保育園・幼稚園のころは、親が送り迎えをしたり園バスに乗ったりの当園は当たり前。しかし小学校へ上がると、子どもたちは大人の付き添いなしで通学しなければいけないようになります。
諸外国に比べ、安心・安全に暮らせる国として知られる日本。しかし、近ごろその“安全神話”を覆すほどの凶悪事件や事故が起きているのも事実です。
今回は、子どもが小学校へ上がるタイミングで浮上する「送迎問題」について考えてみたいと思います。世の中の親御さんたちは、子どもが小学校へ上がった後、登下校をどのように見守っているのでしょうか。
■小学校へ上がっても送迎したいと考える親は多い
今まで一緒に保育園や幼稚園へ行っていたのに、小学生になった途端に子どもだけで登下校。当の本人はもちろん、親たちも不安な気持ちを持つ人が少なくありません。
ネット上の意見を見ると、小学生の子どもの送り迎えに対してはさまざまな意見が出ています。“小学生になっても心配だから送り迎えしたい”という意見もあれば、“小学生になったのに送り迎えするなんて過保護”という意見も。しかし小学生の子どもを持つ親が、“小学校へ上がっても今までと同じようにドアtoドアで送り迎えをしたい”という考えを持つのは自然なことではないかと思います。
ここ数年の間でも、登下校中の小学生が狙われ事件に巻き込まれてしまったり、登下校中に事故に遭ってしまったりと、“大人がついていれば”と思うようなニュースがたくさん。目も耳も覆いたくなるような事件も起きており、そんなニュースを見たり聞いたりするたびに“送り迎えをしたい”と強く思う親も多いはずです。
実際筆者のまわりでも、子どもだけの登下校に不安を抱えているという人は少なくありません。
■海外では送り迎えが当たり前。日本では禁止されているような学校も
小学生の送り迎え問題が議題に上がると、必ず出て来るのが「海外では親による送迎が当たり前」という話題。地域によって多少の違いはあるものの、アメリカやイギリスなど欧米の国では、スクールバスの利用もしくは親の送迎が当たり前になっているようです。学校によっては、子どもだけでの登下校が禁止されている…なんてところもあるそう。日本とは治安の良さや校区の範囲なども違うのでしょうが、日本で子育てをする親の中には、このようなシステムに“うらやましさ”を感じる人も少なくありません。
日本では、小学生がランドセルを背負ってとぼとぼ歩きながら登下校する姿は、日常でよくある光景のひとつ。しかし、海外から旅行で日本に訪れた人たちにとっては、衝撃的な光景のようです。海外の国によっては、13歳以下の子どもが一人で外出すること自体を法律で禁止しているような国も。
日本では、自宅の玄関から「行ってらっしゃい!」と送り出すのは一般的なことですが、海外で同じことをすると逮捕されてしまうようなケースもあるそうです。そもそも“子どもが一人で行動すること”に対しての認識が違うため、学校の登下校に関しても考え方が区別されてしまうのは当たり前のこと。
■小学生の子どもを送り迎えするのは過保護なのか?
“小学生=自分で登下校するもの”という考えは、日本において一般的なもの。しかし、小学校へ上がるまで我が子を一人で外出させたことがないという親も多いため、小学校入学のタイミングで登下校問題に直面する人も少なくありません。
小学生の送迎については、正直なところその親の考え方によってかなり左右される問題かと思います。「低学年の間くらいは送迎してあげてもいいんじゃない?」という親もいれば、「小学生になったのにまだ送り迎えしてる!」という親もいることでしょう。
“送迎する=過保護な親”というイメージもありますが、一番大切にしないといけないのは自分自身が後悔しないかどうかということ。
「本当は送り迎えしてあげたかったのに、周りから過保護だと思われそうだから送迎をやめた。でも、子どもが不審者につきまとわれて怖い思いをした。こんなことになるなら、ずっと送り迎えしてあげればよかった。」
このような後悔の気持ちは、どうすることもできません。まわりから過保護だと思われるから…という理由ではなく、自分が納得して“送迎をする・しない”を決めることが大切なのではないでしょうか。
■我が子を守ってあげられるのは親である大人だけ
自宅を出た瞬間から親が付き添うことを禁止するような学校はレアなケースでしょうが、送り迎え自体を良いことだととらえていない学校は少なからずあります。しかし、もし事件や事故が起きたとしても学校側に責任を求めることはできません。
大切な我が子を守ってあげられるのは、他でもない親である大人です。子ども達だけの登下校にしかない、貴重な経験があるのも事実。子どもの気持ちを尊重しながら、安全を確保してあげられるのが理想なのではないでしょうか。