子供は親のいうことを信じて育つものです。その影響力は強く、生涯消えないコンプレックスになってしまうことも少なくありません。

親にそんなつもりはなくても、子供の心に傷を残す言葉の数々。一体どんなセリフが子供たちの心を傷つけているのでしょうか。



■私はイグアナの娘?!



昭和の時代、容姿や体形をいじるというのは多くの家庭で行われてきました。「うちのかーちゃんがデブで」といった夫による冗談を耳にした方も多いはず。また「身内のことを謙遜するのが美徳」という考え方もあったため、我が子であっても「できそこない」などと表現することも日常的に行われていました。



・「私は母から『ブスなんだから勉強くらいちゃんとしなさい』といわれて育ちました。お友達と同じことをして、私だけが親に叱られたりした際に『でも〇ちゃんもやっていた』なんていうと『〇ちゃんはかわいいからいいの!』なんていわれるのは日常茶飯事。昔ドラマであった自分の顔がイグアナに見える女の子の話も、なんだか分かる気すらしていました。自分はブスだと思いながら生きることはいろんなことを消極的にさせると思います。当然、男性に告白なんて一度もしたことはありません」



・「うちの親は『うちの子は世界で一番かわいい』といって私と兄を育てました。私もその言葉を信じ、自分はかわいいんだと思って疑いませんでした。しかし、中学生になったある日。

雑誌で女性の平均体重を見て『え?!私って太ってる?!』と気が付きました。急いで母に確認すると、笑顔で『わー気づいちゃったね。でもやっぱりかわいいと思うから大丈夫よ』なんて言われ。この年まで自分の容姿に疑問も持たずにこれたのは親のおかげだったんだろうなと思いました」



親の発言で対照的に育った二人。みなさんはどちらの人生を送りたいと思いますか。



■対比されて育った影響



また、大人になってもすぐに「自分は人より幸せか」「あの人より私の方が上」などとマウントを取ってしまう人は、自分が幼い頃から親に比べられて育った影響がある可能性も。



・「いつも成績上位者だった兄と比べられて育ちました。自分なりにいい点数をとっても親は私を全く褒めてくれませんでした。褒められるのはいつも兄で、どうにかして親の気を引くために兄より勝っているものを躍起になって探していたのを覚えています。おかげで、兄は何も悪くないのに大人になった今でも兄の存在が疎ましく好きになれません」



・「末っ子だった私は、家のムードメーカー。面白いことをすると家族が喜んでくれるので率先してふざける子供でした。大きくなったある日、進みたい進路について親に相談しました。

しかし母には『お姉ちゃんならまだしも、あんたみたいなふざけた人間ができるわけないでしょ』と取り合ってもらえず。親からは無難で潰しが効くという進路を勧められました。当時は『母は私以上に私のことをわかっているはず』と思ってしまったため、親のいうとおりにしてしまいましたが、やる前から否定されたショックはいまだに胸の奥にあります」



親としては優劣をつけているつもりはなくても、対比する表現をしてしまうと「〇〇より自分は劣っているんだ」という考え方を根付かせる原因になりかねません。



■いつまでも子ども扱い



また、年齢に関係なく子供がいつまでも親よりもしっかりとしていない前提でいる親というのも意外と多いといいます。



・「新しい税の制度になったため、自営業の親に理解しているか聞きにいきました。もしわからない様であれば、手伝いたい気持ちがあったからです。しかし、父から返ってきた言葉は『年寄り扱いするな!』でした。決して父をバカにしたわけではないのですが…。あとで母に聞いた話ですが、結局父は理解することができず、お金を払って他の方に教えてもらったそうです。だったら頼って欲しかった」



・「就職後、通勤などに不便だったため実家を出ることにしました。しかし、そのことを快く思わない母から『あんたみたいな人間がやっていけるほど世間は甘くないわよ』と出ていく日まで言われ続けました。思えば受験の時も進路を自分で決めようとするたび否定され続けた私。

もうそろそろ自分で決められると母に告げたところ『ずいぶん偉くなったものね。失敗してもお母さん知らないから』と吐き捨てられました」



幼少期から続く呪いのような言葉。大人になって世間と触れた子供たちは、だんだんと親の言葉の違和感に気づいているようです。



■まとめ



今回お話を聞いたどの言葉も、子供の自己肯定感を低くするセリフばかりでした。そんな言葉に囲まれて育った人は、果たして自分を大切にできる人間になれるでしょうか。大好きな親に否定されること。それは親にとっては何気ない冗談だったとしても、子供たちは一生引きずるセリフにだってなりうるのです。「相手はわかっているはず」と思っていても、親子といえども感じ方は千差万別。自己肯定感の低い子供に育てたくないのであれば、親は発言に注意して子供と接することも大切なのではないでしょうか。



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