急に寒くなり、エアコンや石油ストーブなどを使い始めた方もいるでしょう。2021年10月26日の経済産業省の有識者会議では、10年に1度の厳しい寒さを想定する場合、需要に対する供給力の余裕を示す「予備率」が全国7エリア(東京・中部・北陸・関西・中国・四国・九州)で3%台と公表されました。
多くの家庭で冬に悩ましいのが、年間で最も光熱費が高くなることでしょう。原油価格の高騰が続いており、灯油代の負担も増えると考えられます。
実際に、年間の電気代やガス代、灯油代はどれほど使用しているのでしょうか。二人以上世帯の1年間の電気代・ガス代・灯油代を確認しながら、冬の節約術についてもみていきます。
■二人以上世帯の1年間の電気代と節約術
まずは総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)」より、二人以上世帯の2020年の電気代をみていきます。
■二人以上世帯・2020年(令和2年)の電気代
- 1月:1万2232円
- 2月:1万3201円
- 3月:1万3100円
- 4月:1万2117円
- 5月:1万541円
- 6月:9153円
- 7月:8585円
- 8月:9661円
- 9月:1万1206円
- 10月:1万152円
- 11月:8965円
- 12月:9137円
注意点としては、家計調査での光熱・水道費の支払いについて、請求やメーターの検針があった日ではなく、世帯が実際に支払った日(口座振替の場合は口座振替日)が反映されていることです。つまり、2月の電気代は、1月の使用量を反映していることになります(後述するガス代も利用月と支払月が1カ月ずれます)。
電気代が月1万円を超えるのは1~5月と9~10月。つまり、利用月としては12~4月と8~9月ですね。最も高い利用月は大寒のある1月。12~3月は1万2000円台を超えるため、やはり冬は年間で最も電気代がかかります。
電気代が上がる要因としては、「エアコン、電気ストーブ、こたつ、電気カーペット」などのさまざまな暖房器具を使い、使用時間も増えるためでしょう。
環境省の「みんなで節電アクション!」によると、家庭の中で消費電力の大きいのは「電気冷蔵庫、照明器具、テレビ、エアコン、電気温水器」の5つ。中でも冬はエアコンの利用が増えるので、部屋の中の暖房効率を良くすることを心がけましょう。
冬の室温の推奨は20℃。暖房の温度を1℃低くすると約10%の消費電力の削減になります。また、2週間に一度のエアコンフィルターの掃除をして綺麗な状態を保つことで、暖房時に約6%の消費電力の削減になるとのことです。
暖かい空気は上の方に溜まりやすいので、サーキュレーターを利用して空気を循環させるのもいいですね。カーテンや窓用・床用断熱シートなどを利用して、冷気が逃げるのを防ぐのも効果的でしょう。
■二人以上世帯の1年間のガス代と節約術
それでは次に、1年間のガス代をみていきましょう。
■二人以上世帯・2020年(令和2年)のガス代
- 1月:5850円
- 2月:6326円
- 3月:6360円
- 4月:5947円
- 5月:5328円
- 6月:4563円
- 7月:3862円
- 8月:3511円
- 9月:3192円
- 10月:3240円
- 11月:3987円
- 12月:4581円
ガス代が5000円を超えるのは1~5月で、最も高いのは3月の6360円。つまり利用月としては12~4月で高くなり、2月に最もガスを使用することになります。夏のガス代と比べると、およそ2倍ですね。
冬にガス代が高くなる一因として、設定温度を上げたり、追い焚きの回数やシャワーの時間が増えたりすることが考えられるでしょう。また、鍋や煮物など時間のかかる調理の機会も増えます。
冬場は、水温自体も低くなります。東京都水道局によると、令和2年度で最も水道水の水温が高い8月は平均26.9度、最も低い1月は8.4度。夏に比べると水温は約3分の1で、低くなった水温を温めるためにもガス代がかかるのでしょう。
ガス代はかかりますが、お風呂での我慢は健康に影響が及ぶ危険性があります。温かさを保つ方法として、保温シートを使い追い焚きの回数を減らすなどの工夫をしましょう。
料理時には電子レンジや圧力鍋、自動調理鍋、IHクッキングヒーターなどを活用することで、ある程度ガス代をおさえることができます。洗い物の際には、設定温度を下げるようにしましょう。
■二人以上世帯の1年間の灯油代と節約術
寒冷地ではエアコンのみでは寒いため、冬は石油ファンヒーターや石油ストーブが必需品ですよね。灯油代についても見てみましょう。
■二人以上世帯・2020年(令和2年)の灯油代
- 1月:2455円
- 2月:2563円
- 3月:2006円
- 4月:1301円
- 5月:597円
- 6月:354円
- 7月:201円
- 8月:156円
- 9月:189円
- 10月:499円
- 11月:1064円
- 12月:2256円
灯油代が1000円を超えるのは11~4月です。
すばやく部屋全体を温めてくれる石油系の暖房機ですが、石油ファンヒーターは電気代もかかりますよね。灯油代や電気代を抑えるためにも、石油ファンヒーターとエアコンを併用するといいでしょう。石油ファンヒーターですばやく室温を20℃にすることで、エアコンの消費電力を抑えられます。
■体を温める方法も考えよう
節約も大切ですが、寒さや冷えは健康に影響するもの。体のためにも、無理のない節約方法を考えたいですね。
部屋やお風呂を温めることも大切ですが、あわせて考えたいのが体を温めることです。湯たんぽや着る毛布、レッグウォーマーなどのあったかグッズの利用も考えましょう。今からご家庭に合った冬の節約法を考え、実践してみてくださいね。
■参考資料
- 経済産業省「冬季の電力需給見通しについて」( https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/040_04_01.pdf )
- 経済産業省資源エネルギー庁「石油製品価格調査」( https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/petroleum_and_lpgas/pl007/results.html#headline1 )
- 総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)」( https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20200&month=0&tclass1=000000330001&tclass2=000000330004&tclass3=000000330006&result_back=1&cycle_facet=tclass1%3Atclass2%3Atclass3%3Acycle&tclass4val=0 )
- 総務省統計局「光熱・水道費の利用と支払 」( https://www.stat.go.jp/data/kakei/point/pdf/point03.pdf )
- 環境省「家庭でできる節電アクション」( https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/setsuden/home/saving03.html )
- 東京都水道局「トピック第3回 水道水の水温」( https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/suigen/topic/03/ )