長引くコロナ禍による影響で、貯蓄の大切さを実感した人も少なくないのではないでしょうか。しかし、貯金がまったくない「貯蓄0円世帯」は意外に多いものなのです。

金融広報委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)( https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/futari/2020/20bunruif001.html )」内「金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)」をみると金融資産を持たない世帯は全体の16%を越え、およそ6世帯に1世帯は「貯蓄0円世帯」である現実がみてとれます。



今回は、貯蓄0円を脱するため、2021年ゼロからお金を貯めるために意識したいことを3つご紹介します。



■「お金以外」の無駄をなくす



「お金を増やしたい」と思ったとき、多くの人は「収入を増やすためもっと働かねば」「節約するため我慢せねば」など、自分を追い詰めるような方法を考えてしまうのではないでしょうか。もちろん節約や収入増は貯金に直結することですが、寝る時間を削ってまで働いたり、食べるのを我慢して食費を削ったりすることは健康を損ねるおそれもあり、本末転倒です。



そんなときはお金以外に、生活のなかで無駄になっていることを見つけてみましょう。たとえば押し入れの中に、壊れた季節家電や使っていないゴルフバッグなどはありませんか?「使わないもの」にスペースを割いていることは、空間の無駄遣いともいえます。

多くの人は、ものが増え始めると「家が手狭になったから、家賃は高いけどもう少し広い家に引っ越そう」と考えがちですが、もしかすると必要なものだけに絞ったら、今の家でも十分生活できるかもしれません。まだ使えるものであれば、フリマアプリなどで売ってしまうのもおすすめです。



また、ダラダラとスマホを見ているだけの「無駄な時間」はないでしょうか。もちろんリラックスする時間は必要ですが、無意識に時間を消費していることが多いようであれば、その時間を有効活用することで睡眠時間を削らずに副業などに取り組めるかもしれません。



■「節約すべきもの」を見極める



お金が貯まる人は、収入の多さよりも「節約する力」が大きい傾向にあります。年収が300万円代でも貯蓄が1000万円に達している人もいるのです。

そして、貯蓄が上手な人は我慢や辛さを伴うような方法ではなく、「節約すべきもの」の見極めがうまいという特徴があります。簡単にいうと、「必要なものだけを買い、無駄な買い物はしない」ことで支出を抑えているのです。



安い食材だけで貧相な食卓を囲む生活は、おうち時間が重視されている今こそ見直したいところ。貯蓄が上手な人は食費を極端に削るのではなく、食品ロスを出さないようにしています。安い食材を大量に買っても食べきれなかったらもったいないですよね。それを繰り返していたら、節約しているつもりなのに浪費しているという負の状態に陥ってしまいます。

貯蓄上手な人は、買い物するときに献立をあらかじめ考えていたり、購入後に長持ちさせるような一手間を加えていたりして、「買いっぱなし」にならない工夫を取り入れています。



■「先取り貯金」をする



少しずつ節約になれてきて支出が減らせるようになってきても、残ったお金を貯蓄に回そうと考えるのはおすすめしません。「今月余裕があるから、ここは少し使ってもいいだろう」という気持ちが生まれると、なかなか貯金は増えていかないものです。だからこそ、貯金分はあらかじめ別口座に分けたり、積み立てなどの制度を使ったりする「先取り貯金」でしっかり資産形成をしていきましょう。



“1年後に100万円”など目標を定めて、その分を先取り貯金してしまうのもおすすめです。残った分で家計をやりくりすれば、「今月余裕があるから、ここは少し使ってもいいだろう」という使い方をしても貯金ができるようになります。

また、余った分をさらに上乗せで貯金に回していくことで、予定より早く目標金額を達成できるかもしれません。



■生活を切り詰めすぎず、しっかり貯蓄につなげよう



貯蓄ができないということは、収入と支出がイコールになってしまっているからです。しかし、いきなり収入を大幅に増やすのは難しいものでもあります。その分、支出であればある程度コントロールがしやすいので、効率的に節約をすることでしっかり貯蓄につなげることも可能なのです。



生活を切り詰めた節約は、身も心も貧しくなってしまいがち。また、苦しい節約をしても決して長続きしません。

貯蓄上手な人たちは“締めるところは締め、使うシーンではしっかり使う”などのメリハリのある生活で楽しく節約に取り組んでいます。収入が少ないから貯蓄ができないと悩んでいる方は、まずは支出を可視化してみましょう。思わぬ「無駄」に気づくと、節約効率がぐっと上がるかもしれませんよ。



貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。



参考資料

  • 金融広報委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)( https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/futari/2020/20bunruif001.html )」4金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)