米格付け会社ムーディーズは4月30日、米国の関税が世界貿易と経済成長に重大な重しとなり、タイの経済と財政状況がさらに悪化するリスクがあるとして、タイの経済見通しを「安定」から「ネガティブ」に格下げした。

タイ現地報道によると、ムーディーズは、タイの実質国内総生産(GDP)成長率が、2025年に2%程度に減速すると予測。

前回の2.9%から下方修正した。コロナ渦後の成長は他国と比較して鈍化し、関税などの経済ショックに対する脆弱性を指摘。財政再建の遅れや高齢化、生産性の低さといった構造的課題についても懸念を示した。

タイ政府は同日、米国との貿易交渉が終結しておらず、ムーエィーズの格下げ決定は時期尚早だと声明を発表。タイ経済は依然として成長しており、今年後半の成長を後押しするため、景気刺激策を実施する予定だとした。

ペートンターン・シナワット首相は、「単に格付け会社の認識に過ぎない」と述べ、2008年にも同様に下方修正されたが、最終的に「安定」へ回復したと指摘。タイは米国による関税引き上げに対応する準備を整えており、データセンターなど次世代産業や海外技術事業への投資を通じ、積極的に経済改善に取り組んでいると強調した。

タイ開発研究所は、ムーディーズの悲観的見通しは将来のリスクに対する警告だと表明。短期的ではなく、持続可能な解決策を求めた。

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