寒さも厳しくなり、いよいよ本格的な冬の到来です。厳しい寒さのなかでも、屋外で私たちの目を楽しませてくれるのがビオラやパンジーです。
ビオラとパンジーは比較的カンタンに育てられる初心者向けの植物ですが、たくさんの花を咲かせて、長く楽しむなら、こまめなお世話が必要になります。
今回はビオラとパンジーを摘心でたくさん咲かせて、挿し芽で株を増やす方法について紹介します。
■ビオラ・パンジーの基本情報
【ビオラ・パンジー】
- スミレ科スミレ属
- 一年草
- 原産地:ヨーロッパ
- 参考価格:100~300円前後
ビオラとパンジーは、どちらも同じスミレ科スミレ属の植物で、ほぼ同じ性質を持っています。見分ける方法は単純で、花の大きさで見分けます。一般的に小輪のものはビオラ、大輪のものはパンジーと呼ばれています。
パンジーには真ん中にブロッチと呼ばれる黒い大きな斑紋があるのが特徴的ですが、昨今では品種改良が進んでいるため、パンジーとビオラはますます見分けがつきにくくなっています。

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ビオラの寄せ植え(crystaldream/Shutterstock.com)
■パンジーとビオラ、たくさん咲かせる方法とは?
パンジーとビオラの花をたくさん咲かせるには、終わった花をその都度摘む「花がら摘み」はもちろんのこと、徒長した株をばっさりと剪定する「切り戻し」や、定期的な追肥も欠かせません。
また「摘芯」も脇芽を増やすためには大切な作業です。摘芯とは、茎の頂点の芽(頂芽)を摘むこと。脇芽を増やし、たくさんの花芽を作ることを目的におこないます。
ビオラ・パンジーは「頂芽優勢」という性質を持っているため、そのまま何もせずに育てていると頂芽だけが優先して育ち、脇芽の成長を抑制してしまいます。
頂芽を摘めば、脇芽をしっかり成長させることができ、生長した脇芽から枝数を増やすことができます。
■摘心のやり方

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Aybarskr/Shutterstock.com
摘芯は苗を定植した状態か、買ってきたポット苗のままの小さな苗の状態で行います。秋冬は地域により寒暖差も激しいので、暖かい晴れた時間帯にやるのが好ましいでしょう。
株もとに2~3枚ほど葉を残して、手で先端を摘みます。ハサミでも構いませんが、清潔なものを使いましょう。
せっかく伸びた茎を切ってしまうのはかわいそうな気もしますが、パンジー・ビオラは生育旺盛なので、摘んでしまっても大丈夫です。
摘心は他の植物でもおこなう作業です。脇芽を増やすための作業なので、思い切ってカットしましょう。
■挿し芽で株を増やす方法
摘芯した茎は挿し芽にして、株を増やすことができます。
茎の下を斜めにカットしたら30分~1時間ほど水に付けておきます。十分水に浸したら、下から2節分の下葉や花やつぼみは取っておきましょう。
ビニールポット(3寸)に湿らせたさし芽用土を入れ、挿し芽を2節分が土に埋まるくらいにさします。
発根するまでは、常に土を湿った状態に保ちます。最初の1週間は腰水をしておくのも良いでしょう。挿し芽をしてすぐは、じょうろや霧ふきで毎日葉を湿らせておくのも効果的です。
挿し芽が成功し発根して根が回ったらそのまま定植して大丈夫です。挿し芽で増やした苗は、個人利用の範囲内で楽しみましょう。
摘芯の際に収穫した花は切り花にして飾ったり、シリカゲルとタッパーを使ってドライフラワーにして楽しむのもいいですね。
ドライフラワーだと花色も綺麗に残るので、様々な色花をコレクションするのも楽しそうです。
■摘芯後はどうなる?
摘芯でばっさり茎を切ってしまうと、その後の成長が不安になります。摘芯して花がなくなるので、さみしい感じもするかもしれません。
しかし、あまり心配はいりません。
摘芯から2カ月くらいになってくると、それなりに花が咲き始めます。脇芽がどんどん成長し、葉の数も劇的に増えるため株のボリュームも大きくなってきます。
冬の厳寒期には生長が止まることもありますが、3月頃からビオラ・パンジーは急激に生長します。最初に摘芯をしたことにより、春には花いっぱいの鉢植えや花壇を楽しめることでしょう。

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M. Schuppich/Shutterstock.com
■まとめにかえて
とても丈夫で放っておいても育ちやすい植物ですが、手をかければかけた分だけキレイに美しく育ってくれるのがビオラやパンジーです。
摘芯は最初のひと手間ですが、やるとやらないとでは今後の生育に大きな差が出てきます。ぜひ、お手元のビオラやパンジーにたくさん手をかけてあげてください。