■株式相場が急回復、日経平均株価は23,000円目前まで上昇



株式相場の急回復が続いています。6月4日の日経平均株価は、一時22,907円まで上昇して2月21日以来となる約3カ月半ぶりの23,000円台回復を目前にしました。



今回の株価上昇は、幻に終わった大型連休明けから徐々に顕著となっています。5月7日の終値19,674円から1カ月も経たないうちに最大+16%上昇しました。特に、直近2週間強では+14%弱上昇しており、今回の株価上昇はあっという間の出来事だったと言えましょう。



まずは、コロナショックで大暴落となった年初からの株式相場(日経平均株価)の動きを、改めて簡単に振り返ってみましょう。



■3月には稀に見る大暴落発生、しかし“谷深ければ、山高し”の相場なのか?



昨年の大納会における終値は23,656円でした。年明け以降、米国とイランの紛争危機や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)等の懸念材料が出て上値が重くなりましたが、それでも2月6日の高値は約24,000円(正確には23,995円)と高値圏を維持しました。



しかし、2月下旬の3連休明けから株価急落が始まり、2月25日に23,000円割れ、2月27日に22,000円割れ、3月6日に21,000円割れ、3月9日に20,000円割れ、3月12日に19,000円割れ、3月13日に18,000円割れとなり、3月18日に17,000円割れと、正しく坂道を転げ落ちるような暴落となりました(終値ベース)。



実は、株式市場では1月下旬から既にCOVID-19の懸念は認識されていましたが、今振り返ると、その時はまさかこれほどの惨状になるとは誰も予想できなかったでしょう。



その後、3月19日のザラバに付けた16,358円が最安値となっています。これは、2月6日の高値(約24,000円)から見て約▲32%安まで下落したことになります。わずか1カ月半で株価指数が▲32%下落する事態は、紛れもなく「大暴落」と言えます。個別銘柄では、半値以下に下落した優良株も数多く見られました。



ところが、その16,358円を大底に回復基調へ転換し、前述したような株価上昇が続いて今日に至っています。ちなみに、この最安値から見ると、直近高値は+6,500円超の上昇(+40%高)です。



日経平均株価の過去2年の推移



コロナで大暴落した株価が急回復! 今から相場に参戦したい人へ贈る相場格言

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■この急回復相場において個人投資家が抱く3つの思惑



こうした株式市場を見て、個人投資家の方々には様々な思惑があるでしょう。大きく分けると、1)なぜこんなに急回復するのか理解できない、2)そろそろ株価は再び急落する気がするので現状の株価水準では手が出せない、3)すっかり上昇相場に乗り遅れたが今からでも間に合うだろうか、の3パターンではないでしょうか。



もちろん、3月の暴落時にリスクを覚悟でエントリーし、今は利益確定のタイミングを計っているという成功者もいるでしょうが、圧倒的な少数派だと推測されます。



■コロナショックが払拭されない中での相場急回復、今からでも間に合うのか?



多くの人が、今回の株価上昇を納得できない気持ちで眺めていると考えます。

確かに、COVID-19による経済的な大打撃についてはご存知の通りであり、それが企業業績に影響してくるのはこれからです。



さらに、現時点では十分に期待できるワクチンも治療薬も世に出ていない訳ですから、世界大不況を織り込む形で株式相場はもう一段の暴落があるだろう…と考えるのが普通かもしれません。



しかしながら、現実的に株価は急回復しています。株式相場は本当に難しいですね。そして、今後注意しなければならないのが、前述3)で指摘した“上昇相場乗り遅れ組”です。これだけ回復が続くと、“上昇相場乗り遅れ組”となった個人投資家が、今から参戦するのはどうなのかと悩んでいると推察されます。



■行き着く先が見えない急回復相場で噛みしめる5つの厳選相場格言



さて、こうした時に役に立つかもしれないのが「相場格言」です。相場格言はあくまでも格言であり、常に正しいとは限りません。しかし、昔から株式相場に伝え残る格言には、先人たちの経験と知恵が凝縮されています。COVID-19の懸念が払拭されない中での株価急上昇を受け、改めて吟味しておきたい5つの格言を選んでみました。



もうはまだなり、まだはもうなり

これは株の売買の好機・タイミングを表す代表的な諺です。その名の通り、「もう底(天井)だと思えるようなときは、まだ下値(上値)があるのではないかと一応考えてみなさい。反対に、まだ下がる(上がる)のではないかと思うときは、もうこの辺りが底(天井)かもしれないと考えてみてはどうか」という内容です。

“なるほど”と感心させられる格言です。



ただ、この諺に従うと、絶好の買い場・売り場を逃すことになり兼ねません。真の意味は、売買する前にもう一度よく考えてみた方がいいということなのです。



買いにくい相場は高く、買いやすい相場は安い

これは、「買いづらい相場に限って(その後)高くなり、買いやすい相場に限って(その後)安くなる」という意味です。“買いづらい相場”とは、例えば、株価指標などで非常に割高感がある、株価が天井圏にある、相場が弱気一色にある、などの状況と言えます。



こういう時、投資家はなかなか手を出し難いものですが、そういう時に限って、その後に株価が上昇するという皮肉めいたことが多々起こります。また、“買いやすい相場”とは、この逆の場合で、その後に株価が下落することが多いということになります。



二度に買うべし 二度に売るべし

これから新たに買い向かおうとしている人には、ぜひ心に留めてほしい格言です。この意味を一言で表すなら「買い急ぐな、売り急ぐな」ということです。一気に売買して、その後に株価がさらに上昇・下落となったとき“あー、早まった”と後悔しないためです。



また、仮に売買に失敗したとしても、二度に分けていれば、被害は半分で済むという意味も含まれます。投資家に必要なことは、周囲に流されずに冷静に行動するということではないでしょうか。



万人が万人ながら強気なら、たわけになりて米を売るべし

全ての人が何らかの理由をつけて強気になった時、それが天井を形成することが多いため、人に何を言われようが利食い売りをするべきだという意味です。冷静になって周囲の声に耳を傾けてみましょう。



たった2週間で+14%上昇した現在の株式相場。皆が皆、強気になっていませんか? 逆に、皆が皆、(株価がピークだと)慎重になっていませんか? なお、これと同義の格言として、「野も山もみな一面に弱気なら、阿呆になりて米を買うべし」があります。



相場は明日もある

株式相場はこれからも続きます。今日1日で終わるわけではありません。相場は生き物ですから、買いにしても売りにしても上手くいかないことは珍しくありません。そのような時は、いったん立ち止まって、相場の大局を見極めることが必要です。ズルズルとやり続けても上手くいかないことが多いという意味です。同じような格言で「休むも相場」があります。



いずれにせよ、大切な投資資金を失わないためには、ムキにならず、ムリをしないことが重要でしょう。



■終わりに



いずれの格言にも当てはまることは、“急がずに冷静に”ということです。株式投資である以上、損失を出すことはよくあることです。ただし、それが日常生活を脅かしたりするようなことがあってはいけません。現在のような上昇相場だからこそ、今一度、相場の動きと自らの懐を見つめ直すことが求められます。