無印良品の商品がファミリーマートからなくなったことにお気づきの方も多いかと思います。2019年1月にファミリーマートから取り扱いの終了のお知らせがあり、1月時点では在庫のみの販売となっていました。

いざ、商品の姿を見なくなると、寂し思いをされる方も多いのではないでしょうか。なぜファミリーマートの棚から無印良品の商品が消えていったのでしょうか。無印良品の業績内容をもとに考えていきたいと思います。



■ファミリーマートから無印良品の棚がなくなる



普段は頻繁に買わないものの、いざ無くなってしまうと寂しい、世の中にはそんな商品やサービスが少なからず存在します。ファミリーマートにある無印良品の商品も私にとってもそのような存在でした。



もちろん、コンビニという販売側からすれば、経済合理性がなければ商品を陳列する棚を提供することはあり得ません。一方でメーカーである良品計画からしても同様に経済合理性がなければ商品を提供するということにはならないというのは理解をしています。



ただ、無印良品を展開する良品計画とファミリーマートの取り組みの歴史は長く、平成5年3月に良品計画とファミリーマートとの間で「商品売買基本契約書」が締結されています。



良品計画もファミリーマートもいずれも企業の歴史を見れば、西友を源流としています。そうしたこともあり、先に見たように商品売買契約を結ぶなどの事業による取り組みがあったと言えます。



■無印良品からみるとファミリーマート向けの取引比率とは



無印良品を展開する良品計画において、2018年2月期のファミリーマート向け売上高は約83億円(良品計画個別ベース)。良品計画の全体売上(営業収益)が3796億円であることを考えれば、ファミリーマート向けの売上は約2%にしか過ぎません。



ここまで見てきたように西友を源流とする無印良品とファミリーマートですが、無印良品から見ればファミリーマートは取引の1社に過ぎません。



また、ファミリーマートから見れば、棚をいかに効率的に取り扱うかが生命線のコンビニ店舗を運営する中で、どの商品を置くかというのは常に論点であることはどのコンビニチェーンも変わりがないでしょう。



こうしたことを考えれば、ファミリーマートから無印良品の商品が無くなること自体は可能性がゼロであったという話ではなく、青天の霹靂ということではないでしょう。



■海外シフトを進める無印良品



「無印良品」というと日本国内のブラント及び店舗というイメージがあります。



しかし、無印良品はアジア地域中心に「MUJI」ブランドとして高い人気を誇っており、同社は現在海外展開を強化しています。



無印良品(MUJI)の店舗数は、2018年11月時点で国内店423店に対して海外店482店と、海外店舗数が国内店舗数を上回っています。



「無印良品の店舗は国内店舗より海外店舗が多い」という事実に驚く方も多いのではないでしょうか。



■売上高も海外比率が既に約4割に



無印良品の店舗数は国内より海外が多いものの、売上高(営業収益)は、2018年2月期をみると、国内事業が海外事業に対して大きくなっています。国内事業の営業収益(売上高)は1795億円、一方で海外事業が1004億円となっており、海外事業の売上収益は全体の36%となっています。



海外売上高は増加傾向にあります。国内事業と海外事業の売上の差はあるものの、海外での店舗数の増加傾向が今後も継続すれば、いずれ国内と海外の売上高の逆転が生じるタイミングの到来も予想されます。



既に店舗数は海外店が国内より多く、売上も全体の約4割が海外向けという状況は多くの方の持つ無印良品のイメージとは異なるのではないでしょうか。



ユニクロの海外展開及び国際化は広く知られていますが、無印良品のグローバル化も日本人が想像する以上に進んでいるといえるのではないでしょうか。



■グローバル化をすすめる良品計画



店舗数では既に海外店が国内店を上回っている無印良品にとって、今後はこれまで以上に国内での販路よりも海外での成長余地を模索することが全社の成長に欠かせないともいえます。同じリソースがあれば海外に経営資源は投入したい、というのが案外本音なのかもしれません。



中国を皮切りにホテル事業の展開を計画するなど、新たな取り組みも始めている無印良品。今後の事業展開も注目されます。



【参考文献】
  • ファミリーマート「『無印良品』取扱い終了のお知らせ」( http://www.family.co.jp/company/news_releases/2019/20190130_02.html )
  • 良品計画「ファミリーマートでの取り扱い終了のお知らせ」( https://ryohin-keikaku.jp/news/2019_0130.html )
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