることですが、それを確立させたいです。もちろんネットプレーも取り組んでいかなければいけないところです」
Q.今後の変化が楽しみですね。
「ウィンブルドン前哨戦のイーストボーン大会でも良かったのですが、今回の方が勝とうとしていたように思います。前でもっとプレーしよう、と話して、それを取り組んでくれた結果だと思います。
彼女はずっとトップにいますから、自分の考えを持っています。
Q.宇井コーチが車いすテニスと携わる結果は何だったのでしょうか?
「元車いすテニスナショナルテニスコーチで、上地選手を教えていた三浦雄一コーチに選手時代、指導を受けていたのですが、現役引退後に『車いすテニスの指導をやってみないか』とお声がけいただいたのがきっかけです。5年前、そういうところからスタートしてその後一緒に遠征を回ったり練習したりもしていました。三浦コーチがナショナルのコーチを退任されたのもあって、個人でチームを作り、私もそこに入って上地選手をコーチングする形になりました」
Q.車いすテニスをコーチングするおもしろさはどこにありますか?
「車いすテニスについて、何も知らないからと指導をあきらめてしまう方もいらっしゃるかと思います。でも、勉強すればできると思います。選手と共に学んでいくというのもありだと思いますし。まず始めてみるのは良いだろうし、上地選手のテニス自体も健常者のテニスにどんどん近づいてきているので、車いすテニスを理解していないとコーチになれない、ということではないと思います」
Q.国枝慎吾(ユニクロ/同1位)選手や上地選手の活躍というのは、やはり大きいですか?
「以前、都内のレンタルコートでレッスンをしょうと思い、コートに確認を取ったところ“バリアフリーではないから”と断られたことがあります。そういうクラブは、実は多くてそれに驚いています。何かあったら、というリスクもあるのかもしれませんが、受け入れてくれないことには練習もできない。そうなると、やる場所もないですし、イベントを積極的にやって盛り上げてようと活動をしています。日本全体を見ると、まだまだ少ないなと思いますね」
Q.今後の目標などを教えてください。
「健常のジュニア選手も教えているので、その選手も含めて、選手が目指すステージで勝利させるというところですね。手助けできればと思います。
上地選手に関しては、来年の全豪オープンまでしっかり練習をして、デグロート選手にリベンジを果たしたいですね。いずれにせよ選手一人一人の目標を達成できるようにしたいと思います」