インテルへ移籍したハキミ photo/Getty Images
攻撃性はレアルでも活きたはず
左サイドバックにはリヨンから獲得したフェルランド・メンディ、右サイドバックには近年の成功に欠かせない存在だったダニエル・カルバハルが君臨。今もレアル・マドリードには実力の高いサイドバックが揃っている。
しかし、サポーターには苦い思いもあるのではないか。レアルを離れた若きサイドバックたちが他国で結果を残しているのだ。
トッテナムへ移籍した左サイドバックのセルヒオ・レギロンも能力の高い選手だったが、やはり今の注目はミランでプレイする23歳のテオ・エルナンデスとインテルへ移籍した22歳のアクラフ・ハキミだろう。テオは昨夏にレアルからミランへ完全移籍し、ハキミは今夏にレアルからインテルへ移籍した。
2人の武器は圧倒的なスピードを活かした攻撃参加にあり、今季セリエAにて2人とも4得点3アシストの成績を残している。1対1の守備など、ディフェンス面ではメンディとカルバハルの方が上と言っていい。しかし、テオとハキミの攻撃力をレアルで見ることが出来なかったのは少々寂しい。2人のド派手な攻撃参加は銀河系軍団レアルにふさわしいものだったはずだ。

テオ・エルナンデスもレアルで戦えたはず photo/Getty Images
メンディ、カルバハルとは異なる魅力
テオとハキミ、メンディとカルバハル。この4人の攻撃データを見てみると、今季テオはセリエAで19本、ハキミは16本のシュートを打っている。対してレアルのメンディはリーガとチャンピオンズリーグの両方を合わせても11本しか打っていない。
カルバハルは今季負傷で離脱していた期間があったが、昨季もリーグ戦30試合で20本しかシュートを打っていなかった。
守備面では、今季テオのタックル成功数が22回、ハキミは18回、それに対してカルバハルはすでに25回記録している。ハキミとはそこまでプレイタイムに差がないものの、負傷があったカルバハルはテオより300分ほどプレイタイムが少ない。その中でこの数字は見事と言えよう。
メンディの方は11回と少ないが、そのぶん抜かれる数が少ない。データでは、昨季のメンディはリーグ戦32試合で4回しかドリブル突破を許していない。この堅実性はレアルの大先輩マルセロにもないものだ。守備面の貢献度は大きい。
互いに長所は異なるが、テオとハキミもレアルで活躍するだけのポテンシャルを備えていたのは間違いない。悪かったのはタイミングだけだろう。昨季までレンタル先のドルトムントで結果を残していたハキミはスタメンで出場できる環境を求めていたようだが、レアルは最終的にカルバハルを選んだ。
テオの方も左サイドバックでメンディ、さらにベテランのマルセロがいたことを考えると、レアルでの定位置奪取は難しかったのだろう。結果的にレアルは次代のNo.1攻撃的サイドバックになり得る2人を逃すことになった。サポーターの中にも、2人がレアルで躍動する姿を見たかったと考えている人は多いはずだ。(データは『WhoScored.com』より)