CLでも優勝候補筆頭だった当時のミラン photo/Getty Images
アンチェロッティがまとめた当時のベストチーム
現在のミランは若手の才能を伸ばし、そこに経験豊富なベテランを融合させたチーム構成となっており、決して札束攻勢で作り上げたチームではない。育成とピンポイントの選手補強が機能している印象だが、昔のミランはそうではなかった。
ミラン在籍時を振り返ったのは、2002年から3年間ミランで過ごした元デンマーク代表FWヨン・ダール・トマソンだ。
オランダのフェイエノールトからミランへ加入したトマソンは、在籍した3年間でフィリッポ・インザーギ、リバウド、アンドリー・シェフチェンコ、エルナン・クレスポらとポジションを争う必要があった。当時のミランはまさにスター軍団であり、スタメンに入るだけでも一苦労だ。
最終ラインにもカフー、アレッサンドロ・ネスタ、ヤープ・スタム、パオロ・マルディーニ、アレッサンドロ・コスタクルタ、中盤にもアンドレア・ピルロ、ジェンナーロ・ガットゥーゾ、ルイ・コスタ、カカー、クラレンス・セードルフらが揃っており、攻守ともに穴がない。
そんなスター軍団をカルロ・アンチェロッティがまとめ、ミランは2002-03シーズンのチャンピオンズリーグを制覇し、続く2003-04シーズンはスクデットを獲得。2004-05シーズンもチャンピオンズリーグ決勝まで進んでおり、成功に包まれた時期だった。
伊『Gazetta dello Sport』にて、トマソンも当時の3年間が厳しくも美しい時間だったと振り返る。
「当時のミランはベストチームだった。毎試合ポジションを勝ち取る必要があり、プレッシャーに対応しないといけなかった。素晴らしい3年間だったよ。チャンピオンズリーグ決勝には2度も進んだ。2003年は勝って、2005年はまぁ……。
当時のミランには今とは違うスター軍団ならではのプレッシャーがあっただろう。常に勝利が求められ、サポーターの要求も激しかった。
現在はサッカー界の資金力も変わってきているため、当時ほどのスター軍団を完成させるのは難しい。しかし、やはり名門ミランには勝利が似合う。昨季は久々にスクデットを獲得し、今季は連覇とチャンピオンズリーグでの好成績を求めた戦いが始まる。チームの強化方針は当時から変わっているかもしれないが、サポーターは常に勝利を欲している。再びミランが常勝軍団となる一歩を踏み出せるのか、今季のチャレンジにも注目が集まる。