「一生この人と一緒にいたい」そう思って結婚したはずなのに、気持ちがすれ違い、別れを選んでしまう人たちもいます。しかし自分だけは大丈夫、この歳までずっと一緒にいたのだから…と思っていませんか?



長い間連れ添った夫婦が離婚する「熟年離婚」という言葉は、一般的になりました。

定年などをきっかけに離婚する夫婦は、一定数存在します。



定年離婚の危機が訪れる割合と、その理由について考えていきましょう。



■「定年を機に離婚を考えたことがある」と回答した子持ち女性は約3割



1万2,000人の男女を対象に調査を行った「人生100年時代の結婚に関する意識と実態( https://www.myilw.co.jp/research/report/2018_04.php )」 (㈱明治安田生活福祉研究所、2018年)を見てみましょう。この調査によれば「定年を機に離婚しようと考えたことがある」と答えた40~64歳の男女の割合は以下の通りです。



子どもがいる既婚男性・・・19.6%



子どもがいない既婚男性・・・11.1%



子どもがいる既婚女性・・・28.1%



子どもがいない既婚女性・・・13.3%



男女ともに、子どもがいる夫婦の方が離婚しようと考えたことがあるという結果になっています。特に割合が高いのが子どもがいる既婚女性で、28.1%と約3割に上っているのです。「子はかすがい」といいますが、その子どもが成長し夫婦2人の生活が始まるようになると、離婚が頭によぎり出してしまうのかもしれません。



では実際に離婚に至る方はどのくらいいるのでしょうか?厚生労働省の「平成29年(2017年)人口動態統計月報年計(概数)の概況」を見てみましょう。17年の離婚件数の総数は21万2262件となっています。



さらに細かく見てみると、20年以上25年未満同居した方の離婚件数は1万7255件、25年以上30年未満では1万129件、30年以上35年未満で4958件、35年以上で5944件となっています。合計すると3万件以上の方が離婚を選んでいるのです。



■定年離婚の理由とは?



ではなぜ定年を機に離婚しようと思ってしまうのでしょうか?「人生100年時代の結婚に関する意識と実態」では男女別に理由が挙げられています。



定年を機に離婚しようと考えた理由

男性



1位・・・「配偶者からの愛情、配偶者への愛情を感じないから」(37.6%)



2位・・・「退職後に毎日配偶者と家で一緒に生活するのは耐えられない」(27.8%)



3位・・・「性格・価値観の不一致に耐えられなくなった」(27.4%)



女性



1位・・・「退職後に毎日配偶者と家で一緒に生活するのは耐えられない」(45.1%)



2位・・・「性格・価値観の不一致に耐えられなくなった」(33.2%)



3位・・・「配偶者からの愛情、配偶者への愛情を感じないから」(30.2%)



注目したいのは、女性側の理由の1位です。「退職後に毎日配偶者と家で一緒に生活するのは耐えられない」で、こちらはなんと45.1%と半数近くの女性が理由として挙げています。今までは夫と仕事の間は離れていられたものが、定年を機に毎日長い時間、一緒に過ごすことになります。夫側は今まで仕事していた時間がぽっかりと空いてしまい、何をしていいのかわからない。そんな状態で起こるのが「濡れ落ち葉症候群」です。趣味もなく何をしていいのかわからない夫が、妻の買い物やちょっとした外出にもついてくる状態のことを、靴底にまとわりつく濡れた落ち葉に例えてこう呼ぶのです。この状態の夫にストレスを抱えてしまい、ついには心身に不調が出てしまう「夫源病」という言葉が生まれてしまうほど、定年後の夫婦にとって大きな問題となってしまうのです。



■いずれくる定年に備えて夫婦二人の絆を大切にしたい



夫婦の関係は、毎日の生活の積み重ねで変わります。定年を機に離婚、とならないためにもお互いを思いやり、一緒に老後を過ごすパートナーとしての関係を深めていきたいものです。



参考資料:



「人口動態調査 人口動態統計 確定数 離婚」(e-Stat)



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