EURO2020ではオランダ代表の一員としてもプレイしたルーク・デ・ヨング photo/Getty Images
空中戦やポストプレイには期待できるが……
今夏の移籍市場最終日、バルセロナはアトレティコ・マドリードへフランス代表FWアントワーヌ・グリーズマンをレンタル移籍で放出した。しかし、その一方で彼らはセビージャから一人のストライカーを補強することにも成功している。
そのストライカーはルーク・デ・ヨング。今夏開催されたEURO2020ではオランダ代表にも選出されていた31歳だ。グリーズマンという主力の放出にこそ踏み切ったものの、バルセロナはひとまずFWの枚数を減らさずに済んだ。
しかし、バルセロナのこのルーク・デ・ヨング獲得は本当に正しかったのか。いくらFWの頭数を揃えるための獲得だったとはいえ、彼のプレイスタイルがバルサの哲学にマッチするかどうかは疑問。現地ではそんな声も多数あがっているのだ。
実際、ルーク・デ・ヨングが得意とするのは188cmの長身を生かした空中戦やポストプレイ。前線中央でどっしりと構えてワンタッチゴールを狙うことも多く、クラシカルなストライカーというイメージを持っている人も少なくないのではないだろうか。サイドに流れることも、パスワークを助けるために1列降りてくることもそこまで多くない彼が、足元のパスを細かく繋ぐバルセロナのサッカーで強みを発揮できるかはたしかに疑問と言えるだろう。
他の選手とは異なる特長を持っているからこそ、ゲームが停滞したときに“違い”を見せつけることができる。そういう見方も可能かもしれないが、バルセロナというクラブはショートパスを細かく繋いで“美しく勝利する”という哲学を持っている。カウンター志向のクラブでならルーク・デ・ヨングのスタイルは大いに歓迎されるだろうが、バルセロナに限ってはどれほどの劣勢に立たされても長身の彼に頼るロングボール戦術は採用しないだろう。
今夏のうちにグリーズマンの抜けた穴を補充できたはいいが、代役としてはプレイスタイル的にやや不安の残るルーク・デ・ヨング。オランダ代表FWの奮起には期待したいところだが、はたして。