引退の中村も有終の美、シャーレを掲げることとなった photo/Getty Images
怒涛の攻撃を仕掛けて5得点。川崎は自分たちのサッカーを完遂した
25日にJ1第29節川崎×G大阪が行われ、5-0で大勝した川崎が史上最速優勝を決めた。
12分、14分には早くも決定機を作り出し、それぞれ三笘薫、大島僚太がフィニッシュした。しかし、どちらもゴールならず。よくあることとして、立て続けにチャンスを逃すとその後に相手へリズムが移ることがある。そして、「あのときに決めていれば」と後悔することになるが、いまの川崎はそんな定説に当てはまるチームではなかった。
その後も高い位置からプレスをかけ、G大阪に攻撃の時間を与えない。22分には家長昭博を軸に数人が絡むパスワークでボールを左サイドに運び、登里享平からのクロスにニアサイドでレアンドロ・ダミアンが合わせ、先制点を奪った。前半終了間際の45分にはCKから家長昭博が追加点をゲット。「ニアサイドでそらして、ファーサイドで決める。
「一人一人のレベル、チームの完成度……。差をあげたらキリがないです。それ以前に、今日は自分たちがやってきた“闘う”という部分を出せなかったのが大敗の原因です」(倉田秋)
「(川崎は)全員がいい判断をしてシンプルにボールを運んでいました。全員がいい立ち位置を取っていて、すべて後手で動かされていました」(山本悠樹)
今シーズンは川崎戦後に対戦相手がこうしたコメントを残すことが多かった。技術力の高い選手たちがオートマチックに連動する川崎のサッカーは、リードを奪うとさらに加速する。反撃のために相手は前に出ざるを得ないからだ。すると、今度は精度の高いカウンターの餌食となる。49分、73分に家長昭博、90分に齋藤学が奪ったゴールは、いずれも素早いカウンターから狙い通りに奪った追加点だった。
「今日の試合だけを切り取って言うと、相手の良さがたくさん出たと思いますし、われわれのパワーが少し足りなかったなと思います。ここ数年でフロンターレが積み上げてきたモノというのが間違いなくあると思います。それが、これまでとはまた違ったカタチで出たシーズンになったのではないかなと思います」(宮本恒靖)
「常にゴールを意識しなさいという話をしていて、そこに向かい続けてくれました。
川崎が史上最速優勝を決めた要因をあげようとすれば、この日の対戦で倉田秋が感じた差と同じく、それこそキリがない。なにせ、2位を相手に内容で圧倒し、5-0の大勝である。シーズンの最多勝点、最多勝利も更新した。さらに、残り4試合で最多得点(84得点)まであと5点に迫っている。「これからは記録を狙っていきたい」とはっきり言葉を残したのは鬼木達監督だ。優勝を決めてなお、川崎は前方を見つめ続けている。
取材・文/飯塚健司