9月21日、「東レ パン パシフィック オープン」(東京・有明/WTA500)ダブルス1回戦が行われ、奈良くるみ(安藤証券/ダブルス世界ランク781位)/土居美咲(ミキハウス/同101位)は、ソフィア・ケニン(アメリカ/同249位)/リュドミラ・サムソノワ(同365位)と対戦し、2-6、4-6で敗れて初戦敗退。大勢のファンや共に世界で戦ってきた日本人女子選手に見送られ、奈良は現役ラストマッチを終えた。
【画像】奈良くるみ、現役ラストマッチ&セレモニーの様子
今年5月から6月にかけて韓国で行われたITF2万5000ドル大会で優勝した直後に、「ふと今シーズン、これで辞めることが私にとっていい道」と感じたという奈良。年間を通して戦うことが求められるプロの世界で、「逃げるように終わることは自分のキャリアの中でしたくない」と30歳で現役引退を決断した。
その最後の試合、一緒にコートに立ったのは、ジュニア時代から共に競い合って成長し、2007年ウィンブルドンジュニア女子ダブルスを準優勝した時のパートナーでもある土居だった。
第1セットを2-6で落とした奈良/土居は、第2セットでも相手の強打にも対応し、諦めることなく粘り強く戦う。互いに1度ずつブレークして迎えた第8ゲームでは、3本のブレークポイントが訪れたが、これを逃すと次ゲームを破られて4-6とストレートで敗戦。
試合後には、これまで一緒にツアーの舞台で戦ってきた青山修子や柴原瑛菜、日比野菜緒、加藤未唯、二宮真琴、穂積絵莉、本玉真唯、内藤祐希、今シーズン限りで現役引退する尾﨑里紗、車いすテニスの上地結衣らが駆けつけてセレモニーを行い、奈良はコート上で盟友とともに涙を流して笑顔でコートを去った。
奈良は「久々のダブルスだったので、正直ちゃんと試合になるのかという不安もありましたけど、思ったよりも自分たちのプレーも良かった。セカンドセットを取りきるチャンスがあったと思うので、そこを取れなかったのは悔しいですけど、最後まで勝ちにいくということを考えながらプレーできて終われたことは良かった」とコメント。
「みなさん、涙してお疲れさまと言ってくれたことは、ずっと思い出に残るだろうなというぐらい自分の中ではいい選手生活が送れたなと実感できました」と語った。
土居との思い出やツアーを一緒に戦ってきた仲間、ファンへの感謝の言葉を述べ、会見途中まで笑顔を見せていたが、2012年からプロ生活の多くの時間を過ごした原田夏希コーチについての話題になると、涙が自然とこぼれた。
「原田コーチがいなければ、今の私はいなかったですし、夏希さんとだからここまで楽しく自分のテニスの向上を楽しめたかなと思います。負けて辛かった時もありましたし、夏希さんは本当に厳しかったので数え切れないぐらい怒られて、くそジジイと思ったことも何回もありますけど、それでもずっと戦ってきてくれたなと。